AI版 私の最後を君に ああ、本当に今日で終わりか。
暗い海を見つめながら、弥鱈は心の中でつぶやいた。
「のう弥鱈、旅行でも行かんか?」
門倉からそう誘われたのは2週間前。弥鱈は内心驚きながらも、いいですよぉと気の抜けた返事で承諾した。驚いたのは自分も同じことを考えていたからだ。
門倉と所謂セックスをする関係になったのはおよそ1年前。およそというのは建前で、本当ははっきり覚えている。1年前の、2月28日。ずっと焦がれていた男が、自分に欲情して腰を振って何度も名前を呼んで、そんな日を忘れられるわけがない。
てっきり一夜限りの関係かと思ったが、存外門倉は自分の体を気に入ったようで、誘われるがまま体を繋げる関係になっていた。
時が経つにつれ、情事の前後に食事を共にしたり、門倉の買い物に付き合って出かけたりもするようになった。だがあくまでセックスをする関係。それ以上でもそれ以下でもない。
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