かたわらに風穴 与えられた観覧席に、どかりと掛ける。いくつものスポットライトに照らされた眩いステージには、初戦を勝ち抜いた三チームが各々の矜持を持って立っていた。堂々とした立ち姿。敗者が勝者を見下ろすこの図は、何度味わっても趣味が悪いなと思う。左馬刻の手は、自然とポケットにあるはずの煙草の箱へと伸びていた。
「Buster Brosは随分と強くなったな」
最初に口を開いたのは理鶯だった。低くも柔らかな声は、チームの重苦しい空気をほんの少しだけ和らげる。ゆるりと視線だけをそちらに向けると、すかさず、今度は反対側から声がした。
「ええ。最初のディビジョン・ラップバトルの時とは大違いです」
銃兎の声に、左馬刻はまた、視線を移動させる。
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