キラキラ 出勝「おれが来た!」
不意にかっちゃんの大きな声が響いて、僕はすべり台のてっぺんを見上げた。
幼稚園の外遊びの時間。いつだってクラスの男の子たちの半分は、ヒーローごっこをするために、かっちゃんの周りに集まっていた。ごっこ遊びの中でなら、誰もが強力な個性を持てる。誰もがオールマイトになれる。時には敵役になって、意地悪なことを言ってみたり、やってみたりする。市民の役になって、ヒーローに助けられることを喜んだりする。
ヒーローごっこの中心はいつだってかっちゃんで、かっちゃんが「モブ」と呼ぶような役をやることはなかった。
それでも、みんながかっちゃんの周りに集まってきたのは、かっちゃんが、かっちゃんだったからだ。
人気ヒーローの役を、かっちゃんは決してやらなかった。オールマイトにも、エンデヴァーにもならない。かっちゃんは、「かっちゃん」のまま、ヒーローになる。そして圧倒的な力で、いつだってヒーローに勝利をもたらすんだ。
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