良いと仰るのであれば 部屋に入ってすぐに彼女の姿が目に入り、それから思わず大きなため息をついてしまったのは仕方のないことだと思う。
端的に言って弓弦は暇だった。その日のスケジュールはただひとつ、夕方の遅い時間からESにてfineのメンバーとプロデューサーであるあんずと共に最近決まったばかりの腕時計ブランドとのタイアップ企画について話を詰める。それだけである。個人としてもユニットとしても他に仕事は入っておらず、取り立てて片付けるべき業務も見当たらなかった。侍るべき主人は現在学友とティータイムを楽しんでおり、「弓弦はいなくていいから!」と釘を刺されている。しかし打ち合わせの予定が入っている以上主人の邸宅に戻るわけにもいかない。故に、早めに現場に入り掃除なり茶の準備なりで時間を潰そうと思い立ったわけである。
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