二者面談「いらっしゃい、あら、とんだ有名人のご来店だこと」
「初めまして、阿僧祇さん。」
「お好きなところに座っていただいて結構よ。ご注文は?」
「では、烏龍茶を」
酒を楽しみに来た訳ではなさそうだ。まあ、通常営業の時間ではないので当然か。ただの飲食店を装ったのは徒労に終わったらしい。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
微笑むも口をつける気配はない。管轄ではないこの店に来たのなら、摘発ではないと思いたいが、客か敵かが読みきれない。
「素敵なお店ですねえ、阿僧祇潤さん」
「それはそれは、お褒めに預かり光栄ね入間銃兎巡査部長さん」
「おや、シンジュクの店の方にも名前を知られているとは」
「この国においては、あなたのこと知らない人間の方が少ないわよ」
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