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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    完全スピンオフ夢小説です。

    「実、行きなさい」

    私は固まった。
    一瞬が永遠に感じた。

    「実、大好きよ。元気でね」

    私は彼女に抱きついた。

    ママ、大好き

    そう耳元で言うと、頭を撫でてくれた。


    私は踵を返し、大人たちの間を縫って部屋の外にそっと出た。
    その時、彼女の悲痛な叫びが聞こえた。


    「返して!!!」


    返して?????


    「赤ちゃんを返して!!!!」


    赤ちゃんを?????


    大人の声が聞こえる。


    六眼の子供だ。
    しきたり通り呪力が安定し、術式が判明するまで呪術師の乳母の元で育てる。



    私の中で何かが弾けた。



    私は部屋に戻り、赤ん坊を抱いている医師に近づいた。


    「赤ちゃんをママに返して」


    赤ん坊が泣いている。
    母親を求めて泣いている。


    医師が驚いた顔で私を見ている。
    「この子供は何なんだ?!」


    「なんで親子を離ればなれにしようとするの?」
    「私だけじゃなくて、この子は生まれたばっかりの赤ちゃんなのになんでそんな酷い事ができるの?」


    最早私には醜い生き物にしか見えない老人が近づいて来る。


    「子供を相手にするな!早く行け!」


    怒り以外、何も感じなかった。
    大勢の大人に囲まれても怖くなかった。
    ママが悲しんでいる。
    赤ちゃんが泣いている。

    「実……!どうして……!」



    赤ちゃんをママに返して!



    そう言った瞬間、金属音のような音と共に閃光が走った。


    私の周りにいた大人は全員2~3メートルほど吹っ飛び、産着に包まれた赤ん坊だけが私の目の前に浮いている。
    赤ん坊にそっと手を伸ばすと、ゆっくりと私の腕の中に下りて来た。


    私の腕の中で泣き止んだ赤ん坊はとても美しかった。
    髪の毛も、睫も、眉毛も白い。
    そして碧い瞳ー

    何が起こったか分からない大人たちを尻目に、私はママに近づいて行った。

    「ママ、凄くかわいい赤ちゃんだよ」

    赤ん坊を渡すと、彼女は我が子を胸に抱きながら私の事も抱き寄せた。


    「実……どうして……どうして行かなかったの……?」

    「ママも赤ちゃんも泣いてた。置いて行けないよ……!」



    「赤ん坊を渡しなさい!」

    大人たちが詰めよって来る。だけど私から2~3メートルくらいまで近づくと見えない壁にぶつかるような感じで無様に弾け飛ぶ。


    「結界が消えてるぞ!何をしている!呪霊が六眼の呪力に興味を持って寄ってくるぞ!」


    「それが……何度も張り直そうとしているのですが……ベッドに近づくと呪力が……」


    「……実の力か……!」




    その後の事はよく覚えていない。
    彼女の出産に立ち会い、激しい怒りと共に自分の力が覚醒した事で疲労がピークに達し、赤ん坊を彼女の元に帰せた事で安心したのか、気絶してしまったようだった。


    目が覚めると、私の横には赤ん坊におっぱいをあげる彼女がいた。
    他には誰もいなかった。


    「この子を守ってくれてありがとう。」


    柔らかな陽に包まれておっぱいをあげる彼女は聖母のように見えた。
    とても美しく、言葉が出なかった。



    「この子の名前、実に似た名前にしたいと思ってたのよ」


    「そうね……さとる……」


    「悟にするわ」





    12月7日

    五条悟 爆誕





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