君と僕の宇宙一楽しい夢の国観光晴天が広がる青空が広がる空の下、ビル群が並び若者やサラリーマンが闊歩するスクランブル交差点を今ベルゼブブとテスラは歩いていた。人混みに紛れ神と既に天に召され数百年の二人は、普段はラボに籠り研究に夢中になる為に、外に出る時は、実験や研究材料を取りに行く時だけだ。そんな二人だが、今現在大都会東京の下にいる。
事の発端はエジソン達に恋人らしい事をする事の無い二人に、プレゼントと称して地上旅行のチケットを渡された事だった。遊びにも行かない研究馬鹿な二人に、少しは研究を忘れて恋人らしい事をしろと、チケットを渡されたからには行かなくては成らないと重い腰を上げたのだ。
そして現在、普段住む穏やかな天界から降り立ち、二人は都会の真下にいる。
ビルが建ち並ぶ歩道を歩く。ベルゼブブは現在テスラとクレープを食べながら、宛もなく歩いていた。若者の街渋谷を見てみたいと言ったテスラの言動が発端で、二人はそこへ行き歩きながら気になった店に入る。二人には現代は興味だらけで、電光掲示板を一時間眺め考察したり、ビルをどう作ってあるのかを語ったり、店内の現代の電灯を見て語ったりと、疑問だらけの現代の仕組みを満喫していた。
テスラがあちこちに行くのをベルゼブブが見守り、時々危ない時は制御しと歩くだけでも現代は彼等にとっては発見だらけで、嘗て人類に興味が無かったベルゼブブはここまで現代は発展していたのかと関心した程だ。
そんな中渋谷も見回り、次にどこに行くかと雑誌を覗きながら静かな喫茶店で紅茶を飲んでいる。テスラは真剣に自分の興味のある所を探すが、行きたい所が多すぎて絞れないと悩んでいる。
ベルゼブブからするとテスラと研究談義も楽しいが、偶には恋人らしい事をしたいと思いテスラが唸る雑誌を捲ると、目に付いた文字に此処にするかと決めた。
「ねぇニコラここに行こう」
珍しいベルゼブブからの頼みにテスラは覗くと、目に入って来た文字と写真に目を見開き困り顔をする。
「こ、此処かい?私も気になるし知識としてはあるが、もう燥ぐ歳でも無いし…」
「何言ってんのニコラ、恋人と言えば遊園地、遊園地と言えばここと言えるくらいにこの国では有名だよ。ねぇ…ニコラにはこの虎の耳が似合うかな?」
楽しそうに笑ったベルゼブブが指さした先には、某黒い鼠の耳を付け楽しげに笑う学生達。キャッチコピーは夢の国へようこそと書かれていた。そう世界中に点在する巨大遊園地ディ○ニーランドである。
その夢の国でベルゼブブは一緒にカチューシャを付けチュロスを食べ乗り物に乗って一緒に写真を撮ったりしたいと想像すると、テスラを説得し速攻舞浜行きの電車に乗った。目指すはテスラとのラブラブデートであると、内心意気込みながら。
遊園地に付くと楽しげな気分になる音楽が出迎え、これから遊ぶぞと気にさせる仕組みにベルゼブブは関心しながら、何やかんや楽しそうにするテスラに微笑ましげに見ていた。
チケットを買い中に入ると、平日でも人は多くいる。二人は驚いたがまあこんなもんだろうと思うと早速目指すのはカチューシャを買うことだ。
「どれにする?ニコラはこれとかどうかな?」
頭に載せられたのは某黄色いの熊の耳、テスラは少し恥ずかしげにしながらも鏡で見た自分が似合うのと、恋人が似合っていると言ったのにこれに決めたのだ。ベルゼブブもお揃いにする為に、ピンクのブタの耳を取りこれで行こうと決め支払いすると早速それを付け、ベルゼブブから手を繋ぐとテスラも返し歩き出す。
最初は何に乗ろうかと効率化を考え、人気な乗り物のファストパスを取ると空いてる気になる所乗り始めた。
乗り始めると動きや、中の内装等色々気になる所はあるが、テスラも遊園地の雰囲気に染まり物語の世界を楽しんでいた。動く乗り物で中の物語を見るのも楽しく、あっという間に時間は過ぎ降りると、自然に感想を言い合った。
「楽しかったね」
「動きも気になるが中の内装の物語も良かった。言葉は分からないがとても楽しかったよ」
「次はどれを乗る?」
「じゃああれが良いな!」
それから色々な乗り物を乗りながら合間に手軽に食べ歩ける物を食べた。ジェットコースターに乗ると取られた写真を見て恥ずかしげにするテスラを横に、ベルゼブブは一枚買う。次にティーカップに乗り、機能に驚いたテスラがグルグル回しすぎてベルゼブブが酔った。あちこち乗りまわしながら今現在シンデレラ城の井戸の柵に寄り掛かりながらチュロスを食べていた。
「こんなに燥いだのは何年振りだろうな!」
「僕はこういう所に来る機会が無かったからたのしいよ」
「私も初めてだよ。研究も忘れこんなに楽しんだのは」
「僕もだよ。ここまで楽しいのは何万年ぶりだろうな」
二人で柵に凭れ食べ終わったチュロスの紙を持ちながら話す。こんなにゆったりとする時間は久しぶりで、夜の闇に染まりもう直ぐナイトパレードが始まるようだ。
「……僕ニコラに会えて良かった。あの時ラグナロクで君と戦ったのは運命なんだなって思う。だって自分の死を目指すだけの僕に生きる楽しさをまた教えてくれた……ニコラ君が好きだ」
ベルゼブブの言葉にテスラは一瞬驚くが優しげな微笑みを浮かべ答えた。愛しの自分の恋人に運命の人へと。
「私もベルくんのこと大好きだ」
パレードの音楽が遠くから聞こえる静かな空間、二人は自然と顔を近づけ触れるだけのキスをする。暫く重ねた唇が離れ、お互い照れたように笑った。ニコラがベルゼブブの手を引き走り出す。
「パレードを見よう!ベルくん!」
ベルゼブブは珍しく今日は多くの笑みを浮かべると重いながら、自然と浮かぶ笑みの儘頷いた。
「うん!」
空に花火が上がり色取りどりの花を咲かす。二人を祝福するように。