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    Futaba053Kara

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    Futaba053Kara

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    途中

    冷やしクソ松、はじめました

    扇風機の首振りを止め、がこがこ、とちょっと不安になる音を立てながら自分の顔の位置に調整する。スイッチを強に切り替えて、目を閉じておでこに滲んだ汗を乾かすように風を浴びた。えぇ…と不服そうな声がソファーの方から聞こえてきたのを暫く無視していると、小さなため息のあと、こちらへごそごそと寄ってくる。
    「…は?やだ暑い、ちかよんな」
    「だって一松がひとりじめするからだろ」
    「お前暑いの好きじゃん、外でサマサマ騒いで通報されてこいよ」
    「ン〜?なんの事だか分からないなぁ?」 
    汗の滲んだ湿った腕の感触がべたべたして気持ち悪い。肌から発される熱気に耐えられなくて払い除けようとするけど、抑え込む様に抱きこまれて発狂しそうになった。
    「だから近い!あつくるしい!やめろやめろ触んな…一階にエアコンあるんだからそっち行けばいいでしょ」
    「そういう一松は行かないのか?」
    「…エアコンは頭痛くなるからあんま好きじゃないんだよ…」
    「一松が行かないんならオレもここにいる」
    悪戯っぽい笑みを浮かべるカラ松がタンクトップの脇から手を入れてこようとする。だから暑いっつってんのにナニする気だよ、おれを殺したいんだろうかこの馬鹿は。こいつは夏の妖精を名乗るだけあってやっぱりおれよりもだいぶ暑さに強いらしく、余裕な表情なのが余計にムカつく。首元に伝う汗をべろりと舐めあげられて、しょっぱいな、なんて熱っぽい声で囁かれて。そのまま不埒な手がパンツの中に潜り込み…そうになった所で、カラ松の顔面に思い切り裏拳を叩き込んだ。
    「ッアウチ!?えっなんで!?」
    「なんでもクソもあるか!だから暑いって言ってんだろ、こんなとこでヤッたら死ぬってば!」
    「だ、だって汗かいてる一松がエロいから…」
    「お前と違ってこっちは暑さ耐性も体力もないんだよ…体温四十度下げて出直してこい」
    「それはマイナスになっちゃうな」
    「知らねぇよマグロと一緒に冷凍でもされとけ」
    「でも折角家にふたりきりなのに…」
    口を尖らせて上目遣いしてくる微塵も可愛くない姿を尻目に扇風機に向き直ろうとした所で、ぶーぶーいってたカラ松が不意にあ、と声をあげる。
    「え、なに」
    「一松、こっち」
    急に腕を引っ張られて困惑しているうちに連れてこられたのは、何故か風呂場だった。
    「は?なんで風呂」
    「いやあの、小学生の時とかよくやってただろ」
    言いながらぺたぺたと洗い場に入ったカラ松がシャワーのコックを捻る。足元に冷水をかけられて、そこでやっとカラ松の意図に気がついた。
    「これなら暑くないんじゃないか?」
    「…うん、まぁそうだね」
    ぱちゃぱちゃと足にかかる水の気持ちよさに抗えなくて思わずうっとりと息を吐いたおれを見て、カラ松は満足げに笑いながら自分の服を脱ぎ始める。やりたい事は分かったもののここで自分からほいほい脱ぐのもなんかちょっと気恥ずかしくて、座り込んで足だけ洗い場に出した状態でちらりとカラ松を伺った。
    脱いだタンクトップを渡されて、じっとりと汗で濡れた温度が残るそれにちょっと興奮してしまったのを無視して脱衣所のカゴに投げ入れる。張り付く前髪をかきあげたカラ松の首筋をたらりとつたう汗が妙に色っぽくみえて、口の中にじゅわりと唾液が滲んだ。
    「いちまつ、おいで」
    にこにこと無邪気な笑みを浮かべやがってなんかムカつくな、とか思いながら一歩中に足を踏み入れると、今度は膝の辺りまで水をかけられて冷たさにぴくんと身体が跳ねる。気化熱でひんやりする足の感覚に気を取られながら後ろ手に扉を閉めると、頭から思い切り水を浴びせられて飛び上がった。
    「ひっ!?ちょ、ぬれ、まっ、服!」
    「どうせ洗うからいいだろ」
    あっという間にびしょ濡れになった頭をわしゃわしゃとかき混ぜられて、前髪を雑にかき上げられる。身体中の熱が一気に奪われたような感じがして、冷たく張り付く服が気持ち悪いような心地いいような。
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    Futaba053Kara

    DOODLE7/24からいっちの無配です
    理想の暮らし理想の暮らし

    汗を流して働くというのは、素晴らしい事だ。
    朝日と共に目を覚まし、身支度を整えて各々仕事を始める。食料の殆どを自給自足しているこの村では、その日食べるものを自分達で用意するだけでも大変だ。
    まずは牛を放牧場へ連れ出して、牛小屋の掃除。のんびり草を食んでいる姿を眺めながら欠伸をこぼしていると、村の子供達がすれ違いざまに挨拶してくれる。きゃいきゃいと話しながら農具を持って走っていく姿に、子供なのに偉いよなぁ、なんてぼんやり思った。自分達が小学生の頃なんてちょっとお使い頼まれただけで押し付け合いの大騒ぎだったのに。いや小学生どころかつい最近まで似たような状態だったんだけど。
    一通り牛の世話を終える頃には日も高くなってきて、天気が良いので釣りへ向かう。途中木陰でおそ松兄さんが昼寝していたのをカラ松が狩りへ引きずって行ったのを見かけた。ここ最近魚ばかり食べているからそろそろ鳥でも捕まえてきて欲しいな、なんて思いながら釣り糸を垂らす。ここらの海は波も穏やかで大きな魚があまり居ないせいか、殆ど入れ食い状態で魚が釣れるのだ。まさか暇つぶしのために通っていた釣り堀での経験がこんなところで役に立つとは、人生ってほんとなにが起こるか分からないよね。
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