隣の家に住んでいる少年が星塵は兎角苦手だった。目が合うだけで背筋が震え、心臓が冷えるようだ。彼の瞳はいつも、星塵を憎んでいるかの様に強い。
どうか私を見ないでくれ。
少年に見られていると思うだけで、星塵は頭を抱え、身を縮めてしまいたくなる。どこかに消えてしまいたくなる。随分と歳下の子供に抱くにはあまりにも異質な感情が胸の奥で渦巻いて、嫌だと思いながらも無視する事さえ出来ない。
ある日星塵はとうとう耐えきれなくなって、両手で顔を隠して蹲った。
「お願いだから、そんなに私を責めないでくれ」
「違う」
少年の声は静かだ。
「責めているのは私じゃない」
そこにあるのは憎しみではなかった。
星塵は恐る恐る顔を上げた。
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