Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    白流 龍

    @houhoupoteto

    @houhoupoteto

    ヌヴィリオ、タル鍾SS置き場

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 70

    白流 龍

    ☆quiet follow

    タル鍾:『目、瞳』
    いつまでも、どうなろうとも、お前と共に。
    ※表現上横書き、一部読みにくい部分があります

    #タル鍾ワンライ
    tharuWanLai
    ##タル鍾

    背後から、肩を叩かれ振り向くと頬に指が刺さる。
    それをけらけらと笑う久々の顔。
    「任務は無事に終わったようだな」
    『もさろん なんてつたつておれだからね』
    「そうか」
    二人で顔を会わせて笑う。
    「暫くはのんびり出来そうなのか?」
    『いつしゆうかんは うれつい?』
    長い睫毛だ、と見ていたら返事が遅れてしまった
    「…そうだな、嬉しいな。…あと、」
    公子殿が持っていた筆を取り上げ、さらさらと所々に丸をつける
    「ここ、間違っているぞ」
    悪戯に見上げると、公子殿は一瞬はっとして河豚のようにむくれてしまった。
    そしてぷい、と背中を向けて部屋に入っていってしまった。
    その背中を、扉が閉まるまで眺めた後、今しがた書き留めていた冊子に目を落とす。
    その頁の一番上に、日付を書いた。

    少し間を置いた後、筆を置き、パラパラと頁を遡る。
    始めの頃はまるで幼児のいたずら書きの様な文字で、ついくく、と笑ってしまった。



    後数日で、耳が聴こえなくなるだろうと伝えた時の表情は忘れない。
    その時既に、壁一枚向こうで話しているような感覚だった。
    「え、あ…あっオレ聞いたことあるよ。手話って言うんだっけ?それ覚えたら話せるよな?」
    何故か、を聞いてこない所は公子殿らしいなと感じる。
    少し目を見開き、俺は、
    「…すまない公子殿、頼みがある」
    小首をかしげる君に、頼んだ。
    「璃月の文字を、覚えてはくれないか。俺は今までの公子殿との会話は全て覚えている。…これからは、眼で、憶えていきたい」
    「…わかった。朝飯前だっつーの」
    そういって生意気に笑ったお前は、俺が事実を伝えてから、目に見えて口を大きく開けてゆっくり話してくれていたな。
    お前の優しさだ。
    「…すまない」
    すると急に両頬を掴まれ眼前に真剣な表情の公子殿がいた。
    「そういう時は、『ありがとう』って言うの!!…わかった?」
    「…ありがとう」
    「よし!!」
    本当に、君の笑顔は明るいな。…悲しみを含んでいてもそう見える。
    その背中に、感謝の意を。



    少し慣れてきた頃、聞いてみたことがある。
    「何故横に書くのだ?」
    縦に流れる文字に慣れている分、横に流れる文字に慣れなかった。
    『おわのつにでは こうかくの。
    Я хочу быть с тобой всегда.
    みたいにぬ』
    ふふん、と得意気な顔をしていたのを思い出す。
    六千年を舐めるなよ。読めないとでも思ったのか。

    その文字列を、そっと撫でる。

    音は聴こえずとも、君と過ごした日々の音は心が覚えている。
    そよそよと風が吹き、木々の葉が擦れ会う。これからは眼に焼き付けていこう。

    「…俺も同じだ」
    その頁に栞を挟んでいるのは君には内緒だ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴💴💴💴💴💴💴💴💴💴👍👍💖💖💖😭😭😭😭💖👏😭😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works