「ん…」
触れ合うだけのキスの延長、柔らかな唇が薄く開いて遠慮がちに伸ばされたそれ。瞬時に理解する。
もしもの時を想定して、これでもかと事前にありとあらゆる情報をぶち込んだ。あんなことからこんなことまで。知識ならある。だが俺から一方的に押し付けちゃ駄目。カインの同意を得てこそ、求められるまでは一切手を出さない。これは俺が勝手に決めたルールだ。
ついにこの時が来た。求められてる、カインの期待に応えられる。ようやく詰め込んだ情報と技術を披露出来ると内心喜んでいるのがバレないように、そっとカインの頬を包み込む。少しだけカインの頬が緩んだのを感じた。
「ん、は………」
俺の唇をつつく舌先を絡めとり、じゅっと吸い上げる。ぴくっと肩が小さく震えたのを、ゆっくり頬を撫でて宥める。肉厚なカインの舌を軽く食んで感触を楽しんだ後、口内へと舌を忍び込ませる。
1307