火は熱いし、電気に触れれば当然痛い。クワロの薬が効くくらいだから、ネガの魔物だって生き物のはずだ。ピックで突いても、魔法で焼いても、剣で切っても魔物は倒せる。どんな見た目をしていても。
リネの村は空どころか空気自体が澱んでいる。質の悪い燃料を延々と燃やし続けない限りこうはならないだろうという黒煙の中で住宅は、数年の劣化だけでは説明のつかない傷み方をしていた。
死角からの一撃はなんとかやり過ごした。カラスのような魔物を強かに殴りつける。リトルベルの看板から剥がれ落ちたtの字が鋭角を当て損なったのが、手に伝わる反動でわかる。取り回すには少し重く、圧倒するには重みが足りない。膂力が足りない分だけまだ致命打に届かない。
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