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    ツキシロ

    @tk_mh123

    ツキシロのポイピクです。
    まほ晶♀の文章を投げる予定です。

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    ツキシロ

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    ファウ晶バレンタイン小話。甘め。

    #まほやく男女CP
    Mahoyaku BG CP
    #ファウ晶
    fowCrystals

    そして僕は走り出す「賢者、居るか?」
     コンコン、とノックをしたら、室内から控えめな返事が聞こえた。入っていいですよ、とのことだったので、ドアを開けたら、鍵がかかっていなかった。
    「失礼するよ」
    「こんにちは、ファウスト」
     いつもの笑顔で迎えてくれる、そんな、当たり前とも言えることが嬉しい。
    「ああ、こんにちは。ところで、昼間でも鍵はかけるように言わなかったか? 二階のメンバーは大丈夫だと思うが、他の階にはいきなり入ってくる者も居るだろう」
     賢者の書を書いていたところなのか、彼女は机の前の椅子に座っていた。その肩にはサクリフィキウムが乗っている。双子たちの使い魔だが、彼女の好みを反映して、見た目は随分と可愛らしい。
    「そうでした。すみません、うっかりしてて」
    「まあ、鍵をかけても、そんなもの物ともしない連中もいるけれど……気を付けた方がいい」
    「はい、ありがとうございます」
     軽く、ぺこりと頭を下げる。寒いのかもしれない、彼女は上着のフードをかぶっていた。膝掛けも掛けている。温かい飲み物でも魔法で出してやろうか。いや、話がひと段落したら手ずから淹れよう。きっと喜ぶし、僕も、彼女と話がしたい。
    「それにしても、どうしました? 今日は、お出かけって言ってませんでしたか?」
    「ああ、急に来てすまないな。ついさっき帰ってきたんだ。今、少し時間をもらえないか?」
    「はい、もちろん」
     晶はにこりと笑って立ち上がり、膝掛けを待って、ベッドに腰かける。気を利かせたように、サクリフィキウムは姿を消した。無論気配はあるが、色々な意味でそこまでしなくても、とも思う。いくら恋仲だと言っても、獣ではないのだから、昼間から何をする気もない。
     ぽんぽんと、隣に座るようにベッドを叩いている彼女にも、そんな気はないだろう。朗らかで邪気のない笑顔を見ていると、のんびりした気分になってくる。
    「今日、街で見つけたんだが」
     ぎし、とベッドを軋ませて隣に座り、懐から包みを取り出す。藤色の包装紙に、白いリボンがかけてある。
    「きみに」
     にわかに気恥ずかしくなって、それだけ言って差し出す。晶は優しいブラウンの目を見開いて、その包みを受け取った。
    「もしかして、プレゼント……ですか?」
    「ああ。その、今日はきみが言っていた、バレンタイン、っていう日なんだろう? 日頃世話になっている人や……愛する人に、プレゼントを贈る」
    「ありがとうございます! 開けてもいいですか?」
    「どうぞ。気に入ってもらえるといいんだが」
    「うわ、ああ、可愛いー!!」
     包みを綺麗に開けた晶は、目をきらきらさせて僕を見上げてきた。猫の形をした箱。ずっとそのまま眺めているので、開けてみなよ、と声をかける。
     ぱか、と蓋を開けると、その中には形や色も様々なショコラが詰まっていた。晶は弾かれたように顔を上げて、紅潮した顔で礼を言う。
    「すごい、可愛いし美味しそう……!! ファウスト、ありがとうございます!!」
    「いや、きみの嬉しそうな顔が見れて、僕も嬉しい」
     ふふ、と笑って返すと、彼女はさらに嬉しそうに口元を緩ませる。丁寧にぺこぺこと頭を下げるので、ぽろ、とずっとかぶっていたフードがとれた。
     その下に隠されていたものを見て、僕は、腰を抜かしそうになる。
    「晶、きみ、それは……!?」
     晶の頭には、三角の耳がふたつ、ぴょこんと生えていた。つんと立っているそれは髪と同じブラウンで、まるで、びっくりしている時の猫のようだ。
     晶は頬をぽりぽりと掻きながら、あははと苦笑いした。それにつられて猫耳もぴくぴく動く。人間の耳もなくなっていないが、無論動いてはいない。
    「実は、ムルに魔法をかけられてしまいまして」
    「は? どうして?」
    「実は私も、バレンタインだから、ファウストにプレゼントがあるんです。でも、ファウストだけにあげるわけにはいかないから、義理のものをみんなに配っていたら、ファウストにもあげるんでしょ? 可愛くしてあげる! って……」
     彼女によるムルの真似は意外と上手かった。いや、それどころではない。僕はティコ湖よりも深い溜息をついた。気配を探ったところ、呪いの類ではない。時間の経過で消えるだろう。ムルに文句を言いにいこうか。でも、あの西の魔法使いは神出鬼没だ。僕の行動を予想して新たな悪戯を仕掛けている可能性もある。
    「どうですか?」
     思考を巡らせつつ、ずり落ちたメガネを直していたら、晶が顔を覗き込んできた。
    「どうって?」
    「可愛いですか?」
     ああ、そうか、肝心なことを言っていなかった。
    「可愛いよ」
     笑顔で言ったつもりだったが、上手く微笑めていただろうか。手を伸ばして、頭を撫でてやる。すると、晶が顔を真っ赤にして肩を揺らした。
    「にゃ……!」
     にゃ?
     膝掛けの下から、ぴん、と尻尾が出てきた。尻尾もあったのか。
    「ふぁ、ファウスト、あんまり触られると……」
     目を伏せる晶の声が、甘く掠れている。かすかに息が荒い。
     ──まさか。
     それは、特別な夜、僕にしか見せない、彼女の顔だった。
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    ツキシロ

    DONEガルシア博士×アシストロイド晶♀。パラロイ軸本編後、ラボに残った晶。約五十年後、博士が亡くなった後、旅に出ていたオーエンとクロエがラボを訪れる話です。捏造多数。晶はカルディアシステム搭載です。
    パラレルワールド・スターチス 博士のことですか?
     そうですね、とってもお優しい方でした。私たちアシストロイドのことも、友人のように扱ってくださいました。アシストロイド差別について、何度か講演などもしていらっしゃいましたが、あれは本当に、仕事だからやっていたのではなく、私たちアシストロイドのことを、生活のパートナーとして思っていてくれたことは、ラボラトリーの中の人間も、もちろんアシストロイドも、誰もが知っていることです。
     それ以外のこと? もうお亡くなりになった方のことを話すのは憚られますが……そうですね、博士が受けていらっしゃったお仕事ですから……とても、真面目な方でした。真面目、といいますか、本当に研究がお好きなんだな、と思うことが多々ありました。研究だけではなく、先ほどのような講演やメディア出演、ラボの中での会議など、寝る間もない時期というものが、一年の間に何回もありました。それでも、ご自分の興味があることを見つけると、目がきらきらと輝いて、そのことに集中して、三日も寝ない、ということもありました。ええ、そういう時は、私や、その他の博士の助手を務めていたアシストロイドが、無理矢理にでも寝室にお連れしました。脳波や呼吸、脈拍などを感知していれば、さすがにもう休ませたほうがいい、という潮時は、私たちアシストロイドにはわかりますから。そのために博士は私たちをおそばに置いてくださったのだと思います。
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    ツキシロ

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    パラレルワールド・スターチス 博士のことですか?
     そうですね、とってもお優しい方でした。私たちアシストロイドのことも、友人のように扱ってくださいました。アシストロイド差別について、何度か講演などもしていらっしゃいましたが、あれは本当に、仕事だからやっていたのではなく、私たちアシストロイドのことを、生活のパートナーとして思っていてくれたことは、ラボラトリーの中の人間も、もちろんアシストロイドも、誰もが知っていることです。
     それ以外のこと? もうお亡くなりになった方のことを話すのは憚られますが……そうですね、博士が受けていらっしゃったお仕事ですから……とても、真面目な方でした。真面目、といいますか、本当に研究がお好きなんだな、と思うことが多々ありました。研究だけではなく、先ほどのような講演やメディア出演、ラボの中での会議など、寝る間もない時期というものが、一年の間に何回もありました。それでも、ご自分の興味があることを見つけると、目がきらきらと輝いて、そのことに集中して、三日も寝ない、ということもありました。ええ、そういう時は、私や、その他の博士の助手を務めていたアシストロイドが、無理矢理にでも寝室にお連れしました。脳波や呼吸、脈拍などを感知していれば、さすがにもう休ませたほうがいい、という潮時は、私たちアシストロイドにはわかりますから。そのために博士は私たちをおそばに置いてくださったのだと思います。
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