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    otk_ota

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    もうだめ アフターフォローのつもりだったけどよくわからなくなったので雑に締めた 最後までハッピーなかんじにしたかったのになんか急に発作が出ちゃって

    ホラー大会参加賞のサタいぶ 「人類絶望! 今話題の最恐のホラー映画!」と謳われているものを伊吹は見た。マモンと二人で。怖いものが得意というわけではないが、隣にビビって半泣きになっている人がいると冷静になってきて伊吹はあまり恐怖を感じなかった。想い人が映画好きだからこそ真剣に映画と向き合おうとして分析してしまう癖も出ていた。今のはビックリ系のフラッシュのオマージュだな、ここのシーンは序盤の伏線回収してるな、などなど。
     そのため、深夜にふと目が覚めてしまった伊吹はホラー映画のシーンを思い出しても恐怖で震えはしなかった。しかし発作的にサタンに会いたくなって震えていた。今すぐ会いたい。サタンの意識がぼんやりしているうちにいろいろ吸いたい。
     伊吹は深夜のうまく回路が繋がらない頭で考える。どうにかして会いたい。もう部屋に突撃してしまおうか。彼がぐっすり寝ていたら勝手に布団に入り込んで、それで、起こした時の言い訳は──。
     ホラー映画だ。
     そうだ。映画が怖くて寝られないから一緒に寝て! よし。これにしよう。伊吹は目をパッチリ開けて出陣した。戦士の顔つきだった。
     彼の部屋の前で深呼吸をする。呼吸が整ったら、叩いてるのか手が当たってしまったのかわからない程度の控えめなノックをして、少し待つ。返事はない。当然だ。よい子は寝ている時間である。
     伊吹はゆっくり扉を開けて、部屋の中に入った。床には本が散らばっている。いつもと同じステップを踏んでベッドまで辿り着く。
     お邪魔します。伊吹は小声で挨拶をした。無断で布団の中に入るよりはマシだと思ったのだ。それならばまずは部屋の中に入るときに言うべきなのだが、彼女の言動にツッコミを入れる者は今ここにいない。
     つま先から布団の中にそっと潜り込む。サタンの背中にピッタリとくっついた伊吹は深呼吸した。やさしい匂いがする。やわらかくて、でも甘くなくて、サタンの香り。
    「満足したか? この侵入者め」
     彼の背中がぐるんとひっくり返る。伊吹の頭を掴み、額と額を合わせたサタンは微笑んだ。
    「こんな夜中にどうしたんだ?」
     突然彼の顔面が目の前に現れたことにより伊吹は用意していた言い訳が吹き飛んだ。必死に思い出そうとして、頭の中の引き出しを片っ端から開けていく。
    「えーっと、あの、その」
    「そんなに言いにくいことか?」
    「違う違う。何だったかな。あ、怖い映画を見て寝たら夜中に目が覚めちゃって、一人だと怖くなったからサタンに会いに来たんだ。それだ」
    「本音は?」
    「寝込みを襲いたかった」
    「やっぱりな」
     サタンは嬉しそうにニコニコ笑っている。お前のことなど全てお見通しだと目が語っていた。
    「正直に言えたのは偉いけど、最初に嘘をついたのはいただけないな」
    「お仕置き?」
    「そんなどこぞの悪魔みたいなベタベタなことはしない。今度は俺と二人で同じ映画を見よう。怖かったんだろう?」
    「すごく怖かった! 足の間に入れてもらって手を握ってくれないと怖くて泣いちゃうと思う」
     調子に乗る伊吹。しかしサタンは彼女を咎めなかった。
    「いいよ」
     起き上がったサタンはベッドボードに背を預け、タブレット型の端末をスイスイ操作して映画配信アプリを開く。再生ボタンを押せば見られる状態にしてから足を開いてポンポンとシーツを叩いた。伊吹は尻尾を振って彼の足の間に挟まる。胸板に頭を預けた。
     彼女を腕の中に閉じ込めて、サタンは映画を再生する。しばらく二人は静かに画面を見つめていた。
     物語は終盤、恐怖演出大盤振る舞いが始まった時に膝を抱える伊吹の手の甲に覆い被さっていた彼の手が動いた。彼女の手首を掴み、親指で脈を測る。
    「いつも通りだな」
     サタンは冷たく鼻で笑った。画面の中の女は悲鳴を上げながら怪物に襲われている。足の骨を折られ、腹を踏み抜かれ、喉元から血を啜られている。
    「いつもって、いつもの脈拍知ってるの?」
    「君のことならたくさん知ってる。脈の速さも、皮膚の薄さも、内臓の色も」
     悪魔が耳元で笑っている。
    「でも、俺は君の全てを知りたい。まだ知らないことがある。教えてくれないか?」
    「サタン……」
     血を全て抜かれた女は人の形を留めていなかった。空気が抜けた風船の様に力なく横たわっている。
    「教えろ」
     サタンの爪が食い込んでプツリと皮膚を破り、赤い雫が手首を流れる。伊吹は腕を上げて彼の唇に傷を押し当てた。
     悪魔は血の味を知った。次は何を求めるのだろう。差し出せるものはまだあるのだろうか。
     寝込みを襲うつもりが、こんなことになるとは。今夜は分が悪そうだ。伊吹は冷えきった頭を動かす。そして雑な結論を下した。
    「にゃーん。にゃんにゃん、にゃーん」
    「くっ!」
     サタンは赤面し、全身が弛緩する。伊吹はその隙を逃さずに彼の脚から抜け出す。そして毛布を体に巻きつけて枕の上に頭を置いた。
    「もう寝る」
    「自分から来ておいて……おまえ……」
    「にゃーん」
    「ズルいぞ!」
     寝た。
     翌日、伊吹は猫耳メイド服でサタンにご給仕させられた。ロングスカートとミニスカの二種類やらされた。
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