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    ryuhi_k

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    ryuhi_k

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    アンデッド骨×ネクロマンサー輪な擬人化パラレル。
    手術的な描写有り・全体的に品はないのでご注意ください。

    ##墓上
    ##骨輪

    墓石の上、二人でダンスを:2切り取ったものを丁寧に繋ぐ。沢山の素材から選りすぐった一番を、まるで最初からそうだったように。自分の身体が自分でなくなくなっていく感覚がするんだと、名前のない死体は言っていたらしい。誰にでもできる手法じゃなく、誰でも受け入れられる事態じゃない。でも俺はできるし、……コイツもまあ、適性があるんだろう。

    「あのさ」

    手を止めることなく、その先へ視線を向ける。俺の下で横たわって、首だけ持ち上げてこちらを見つめる緑の、淀んだ目。瞬きをする必要のないそれは、コイツの身体が生きていない証拠の一つだ。

    「視線がうるさいんだけど。目、閉じて」

    俺の言葉に、眉を顰めつつ目が閉じられる。そのまま首を降ろしたのを確認して、手元に集中する。鎖骨付近から肩にかけて切開し、筋組織を付け足し繋いでいく。欠損を補うわけではなく、ただ足すだけの生者にはやらない行為。やれたとしても……いや、やれる人間なんてこの国でも今は俺しかいない。その手元が気になるのは当然という思いもあるけれど、……普通だったら自分の身体を弄られているところなんて凝視するようなものじゃないだろうに。それ以外でも大体……いや全部コイツの視線はうるさいんだよな。
    ――最高の素体が手に入った、と前線部隊から連絡があったのは半月前。他の有象無象と区別されて、けれど同じように物品として転送されてきたそれは、首の致命傷以外目立った痕のない、変に綺麗なものだった。見る限り俺より結構年上だろうにその身体ということはそれだけ強い、つまり良い素体なのだろうと思った。実際、稼働後の性能テストでは見たこともない数値を出してくれた。勿論、俺の技術と魔力あってのものだが。それはいい、とてもいい。いいんだが、

    「なーんか、変なんだよなあ……」

    俺のスカルは他のネクロマンサーのとこのアンデッドと違う気がする。俺というネクロマンサーが他よりも圧倒的に優秀なのだから、というわけでもないと思う。
    アンデッドの使役に大事なのは、身体の修復と魂の掌握だ。人間の魂はどうしても身体の状態に引きずられるので、修復は欠かせない。目でものを見る必要がなくとも、魂は目玉が存在しないと自分に視覚があると認識できない。戦場で発生した素体は大抵どこかが欠けているので、まずそこを綺麗に補えるかどうかが腕の見せ所だ。そうして修復した素体に傷などの死因から引き戻した魂を埋め込んだ後に必要なのが、掌握して自身に傅かせる術式。他国からは洗脳だとか言われるが、実際そうとしか言えないので否定はできない。国教を盲信しているうちの国民だって、実際自分が死んだ後こうして使役されることに喜ぶ奴はまずいないだろう。使って生活するのはいいが、使われたくはないと考えるのは人間として普通の感覚だと思う。スカルみたいに他国の奴なら尚更だ。それを解決するのが掌握術、反抗の意志を抱かず仕えることを幸福だと感じるようにしてしまう術だ。スカルにも施したそれは、問題なく作用しているはず、なのだけれど。

    「もう開けていいか?」
    「まだ終わってない。そんな見てて面白いか?」

    俺の腕は良いけれど、見てて惚れ惚れするようなのは同業者だけだろう。なら見たいのはその先の方だろうか。いや、普通自分の身体の中身なんて見たくないと思うんだが。もしかして戦場上がりってそういうの平気なんだろうか。俺はこの国から出たことがないので実戦部隊の感覚は分からないんだよな。戦地上がりの奴らは俺達のそういうとこが気に入らないらしい。ま、そりゃそうか。

    「面白いというか……永遠に見ていたい」
    「お前、趣味悪いって言われたことないか?」
    「覚えてないな」

    すっとぼけたわけではなく、実際覚えてないんだろう。俺であっても、魂を完全に引き戻すことはできない。生前の記憶や経験は、どうしたって欠けてしまう。前線に投入する雑兵ならそんなものより命令の再現性のみが重要だから、欠けているどころかこちらが意識して引き戻さないようにしているところはあるけれど、スカルは違う。最大限の精度と魔力で引き戻した、俺の集大成と言っても過言じゃない。まあ、完全性が必要か必要でないか問われれば後者なんだが。でも、自分の傍に控えさせる護衛用アンデッドが低スペックなんて耐えられないだろ。

    「あっそ。……よし、今回はここまでかな」

    今の素材で可能な補強を終えて一旦手を止める。どうせまたすぐに弄るから、縫合は適当だ。そのまま上から降りようとすると、太腿を押さえつけられた。

    「……スカル」

    反抗や加害の意志から来る行動じゃないのは分かっているが、こうして俺の指示していない行動を取ってくる。勿論、指示しないと何も出来ないアンデッドなんて不完全なものを作る俺じゃないが、想定外のことはあんまり良い気分じゃない。

    「目を開けてもいいか?」

    そんな俺の気分を知らないコイツはマイペースだ。許可を出すと、また首を持ち上げて俺を見る。

    「イイ眺めだ」

    何がどうしてそんな台詞が出たのか、さっぱり分からない。今の言動とか、全然どかす気のない手とか、やっぱりなんだか変だ。

    「手」
    「……」

    不満げな顔でのろのろと手を退ける。コイツ、凶悪な顔の割に他人との接触が好きなんだろうか。いや、凶悪ってのは流石に大袈裟か。顰めっ面と目つきが鋭いからそれが先行するだけで、全体としては整ってる方だと思う。男の顔だからどうでもいいと言えばどうでもいいけれど、整ってて困るものでもない。貴族が召使に美男美女を見繕うのってそういう考えなんだろうか。

    「あ、今の動きとか違和感ないよな?」

    違和感が出るような接合や縫合をするわけがないが、一応聞いておく。魔術も施術も、行使した俺が完璧でも、結局受け手次第だ。だからこそ、適性なんて言葉を使う羽目になる。

    「そうだな……」

    ニッ、とスカルが口端を吊り上げる。

    「ひゃっ……?!」

    スカルの指?手のひら?が腰になんか、変な当たり方して、変な声が出た。害意や明確な加害行為は術の方で無効にされるが、そうじゃない場合どうなるかはケースバイケースだ。術を構築した原初のネクロマンサーにも想定外はある。
    ……にしても、今のは何だったんだろう。てか凄い変な声出たんだけど。コイツ相手とはいえ流石に恥ずかしい。そんなやらかしやがったスカルは、微妙な顔をしつつ、目線が下へ向いて、俺の方へ戻る。

    「……まあ、こんな感じで普通に動く」
    「普通じゃなかったよな今?」
    「さてな」

    平常の無表情に近いスカルがすっとぼける。……まあ、声のこと弄ってきたりしないならいいか。今度こそスカルの上から降りて、伸びをする。そこそこな時間同じ体勢で集中していたから身体が固まっている。さっさと風呂に入って寝るか。

    「片付けは頼んだ」
    「……おう」

    振り返らず歩いて、処置室を後にした。




    「マジで勃たねえのかよ……」

    静かな処置室で、そんな呟きが落ちたのを知る由もなく。
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    ryuhi_k

    DONEアンデッド骨×ネクロマンサー輪な擬人化パラレル。
    墓石の上、二人でダンスを:5「これ、どこ向かってんだ?」

    向かいのリングに問う。造りが良さそうな馬車は、それでも振動がゼロじゃあない。窓から覗く景色は、勿論初めてのものだ。何せまだ、リングの屋敷とその職場の往復しかしたことがない。この国も住んでる奴らも、何もかもが俺にとってはどうでもいいからそれに不満はないが、この後に訪れる二人きりじゃない時間には不安はある。

    「お前の意味不明な要望を多分どうにかしてくれる人のとこだよ」
    「男なら普通だろ」
    「えー……」

    何故かリングにはこの当たり前の欲求が理解できないらしい。そりゃ俺だって今の、リングの横の特等席を与えられてる状態は嫌じゃない。寧ろ嬉しい。だが、声、視線、動作、髪の1本ですら欲しがるようにしておいてそりゃないだろう、といいたいのも事実だ。勿論、俺の口からそんな言葉が出ることはない。この不満の言葉達すら、いつの間にかなんだかこう、リングにとって都合よく――……何か腹に渦巻いていた気がするが、どこかへ行ってしまった。そんなどうでもいいことはともかく、俺の身体が直るってんなら単純に嬉しい。というか、二人でこうして出掛けてるのは、所謂デートってやつなんじゃないだろうか絶対そうだ。俺の欠けた記憶に同じようなものは見当たらないが、そもそも前線に出ていた奴にんな経験がなくても変ではないだろう。色んな国の軍服を着て、色んな国の奴らをぶっ殺していたぶつ切りの記憶ばかりの俺に、マトモに街で暮らした経験は……多分ないんじゃないだろうか。別にそれがどうってわけじゃないが。
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    ryuhi_k

    DONEアンデッド骨×ネクロマンサー輪な擬人化パラレル。
    手術的な描写有り・全体的に品はないのでご注意ください。
    墓石の上、二人でダンスを:2切り取ったものを丁寧に繋ぐ。沢山の素材から選りすぐった一番を、まるで最初からそうだったように。自分の身体が自分でなくなくなっていく感覚がするんだと、名前のない死体は言っていたらしい。誰にでもできる手法じゃなく、誰でも受け入れられる事態じゃない。でも俺はできるし、……コイツもまあ、適性があるんだろう。

    「あのさ」

    手を止めることなく、その先へ視線を向ける。俺の下で横たわって、首だけ持ち上げてこちらを見つめる緑の、淀んだ目。瞬きをする必要のないそれは、コイツの身体が生きていない証拠の一つだ。

    「視線がうるさいんだけど。目、閉じて」

    俺の言葉に、眉を顰めつつ目が閉じられる。そのまま首を降ろしたのを確認して、手元に集中する。鎖骨付近から肩にかけて切開し、筋組織を付け足し繋いでいく。欠損を補うわけではなく、ただ足すだけの生者にはやらない行為。やれたとしても……いや、やれる人間なんてこの国でも今は俺しかいない。その手元が気になるのは当然という思いもあるけれど、……普通だったら自分の身体を弄られているところなんて凝視するようなものじゃないだろうに。それ以外でも大体……いや全部コイツの視線はうるさいんだよな。
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