「話を聞いた時はまさかとは思ったが、本当だったとは…」
俺は一烏が連れてきた子を見てつい口にしてしまう。
そいつは一烏の後ろに隠れたまま顔も出そうせずモジモジしている。
「ほりゃ、いつまでも隠れとらんと挨拶せんか」
一烏に促されて漸く顔を出したその子は言われてみれば面影があるように感じる。
だが、その表情はいつもの飄々としたものとは異なり不安の色が見て取れる。
「あの…えっと…今日から…よろしく…お願いします…」
消え入りそうな声で小さく頭を下げるが、目を合わせることはなく、
スグにまた一烏の後ろに隠れてしまった。
「やれやれ…」
一烏はため息をつきつつも、しゃがんで目線を合わせる。
「よいか鷹彦、ワシは任務があるから暫く留守にせねばならん。
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