物流所の朝は兵士だった頃より少し早い。必ずしも毎朝鎧を着込む必要はないので、これは無駄なことだとわかっている。
抱えなれてしまった木箱を抱え上げる。日に日に重く感じるような気がして漏れかけた舌打ちを抑え込む。不服だがルビ王国の戦況は決して芳しくない。
物流所勤務としての仕事は二つ。国から送られてきた物資を分配すること、労働力を含めたリソースを手配すること。フラスコ内で加工された薬品類は道具屋の管轄なので、受付シフトにさえ回らなければ仕事自体は少ない。
山奥に派遣されることもあるが、それとてリハビリのようなものだ。兵士として服役する見込みは当然ない。山路を踏破できるわけでもない、なんとか薪を割れる程度の人間が戦場で何ができるだろう。
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