Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    いぬさんです。

    @INU_san_desu_
    お気に入り保存用

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 66

    いぬさんです。

    ☆quiet follow

    59話目、ラス2です~

    59全員着替えてリビングに集まった。
    実はちゃんとメガネもかけている。

    「五条、当主交代が向こうの狙いなら、お前の首も狙われてるんだろう?」

    硝子はいつもズバッとものを言う。

    「俺が一番だろうな。だからこそ実が狙われる。俺の最大の弱点だからな」

    「ふむ。お前たちはくっついていた方がいいのか、実さんを隔離した方がいいのか」

    「そこなんだよね。どうしたらいいかなぁ?」

    「決めておけよ」

    「私は悟といたいんだけど……」
    実がおずおずと発言する。

    「わたくしもそれがいいかと思います」
    桜子さんが同意する。

    「じゃあ、実はできるだけ近くにいて。怖かったら逃げて。術師の誰かは近くにいるから」

    「うん。ありがとう」

    「桜子さん、ちょっといい?」

    「はい」

    桜子さんを連れてリビングを出る。

    「実、どうなの?」

    「……悟様には伝えないと、実さんと約束いたしましたのでご勘弁頂きたいのです」

    「実の意思なの?」

    「左様でございます」

    「次期当主の俺より、実との約束を守るって事?」

    「申し訳ございません」

    「……うん。それでいいよ。実を優先してくれてありがとう」

    「悟様、あなたこそ次期当主に相応しい」

    「そんなことない。光がいるし」

    「悟様。この老いぼれのいう事を聞いてくださいませ」

    「うん?」

    「決して、迷ってはいけません。躊躇もいけません。決断は刹那に。実さんの為に」

    それが何を意味するのか。
    言葉に詰まる。

    「五条!!!」

    硝子だ。
    リビングのドアを開けると実がいない。

    「消えた。一瞬で床に吸い込まれた。五条の母親が実さんの腕を掴んだからか一緒に消えた」

    「桜子さん!見えるか?!」

    桜子さんは薄目を開けてどこか見えない所を見ているようだ。

    「近くにおります……社のようなものが……」

    「裏山だ!全員俺から100メートルは離れてろよ!領域展開したら巻き込まれる!」

    縁側からお社まで飛ぶ。
    お社は俺と実の聖域だ。
    無断で足を踏み入れるなんていい度胸だ。



    お社には実とオフクロ、そしてあの男がいた。
    肌が粟立つ。殺してやりたい。

    「こっちは悟くんのお母さん?なんか勝手について来ちゃったんだけど邪魔なんだよね」

    「じゃあ離してやれよ」

    オフクロは呪霊にとぐろ巻きにされているが本人は気丈にしている。実は普通のロープで巻かれていて猿轡もかまされている。この間叫んだからか。

    「お前一人で来たの?友達いないの?」

    呪詛師や今いる呪霊の他に呪霊がいる気配がない。
    よっぽど自分に自信があるのか。

    「友達はいるよ?でも悟くんも分かってるよね?私たちの呪力は五分だって」

    「五分?片目の六眼がよく言うよ」

    「片目にだってできる事はあるけど?」

    「実、黒いバリアで縄を切れるか?」

    実がちょっと首をかしげる。
    不安そうだけど目に光はあるから大丈夫だな。
    ピンクのバリアは出てるけどあの男には関係ないみたいだ。

    「黒いバリア?そんなのあるの?」

    それはやっぱり知らなかったか。
    でも実はあいつも無限が出せると言ってたから黒いバリアもあいつには通用しないかもしれない。
    いや、それより何より実に人を傷つけさせたくない気持ちの方が強い。

    ジュッという音もともに実が自由になる。

    「ママ!」

    実があいつの逆隣にいるオフクロに駆け寄ろうとする。

    「実!」

    オフクロをとぐろ巻きにしていた呪霊に実が近づいた瞬間、黒いバリアで呪霊が消滅する。

    「あはは!本当に凄いね!」

    男は笑うと実の腕を掴む。
    黒いバリアは無駄か。

    「ママ!悟のところに!」

    「娘を離しなさい!!」

    男の目の前でオフクロの特級呪具が「花凛」が止まる。花凛は鞭形の呪具でオフクロ専用だ。

    「悟!やはり無限があるわ!」

    「どうなってんだ?」

    「ママ!悟のところに行って!」

    「娘を返して!!」

    オフクロがまた花凛を振るった瞬間、男が印を結ぶのが見えた。

    「実!バリア通常にしろ!!!」

    「ママ!!!」

    「術式順転 蒼」

    目の前で自分の母親が見えない何かに潰される。
    「蒼」を使える術師______

    「ママーーーーーーーーー!!!!!」

    「実!!見るな!!!」

    「あ、ごめんね?力加減ができなくて。これじゃあお葬式できないよね?」

    「いやああああ!!!!ママ!!!!!」

    「実!!俺を見ろ!!!」

    「母親も助けられない当主はいらないでしょ?大きなお家と仕えてる人間は僕がもらってあげるから。実さんはかわいいからお嫁さんにしてあげてもいいよ?」

    「離して!!」

    「どんなバリアも無限の前では無意味だね」

    実の力であいつを振りほどくのは無理だろう。
    無限は無限を通過するのか_____
    実を抱えてるあいつに体術で負ける気はしないが


    やるしかねぇ



    打撃は全てあいつの少し手前で止まる。
    術式が術式を通過しようとしてゴリゴリと不快な音がする。

    傑の呪霊を叩きたいがこいつも実と一緒に無限でガードされている。俺が無限で実を守っていたように______

    「実、もう少し頑張れるか?」

    「悟……こいつを……殺して……!!こいつはママを……!!!」

    実の顔が怒りと悲しみの涙で歪む。

    「異議はないよ。殺してやる」

    「君たち怖いねぇ。無限同士じゃラチがあかないから、やっぱりコレ使うしかなさそうだね」

    傑の呪霊が武器を吐き出す。
    あれは……

    天逆鉾________

    「コレ、実さんのバリアにも有効なのかな?」

    「やめろ!!!」

    実の首に天逆鉾を向ける。

    「実、その呪具は発動中の術式を強制解除する。絶対に動くなよ」

    「動くな?実さんは逃げた方がいいんじゃないかなぁ?」

    実の首にぴったりと天逆鉾がはりつく。
    バリアも解除されるのか。

    「実さんがいる限り、悟くんは私を傷つけられない。勝確の領域展開もできない。触れていない人間は領域の影響を受けちゃうからね」

    「お前はペラペラよくしゃべるな」

    「天逆鉾に一度殺されてるんだもんね?六眼を殺すなんて本当に物騒な呪具だよ」

    こいつはさっき、蒼を「力加減ができない」と言ったよな?
    蒼は俺がガキの頃から使えてた。今なら出力の調整くらい楽なもんだ。
    やはり片目ではできなかったんだ。
    最近呪具か何かで呪力を底上げしたからできるようになったのか。

    だったら同時に領域展開しても俺の領域の方が洗練されているはず。
    押し負けることはない。
    領域では負けない。
    でも実に触れていないと意味がない。
    考えろ_______

    「悟くん。実さんを助けてあげるから悟くんは死んでって言ったらどうす?」

    「いいよ。死んでやる」

    これについては考えるまでもない。

    「悟!!」

    「君たち本当に凄いよ!美しくて反吐が出るね!」

    天逆鉾。
    あいつだって天逆鉾を持ってる今なら無限はないはず。
    俺が突っ込んだ瞬間にあいつは実の首を切る。そして無限を使う。


    「こういう慢心が破滅を招くのです」


    上から桜子さんがひらりと降りて来たかと思った瞬間、実を掴んでいた腕が切り落とされる。
    桜子さんは大きめなサバイバルナイフのような武器を持っている。
    あれを振り回せるなんてタヌキだな。


    「実さん!悟様の元へ!!」

    実が駆け出したと思ったら、ガクンと動きが止まる。

    「まだ逃がしてあげないよ?」

    切り落とした腕が再生している。
    再生した腕は元の腕とは明らかに違う。
    人間の腕じゃない。

    「お前……特級呪霊を受肉させたのか……」

    「バレちゃった」

    なるほど。
    それなら呪力アップも頷ける。

    「気持ち悪ぃヤツだな」

    「悟くんを殺したい呪霊なんて腐るほどいるってことだよ」

    「申し訳ありません。まさか受肉させているとは……」

    「いや、正体が分かったから結果オーライ」


    さて。
    どうするか。

    「悟様。私も六眼です。多少は領域にも耐えられるでしょう。わたくしが実さんを確保しますので」

    「それは危険すぎる。俺が実に触れていないと」

    「天逆鉾で首を飛ばされては家入さんの反転術式も全く無意味です」

    「桜子さんは俺の領域内でどれくらい耐えられると考えてる?」

    「甘く見積もって1分……」



    こいつが五条家をのっとったら呪術界の均衡が崩れる。
    絶対にダメだ。

    でも_________


    「悟!!」


    俺が死んだとしても実には生きていて欲しい


    「悟!!こんなヤツやっつけて!!!」


    実は俺の全部なんだ


    「この世界には悟が必要なの!だから悟は生まれたの!!悟は生きるの!!」


    男が天逆鉾を投げ捨てる。
    桜子さんが実に向かって走り出す。


    ほぼ同時に印を結ぶ



    「領 域 展 開」


    俺の方がコンマ数秒早いか


    「無 量 空 処」






    桜子さん 実を頼む______


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator