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    yoru05098163

    @yoru05098163

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    舞台はふんわり西洋。夜な夜な人の生き血を吸わねばいきてゆけない吸血鬼七海と七海に恋してしまい自らの血を捧げる神父灰原。
    本当にかいつまんだストーリーのさわりの妄想。

    #灰七
    ash7

    聖職者灰原と吸血鬼七海の雑な妄想メモ舞台はふんわり西洋。夜な夜な人の生き血を吸わねばいきてゆけない吸血鬼七海と七海に恋してしまい自らの血を捧げる神父灰原。
    本当にかいつまんだストーリーのさわりの妄想。


    街である時、人々が生きたまま血を吸われ、不思議と致命傷まではいかないものの、瀕死の状態で発見される、という奇っ怪な事件が多発する。被害者の首筋にはかならず何かに吸われたような深い歯形が残っていて、街の駐在は懸命に調査に当たるものの、一向に手がかりは掴めない。人々は皆口々に吸血鬼の呪いだなんだと、まことしやかに囁き、忌み恐れた。ひとつ共通していえるのは、狙われているのは決まって若い青年ということ。次々若い男が吸血され、吸血鬼の呪いの噂は街中に瞬く間に広がった。
    困り果てた人々は、街のちいさな教会の親父である灰原に、どうにかして犯人をつきとめることはできないかと話をもちかける。それまでにも人々の相談を受け、皆の憔悴して怯えきった様子を見かねていた灰原は、すぐさた事件解決のため立ち上がることを快諾する。
    気づけばこの頃、吸血の魔の手に掛かったものは、街の若い男の半数を占めるほどにのぼった。犯人が狙うのは若い男一択。自分もその条件に漏れない。それを逆手に犯人を誘い込む算段を立てた。
    事件が起こるのは決まって夜だった。灰原はいつもより早く部屋の明かりを落として、自室のベットに横たわってその時を待つ。灰原には生まれつき人より優れた第六感のようなものが備わっていて、その夜かならず吸血魔が自分のもとにあらわれるのだと、その日はそんな確信めいた何かを感じていた。
    夜も更け、草木も寝静まる頃、うっかり寝入りそうになっていたところ、ぎい、と床板が不気味に軋む音で目が覚めた。目を閉じたまま、忍び寄る気配に息を潜めじっと待つ。灰原は第六感の他に人より鼻が効く特異な人間だった。目の前にあるのはどう考えても人の匂いでない、人ならざるものの香りを纏ってそこにいる。じりじりと灰に詰めよる〈なにか〉は枕元に立つと、しばらくじっと、こちらを見つめ見つめているのは目を開けずともわかった。ぎしり、とベットの木枠が音を立てる。ぬるい吐息がかかったと思うと、首筋目掛けて噛みついたその瞬間、灰原は飛び起き、襲いかかる〈なにか〉の首を掴んで馬乗りになりベットへ組みしだいた。それは抵抗する様子なく、敷布に沈ませたままじっと灰原を見上げる。得体の知れない存在にたらたらと流れる冷や汗が止まらない。すると窓の外、月光を遮っていた雲が途切れて、窓辺から差し込む月あかりに照らし出された姿に灰は思わず感嘆の声を上げていた。しっとり、という言葉がじつに相応しい、みずみずしくきめ細やかな白い肌。月のわずかな光すら透過する、色素の薄いさらさらとした絹糸の髪、それらに縁取られたまるでセルロイドみたいな造形の目鼻立ちは涼しく、まさしく人の青年、の形をした、人ならざるもの。強く力を込めたはずの腕からはいつのまにか力が抜けて、灰はただただ眼下のうつくしい青年に一心不乱に見とれた。
    「きみが……街の人の血を吸う吸血鬼……なの?」
    組みしだいたまま、おそるおそる問う。すると美しいセルロイドの顔は静かにこくりと頷いた。


    青年は襲いかかってくることも、暴れたり、逃げ出したりすることもなかったので、灰原はキッチンであたたかいココアを淹れ、吸血鬼の青年に手渡した。カップを受け取るとふうふうと立ち上る湯気に息を吹きかける。どうやら猫舌らしい、と、そんなことはどうでも良くて、肝心なのは、息を吐いた際に覗く、鋭い二本の犬歯からたちまち目を離すことができなくなったこと。人間のものとは長さも鋭利さもまったく異なる、あきらかに何かの役目をもって生まれた形をしている。おそらくこのとげとげとするどい歯先で、ぶすりと柔らかな人の肌に噛み付くのだろう。平行にあいた二つの穴からは、新鮮で、ぬめぬめとあざやかな血液がぷっくりと盛り上がって、薄く妖艶な唇でその溢れた血液を吸い出し、こっくりと白い喉で飲み下すのかもしれない。そう思うと、灰原はごくりと唾を鳴らす。おかしなことに恐怖からでない。吸血鬼が血を吸う一連のさまを想像することで、体は否応なしにずくずくと疼いて、男の体の中心の一部が、猛々しく反応を起こすのだった。俗世の欲望から隔絶した暮らしを何年も貫いて、それに不自由をおぼえたことなどこれまで一度もなかった。むしろそのような暮らしが自分には適していると信じて疑わなかったし、それなのにどうしたことか、今まさに己の身体は、聖職者にあるまじき反応を寄越して戸惑いを隠せなかった。
    狼狽える灰原の目の前で、こくこくと喉を鳴らして茶色い液体が飲み下されていく。同じように人の生き血を吸うのだと思うとぞっとして、それ以上に興奮を覚えた。吸血鬼の青年は一息つくと、ほう、とちいさく息を吐き出し、空のカップをテーブルの上へと静かに乗せた。椅子を引き、灰原はその隣へ腰掛ける。それから出来るだけ穏やかに、聖書を説く際と同じ口調で尋ねた。
    「きみの名前は」
    碧玉の瞳が揺れると、
    「七海」
    とだけ答える。
    「そう。じゃあ七海はどこからきたの」
    「……すみません。それは答えられないルールなので」
    「そうか……じゃあ、どうして血を吸うの? よければ、教えてくれるかな」
     七海と名のる青年は少し考えている様子で、それから素直に口を開く。
    「わたしたちが血を吸うのは、あなたたち人間の食事とと同等の行為です。わたしたちは血を吸わなければ生きてゆけない。ただ、それだけの単純な理由です」
    「じゃあ……やっぱりきみは吸血鬼ってこと、でいいのかな」
    「ええ。人間はわたしたちのことをどうやらそう呼ぶようなので」
    「そうか……生きるため、なのか」
    灰原は考える。どうやら闇雲に人に危害を加えているわけではないらしい。凶暴な生き物でないことはおとなしく座ってココアをすする姿を見ていればわかる。吸血鬼には吸血鬼なりの、のっぴきならない理由があるらしかった。
    「血じゃなくて……なにか、血の代わりになるものとかはないのかな?」
    「かわり?」
    「そう。ほら、そのココアみたいに」
    灰が言うと、七海は置かれたカップに視線を向けた。
    「あなたが淹れてくださったこの飲み物はあたたかくてあまくて、とてもおいしかった。けれどこれでは生命を維持することはできません。いわばあなたたちでいうケーキやクッキーみたいな、嗜好品のようなものでしかない。私たちの主食はあくまでも人間の血液なのは揺るがぬ事実です」
    「そうかぁ」
    妙に納得してしまう。人は食わねば生きていけないし、かといって菓子だけで栄養をまかなうことはできない。それは吸血鬼も同じだと言う。
    「わかった。じゃあ、ぼくの血をあげる。だから街の人たちを襲うのはやめてあげて。僕の血を、気が済むまでぞんぶんに飲むといい」
    灰原にとって、自分以外の誰かが傷つくことは、何よりも耐え難い仕打ちだ。いっそひと思いに、吸血鬼に好きなだけ血を与えて、気が済むまで飲めば良いのではと思った。
    「どうして……」
    「だって、これ以上街の人が痛い思いをするのは嫌なんだ。僕の血じゃだめかな? 血はどのくらい必要なの? 全部あげる。君が僕の血をお腹いっぱいになるまで吸ったら、街の人はもう襲わないって約束してよ、お願いだから」
    ほら、と、灰原は勇んでシャツのボタンを外して首筋をさらした。七海は灰原に詰め寄る。開いた赤い上唇と下唇のあいだからのぞいく白い犬歯で首筋目掛けて噛みついた。
    ああ、以外と短い人生だったなぁ。まだまだやり残したことがあるけれど、街のひとたちが穏やかに暮らせるならそれでいい、それがいい。
    がぶりと噛みつかれ、気を失って、血を吸われて、からからに干からびた状態で街の人に発見される、なんてちょっと残酷な気がするし、それは流石に見つける人がいやだろうな、なんて思いながら覚悟を決めて灰原は目を瞑った。
    それが、そう思った通りにならなかった。
    七海は突然首筋から歯を抜くと、肩を掴んで驚いた顔で灰原を見つめた。
    「えっ? どうしたの? もしかして、まずかったとか?」
    野菜や肉にも柔らかい固い、があるように、血液にもきっと上手いまずいはあるだろう。もしかしたら自分の血よほどまずかったのかもと申し訳ない気持ちになる。もともと菜食主義であるから淡白な味だったのかもしれない。どうしよう、これでは問題解決にならないではないか。
    「美味しい……」
    ぽつり、きらきらと瞳を輝かせて七海はつぶやく。
    「えっ?」
    理屈はこうだ。灰原の血液はごくごく極めて稀な成分で出来ているらしく、七海の腹をわずかな量で満たすことが出来るらしい。なんと素晴らしい発見よ!七海が熱く語るによると、灰原の血には並々ならぬ栄養素が含まれていて、それゆえどうやら少ない量で他の人間の何倍も腹を満たすことができるということだった。本来ならば、一日に成人男性ひとりの致死量ぎりぎりの量を吸わねばならないところを、灰原の血であればたった二百ミリリットルで事足りるのだと言った。そんなもので街に平穏が訪れるならおやすいごようと、灰原は自らの知を喜んで吸わせた。七海は血を吸うとき、うっとりと潤んだ瞳でいかにも満ち足りた、という表情を浮かべる。血液で真っ赤に染まった上唇と下唇を合わせて、舌なめずりをして、それはまさにこの世のものとは思えぬ妖艶さで、自然と男の性が反応した。それには困り果てたたが、親父のたゆまぬ理性と努力で耐え忍んだ。
    七海は一日に一度、眠る前に血液を飲むのが日課だった。ある夜七海は「血を飲ませていただくかわりに、わたしになにかできることはありませんか。あなたにお礼がしたい。わたしにできることならなんでもします」と言った。迷うことなくすぐさま思い浮かんだ欲望に灰原は赤面し、慌てて口をつぐんだ。
    「きみの体に触りたい。できるなら触って、その先、きみのぜんぶを知りたい」
    なんて、とても立場を十分理解した、分別をわきまえた大人の、なにより神に身を捧げる職を得る者として、口が裂けても言えるわけがない。


    親父灰原が理性を揺さぶられ葛藤しまくる人間と吸血鬼の奇妙な同居(同棲)生活が始まる。
     
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