そこが下衆と「ではお薬を送りますね、ミスタ・ニコルズ」
「ありがとうございます」
通話が終わったらしい。一人で通話をする場合は余程のことか、それとも定期的なオンライン診療か。モクマが読んでいたニュースペーパーを下ろすと眼前のソファにチェズレイが座っていた。
「大分時間かかったね」
「医師の所見に時間がかかっただけですよ」
「それでも普段より長い。どこか不調だね、チェズレイ」
捕らえて逃がさない、意志をもった眼にチェズレイも視線を反らせなかった。
「俺に教えちゃくれんかい。ついでにゴミ箱にあるコットンパフの理由。お前さん、化粧にはコットンパフ使わなかったのにこの数日、具体的にはルークからの電話の後から、かな」
「……」
「俺にできることならなんだってするよ」
「下衆、ですねェ……」
チェズレイは漆黒のシャツの釦を一つずつ外していく。細長く、美しい指が釦に触れるたび、モクマは息を飲む。ストリップの気はないチェズレイは釦を外すと肩に傷を負った白い裸身が現れた。
「ん?」
モクマははたと気付いた。それが真か偽なのか、瑞々しい桃色の乳首の片方に触れ始めた。乳首だけでなく、肉付きの薄い胸筋にマッサージを施す。やわらかく刺激を与えた乳首をモクマはそっと摘まむ。チェズレイが身震いするとモクマの手に白い液体が付着した。
「伝説のマッサージ師が如何わしいマッサージをなさるだなんて」
「いやもう張ってたよね? チェズレイどうしたの?」
動じないモクマにチェズレイは嘆息する。
「ホルモンの乱れで乳が出るようになったと。まず暫くは休んでいただきたいとのことでした」
チェズレイの言葉にモクマは首を傾げる。
「チェズレイ」
「はいなんでしょうかモクマさん」
「張ると辛いから出しちゃお?」
だから言うのを躊躇したのだ。そう思いながらチェズレイはモクマにされるが侭に寝室へ運ばれたのだった。