イメソン
アルカリレットウセイ
「彩って 精一杯 頑張ったって 真っ赤っ赤 無個性 劣等生 聞きたくないよ」
「「頑張って」 「笑って」 聞きたくないよ」
「閉ざし閉ざされ この世界に 異議とか唱えて」
「何も変われなくて」
頑張ってきたけど何もできなくて、劣等感が植え付けられている感じです。自分から閉ざすように生きて、世間からも自由に生きられないように閉ざされて、自分は別にいいけどララシスちゃんが自由に生きられないのはおかしいと強く思っています。
ミルククラウン・オン・ソーネチカ
「出来ないそんな才能は無い 出来ないそんな才能も無い 出来ないそんな才能なんてどこのお店でも売ってくれないし 天にまします神さまだってこんなガラクタ御手汚しですか わたしだけが知ってる刹那に生まれた小っちゃな戴冠式 ねえ凛とすましてるお姫様にでも取って代わらせてソーニャ」
「待ってどうしてこんなにみじめな態度で許しを乞うのかって これがびっくりするほど馬鹿馬鹿しいので立ち尽くして泣いて」
「汚く濁った願望取り繕って罪悪隠した」
「出来損なった愛玩具 色も塗ってくれなかった 膝を折って耐えていたって助けてもくれなかった! あんまりじゃないですか1人ずれてないですかそうですか 持たざる者が懺悔したって知らんぷりですか」
何の才能も無くて、優れた人が羨ましくて、取って変わりたいと思うこともあります。刹那に生まれた小っちゃな戴冠式はララシスちゃんのことで、フロイにとって何があってもララシスちゃんは希望の存在です。だからこそ、彼女に見せないように、そうして彼にも知られないように、汚く濁った独りよがりな願い事を、ララのためだと取り繕って隠しています。
フロイだって親が可愛がるべき子供でした。何の才能も無くても、色を塗るように褒めてあげるべきでした。周りから貶されても助けてあげるべきでした。全部兄のせいだと思っていますが、心の底では周りの人が家族から大切にされていたりするのが羨ましかったのかもしれません。誰からも愛されないのがフロイにとっての当たり前になってしまって、そのずれはもう自力で戻すことができません。何度も出来ないことを嘆いて、やってしまったことを懺悔しました。唯一神に見捨てられたと思いました。
フラジール
「看板の照明が後ろめたくなって 目を落とした先で笑っていた 通りを抜けて路地裏の方で 屈託もなく笑っていた」
「できれば遠くに行かないでくれ できるなら痛くしないで 構わないで 離れていて 軋轢にきゅっと目をつむって」
「無頓着なあの子が傘を差したら それで救われるくらい単純でしょ」
「君に咲いた執着よ、僕を飲み込んでくれ」
人目に付かないところでたくさんの人を痛めつけて、その度に悦に浸って笑ってきました。そうして後ろめたい気持ちに襲われます。そうして、いっそのことひとときだけでもディフェリアくんに対する執着に飲まれて、どうにか手にしたいと思っています。
あと普通にいろんなところに出てくる"繊細"が普通にそうです。繊細で優しい子でした。壊れやすい……
ついでに動画の序盤に出てくる文字の羅列もちょっとそんな感じなところあるな〜と思っていました。
ディナーベル
「私に無いものばっか落っこちていた 当たり前にみんなが持ってる食器 触れたらどっかにいった」
「彼らを見るたび見るたび考えていた その温みが何から出来てるかって? 向こうにいる子が知ってるわ」
「特別ではない 一番ではない ただ正常にただ正常に ありふれたように 皆と同じように 私を呼んでディナーべル」
「食べたくない物だって沢山あった けどそしたら私はどんどん死んで 小さく惨めになって おもちゃのコックが作ったスープを飲んで その温みを朝まで取っておこうと お腹を抱えて眠ろうよ」
「どんな時もいい子にするよ 昔ママに貰ったルール 寒い夜の路傍で見失った 開かない扉の影、白い鈴」
「仕方がなく愛だと言ってしまった?」
「誰も気にしない 何も変わらない もう知っている全て知っている ありふれたような 皆と同じような 私の熱を止めて 優しく止めてディナーベル」
今というより子供の頃のフロイがこんな感じでした。フロイは普通の子供のはずでしたが、誰からも愛されることがありませんでした。周りの子たちが、兄が親や家族から大切にされて、温かい家庭に帰るのを楽しみにしているのに、いつだってフロイは家の扉を開けるのがなんとなく重たかったんだと思います。特別じゃなくても、一番じゃなくても、本当は普通の子みたいに頑張ったら褒めてもらえて、普通の家族みたいに、親が子供を呼ぶみたいに呼びかけてもらえるだけでよかったんです。
やりたくないこともたくさんあったけど、ただでさえ出来損ないなのに、選り好みばかりしていたらどんどん差をつけられて、惨めになっていきます。そんなフロイを裏切ることなく支えてくれるのはおもちゃや道具ばかりでした。道具は人より温かいこともありました。
小さい頃のフロイは、どんな時でもいい子にしようとしていました。ちょっと泣き虫でも、誰かを傷つけようなんてことは考えず、誰かのためになろうと考えられるいい子でした。親から何度も兄のように立派にしろと言われたのもあって、ずっと頑張っていました。兄を刺してから、家路に着くことなんてできなかったし、生まれてこの方知らない温かい団欒の扉もずっと開きません。ララシスちゃんを作るまで、寒い夜は一人で彷徨うくらいでした。
フロイは兄や親に施してもらえることと言ったら、投げやりや押し付けがましいことばかりでした。真っ当にフロイを思っての行動を取ってくれたことなんて一度もありませんでした。周りと自分を比べながらも、何かを言ってしまえばこのかすかな施しも崩れてしまいそうだから、「ありがとう」と言う他なかったのです。フロイがそうやって、虐待でもなく、いじめでもなく、ただ誰にも愛されずに生きていたところで誰も気にしないし、助けてもくれないので何も変わりません。いつの間にか諦めのようなものが染み付いていて、それが自己肯定感の低さにも繋がりました。今フロイが抱えている衝動も、元を辿れば誰からも愛されなかったから生まれてしまったものです。もう「温み」という言葉ではなく、「熱」くらいの受け入れ難いものになってしまったのです。
蜜を嗜む
「羨む心と辛抱ばっか 不甲斐ない僕の根性 その戯言を ちょっと聞いて共感してよ」
「ちょっと泣いたって 何も変わんないし 何も変わんないと ただの屑らしい」
「ただ無駄に生きている間に 戻れない程曲がり腐ってた」
「誰かの不幸が蜜だなんて 思いたくない気持ちの 裏側で少しペロッて にやついてる」
「もっと誠実に 人生を捉えたいな 捉えたとこで 何も変わんないけど 変わんないと 諦めた声で だらしなく描いた理想がさ この先の道をただ濁してる」
「「甘い汁を啜りたい」 狡くて凄い奴らだけが 得をしているこんな世界でさ」
「最低なんだよ 僕ら鳴り止まないんだ 欲の連鎖」
「君の全てが欲しい」
「幸せになってみたい」
「少しでも僕がありのまま 生きる方法を願ったんだよ」
兄が、他人が羨ましくて、頑張っても追いつけなくて、そうしてフロイからすれば無駄ともとれる時間を過ごしているうちに、兄を殺して、衝動的に人を傷つける快楽を、優越感を知り、後戻りできなくなってしまいました。こんなのよくないって思いながらもやめられず、真っ当に生きようとしても何も変われなくて、ただただ自分が落ちこぼれで、生まれつき狡くてすごい奴らだけがいい思いをしていると思っています。誰かを傷つけて、駄目だと思っても欲は止められず、そうしてきっと何もかも持ってるに違いないディフェリアくんの全てが欲しいと、幸せになりたいと思っています。
フロイは今は自分にとっての幸せはディフェリアくんを手にすることだと思っています。しかし、本当に、ただただ純粋に、ありのままに生きているだけで幸せになりたいとは心の底で思っているはずです。人を傷つけるのはそうせざるを得なくなるほど追い詰められたからで、本来のフロイは虫も殺せないような気弱ないい子だったはずですから。
触れたら最後
「癖になっちゃった ママ 悪い子になっちゃったけど 癖になっちゃったなら仕方がないでしょ 君に病み付いちゃった」
「言わない 言えない 禁断症状 言わない 言えない 手遅れになっちゃった」
「だって私 正しく生きてきた処女 おのれ よくも私を よくも よくも」
傷害と優越感に基づく絶頂に病みついて、そうして3年くらい禁欲してきたので禁断症状気味です。もう手遅れです。
地球の裏
「ぬるくなった魚のような目をしている 強すぎる光でかぶれて腐っていく あなたのこと見かねてむかえに来た獣 自己の紹介です」
「やめることも逃げることも出来ぬままで 心の臓を切り売りして生きてきたでしょう 口移しの毒を飲み込んで それでもまだ死ねない生命体ですにゃあ」
「薬指にはめたそのゴミは何の証」
「ふくれてははじけた 糸と針でつないだ 耳元へと吹きかけた甘い息 呪いの音 終わらせないでね 近づかないでね」
「都合のいい見た目をして 都合のいいことを喋る けだものを求めたけだもの 」
「乱れの無い計測機器が捉えるのは気持ち悪い人」
「汚れた愛 汚れた意志が捕らえるのは知らない人だけ」
「その体 土に還ろうと それでもまだ死ねない そういう選択だ」
フロイはずっとディフェリアくんのことを迎えに行こうと思っています。地球の裏はあらかた第六ペアが第二ペアに勝ってしまった場合、そしてフロイが願いを叶えてしまった場合みたいな気持ちで選びました。
欲をふくらませて、はじけるように衝動的になって、もし殺してしまったら縫い付けて元通りにして、また遊びます。二人だけでずっと遊んでいたいのですから、他は邪魔なんです。フロイにとってディフェリアくんの信仰は、尊敬すべきものではあるけど、同時にゴミのような邪魔なものです。死は終わりでは無いと言うのは戯言です。死ぬともう遊べないのですから。だからこそ、けだもののように都合よく、大地信仰者を死なないように蘇生させて、口移しの毒を飲ませるのです。そこまで執心を抱いているのに、汚れきった愛で捕らえたディフェリアくんのことを何もわかっていません。
とある方にフロイの情報を壁打ちした際に飢えた獣だと称されました。本人にもけだものの自覚はあると思います。飢えた状態で目の前にご馳走をちらつかされているようなものだと考えたら、ある意味可哀想にも見えてきました。
無辜のあなた
「君に願う幸せならもう ここには生まれない そんな事 知っていたけど 嗚呼 止まれやしないよ」
「「笑顔が綺麗だな」そんなことを思った ドラマじゃプロローグになるような出会いだな 」
「簡単に追い抜かれてった 俺の幸せの序列はとっくに狂ったな」
「嗚呼、君の背に、指に、瞼に、針を突き立てられること 許せはしないが もう既に俺は 自分を殺すこともできない 屑だった。」
「心臓にまた血がめぐった 2つ目は俺のすぐそばにあったよ」
「鏡に写った自分と目が合った なぁ俺達さ こんな顔で笑ってたっけ 鏡に写った自分と目が合った 嗚呼、地獄がそこに待っていたんだよ」
無辜のあなたでの「君」は全部ララシスちゃんのことです。そうして想いを向けているのはディフェリアくんです。信仰して、崇め、守るべき神がいながら、彼女の願いを叶えるための戦いで他人に惚れて、その人と永遠に結ばれたいと願うのは四捨五入してほぼ浮気なのではないのでしょうか。
きっと願いを叶えても、叶えなくても、ララシスちゃんの本当の幸せをフロイは用意できません。フロイがいる限り、どれだけの幸福があっても、必ずそばに強い歪みがあります。そんなことはずっとわかっています。ここに来ることがどれほど彼女を危険な目に遭わせることか、自分の行いがどれほど彼女を危険に晒すのか理解しています。そんなこと許せやしないと思いながらも、それでも止まれません。どれだけ汚くても、醜くても、ディフェリアくんと出会ってしまったことが運命的で、狂おしいほど欲しくて、それに従うことしかできないのです。そんな自分が最低で、自分を殺すこともできない屑であるという自覚もあります。信仰が神を動かすのですから、血の巡るような衝動……もっと遊びたいという信仰もきっとララシスちゃんを動かす糧になるのかな、と思ったらギギギギ……となりました。
フロイは鏡に挟まれるどころか自分の顔を見ること自体が嫌いです。目が合った自分の顔は笑っています。破壊衝動と自己嫌悪の葛藤に襲われる地獄のような日々が始まりました。
スクラマイズ
「叶わないことばっかりだろう、殺されたハロー 自己嫌悪、育て育て!負けたやつだろう 蹴飛ばしてやろう 「有難がれ、心地良い味覚を」」
「誰かの中身 暴き出したい 「刻み付けろ、傷ましいリアルを」」
「笑えない!理性をカットアップ」
「せめて、せめてせめて 謝らせたいんだよ、散々な夢想語る ご一同を!」
「切って捨てろよ 泥だらけだろう、中途半端なアスピレーション 愛の仕置きに感謝の心 そう、ここは楽しいところ。 押し付けられたインビテーション 正義の味方?やめてしまえ 知ったかぶりの夢物語、耳を貸すだけ無駄みたいだねー」
「敵機撃墜 喚く結束(凝った演出)」
「それで、あれがこれで こんなことになるわけ?」
「あっという間ワッドカッター 愉快、愉快、リコイルショック」
血だらけの手で、表向きは信仰の自由を願っています。確かにそう願ってはいますが、それよりも彼が欲しいものは死なないディフェリアくんです。そうしてどちらにも傾きれずにいます。中途半端です。片方を、信仰の自由を切って捨てた方がきっと楽になれると本能的に思っています。周囲から出来もしない理想ばかり押し付けられて、自己嫌悪を育てていきました。こんなふうになりたくなかった、どうしてこんなことになったんだ、と心底思っています。こんな風にした周りの人たち、すごい人たち、全部謝らせていい気分になりたいのです。負けたやつは蹴飛ばして、中身を引きずり出します。それがきっと彼ならばどれほど愛おしいのでしょうか。傷つけた相手が痛みに喚き悶えるのは、楽しくて、心地よい感覚に浸れます。
ホワイトハッピー
「ねーねー聞いて、これって重症?決定打食らった急所 クラっと来てもう、倒れたい。」
「世界は素敵、なんて騙るなら その理由を書き出して それ大体嘘なんだって分かるから 肉の塊になって。」
「相次ぐ凶暴化 愛する共謀者」
「ぼくの一等賞を奪いに来て!」
「後悔をぼくにも植え付けて。」
「世界に慕われる才能は 生まれつきのものだって。選ばれもしなかったガラクタは すぐにでもゴミに出して。」
「たっぷり本能に さっぱり濃厚に」
「傷口はいつでも 鮮やかな色味で 」
「劣等感を殺しに来て」
「愛なんて、壊れてしまえばいいんだ。」
これ聴いてたらフロイメランコリーが生まれたので、これです(結論)小ネタでも何でも無いんですが、自宅にMARETUさんが似合うキャラがいなかったので似合うキャラを作りたいと思い、フロイメランコリーが生まれました。あらかた合います。なのでキャラ練りの順序とかそんな話になります。
まず殺人を快楽とする人間を作りたくなりました。人の腹を引っ掻き回してそれを引き出して自慰に使うガチのヤバい奴を作ってみたかったんです。はじめましてでいきなり人の内臓使って自身を慰める人間送るのは気が引けたのと、ぎりぎりだったので応募時点での詳細はやや省かれていましたが……。ただのサイコキラーでは面白みがないし、確かに悪人と言い切れない、どうしても善人の部分が強いキャラを作る方が得意なので、そこから何度も曲に出ているような劣等感をベースに置くことにしました。劣等感から、優越感を求めて人を殺す人間にしました。世界はフロイを受け入れません。そんな世界を愛して、綺麗事ばかり吐くのは馬鹿げています。衝動的に凶暴に人を殺し、共謀者でもあるドール、ララシスちゃんを愛しています。
傷害はフロイにとって快楽です。本能に従って鮮やかな傷口を弄って、扱いてさっぱりします。そしてこんな最悪なことで絶頂する自分を気持ち悪く思っています。
こういうイメソンでこういうキャラになったので、人間側に気持ち悪い片想いをさせようというのはわりと早い段階で決めていました。かなり相手のキャラと保護者様に斜め上から蹴りを入れるような恋仲なので、本当に軽い気持ちで組むわけにもいかないので、人間陣のキャラ詳細をしっかり見ながら誰が一番フロイが好きそうな人か考えて、ディフェリアくんを選ばせていただきました。こんな気持ちでキャラ見たことなくて、かなり苦しく謝罪の念に襲われました。
フロイはディフェリアくんに気持ち悪い片想いをしています。フロイの名前の由来の一つでもあるフロイトが使用した言葉であるリビドー、男性の荒々しい性的欲求もフロイのベースにあるので、性欲の入り混じった目で彼を見つめてしまいます。そうしてフロイの性癖は自らが認めるほどに醜悪で最悪なものです。破壊衝動を永らく抑えてから訪れた場で、ディフェリアくんと出会い、独占欲と性欲に頭の過半数を埋め尽くされ、最悪な妄想で自慰に耽るのも、確かに最悪ではありますがそれ以上に可哀想なことになっています。
しかし根がどうしても悪い子になれなくて、どうしても真っ当に愛してしまう心があるから、こんな愛なんて持たなければよかった、と思っています。ディフェリアくんのことを滅茶苦茶にしたいと思いながら、彼の幸せを願っていて、その幸せに自分は邪魔者でしかないことも理解しています。愛が壊れてしまえば、妬むことも壊したがることも、苦しむこともありません。そうなったらどれほど楽なのか、心の底ではわかっています。
折角なので送り損ねていたこともちょっと書きます……
まずフロイはパールくんに質問をしようとしてやめました。その内容が「死体を持ち去った人は今までにいたのか」みたいなものでした。パールくんに怯えていることと、内気なことと、自分の本性を隠そうとしていることから、悩んだ末にこれは直接聞かないだろうなと考えやめることにしましたがそう思っていました と……なのでパールくんに対して「もしもボクの知らないところでディフェリアさんが奪われたら、それともボクがディフェリアさんと一緒にいようとしてもこの人に取られるのではないか」とか考えている節があるのかな……と思いました。
衝動に浸っている間はだから何ですかと開き直れたり、少しだけ口が悪くなったりすることがあります。普段敬語で話している相手でも、タメ口をきいて怒りとか呆れのような感情を吐露しながら刺すこともあります。「何がわかるんだよ、誰からも愛されなかったことなんてない癖に」 だとか、「キミのせいでこんなことになってるんだ、わかるかよ?なぁ……」 だとか 自分のことで頭がいっぱいになって、偏見でものを言って、優越感に浸ろうとするのに自らの言動で惨めにしてしまうような言葉を発します。不安定になって、相手を一方的に捲し立てることもあります。
本性がバレて、何か追求されたり、問い質されたりしても、理性的な時は冷や汗をかきながらシラを切ろうとすることはあります。自分が人道に反することをしていると理解しながら、それを悟られないように嘘を吐こうとします。つまり第二ペアと戦って仮に勝ってしまったら、そうして死体を抱え歩いているところを見られ、問い質されたとしたら、「彼は尊敬すべき人だったから、彼の信仰のままに、そのままの姿で大地に還してあげたい」みたいなことを言います。そうして部屋に持ち込むなりして、出来る限り隠れて毎晩の性処理に使おうとします。それでもおそらく一番そばにいるララシスちゃんには隠せないと思います。ディフェリアくんを大地に還すつもりはさらさらありません。こうなってしまえばディフェリアくんの肉体は手放すか奪われない限り本当にフロイのものになってしまいます。そうしてその安堵と、欲求が満たされていく感覚から、壊し合いに対する恐怖が次第に大きくなります。ララが壊されるかも、殺されるかも、ボクがただいまのキスをする前にディフェリアさんを奪う人がいるかも……最後のものは怒りに変換されますが、確かにフロイは壊し合いを恐れています。
根が善人であることは変わりません。ドールが壊れるなんてことはあってはいけないことだし、人を殺すのは怖いことだし、いけないことです。守るためか、願いを叶えるためか、どちらにせよ刃を握る手は震えています。欲求不満をある程度満たしてしまえば、遅れて恐怖と後悔が込み上げてくるのではないでしょうかと思っています。
衝動に襲われながらも、信仰して、そうして丁寧に、命が宿るほど大切に、失敗しないかヒヤヒヤしながら自らの手で造り上げたララシスちゃんが元気に動いて、無邪気に笑ってくれることは確かにフロイの幸せでした。
フロイの兄についても少し考えてみようと思いました。兄について、というより、フロイを傷つけた兄の言葉についてです。「まだそんな事やってるんだ」、「どの面下げて僕の弟名乗ってるの、何もできない癖に」とかは特に心を抉ったと思います。
フロイの兄は根本からフロイを見下していました。自分が“出来損ないの弟にも優しくできる完璧な人間”であるために利用することもよくあったと思います。周囲にいじめるようにけしかけておいては、「はなから腰抜けの馬鹿を寄ってたかって叩くなんて、みじめで可哀想だろ」とか言って、周りからは「弱者を守れる優しい人」、親からは「出来損ないにも優しくできる完璧な息子」の称賛を得ました。この間、フロイはただただ兄のせいで軽くいじめられて、「兄に守られてる」と言われたその裏では兄に貶され、その末親からは何もできないフロイが悪いと言われる始末、ということが繰り返し起きたこともあるかもしれません。
そんな積み重ねの末に、13歳の頃の些細な口論で初めて兄に手を出して、致命傷を負わせました。きっとその時も、耐えかねたフロイが何かを言い返した時に、引っ叩いて「煩い」とか「いい加減にしろよ」とか「何が不満なんだよ、こんなに優秀なお兄ちゃんがいるのに」とか「馬鹿が口聞くな」とか言ったんでしょう。「お前叩いたせいで手痛いわ。どうにかできないわけ?あ、何も出来ないか」とか「あーあ、素直に言うこと聞いときゃこんなことにならなかったのに」とかも余裕で言いそうです。セリフの解像度だけ無駄に高い兄メランコリー……
兄はフロイと違って、道具は大切にしません。壊れかけたものとか、飽きたものとかを押し付けるように渡しました。その時も周りからは弟に自分のものを分け与える優しい兄に映ります。フロイは道具の汚れを拭っては、まだ燻みが取れないそれらを大切に扱いました。兄からのお下がりだと知らない人からすれば、がらくたを後生大事にしている愚かで哀れな子です。それしかないし、何より人と違って裏切ることのない道具たちをを裏切るのは……捨てたり、壊したりすることは、フロイの良心を傷つけることでした。兄からもらったからではなく、その道具が大切だから、フロイは道具を大事に扱います。それでも、自分だけのものが欲しいと思わないことはありませんでした。
こんな兄からの呪縛のような劣等感から解放される瞬間が、衝動的に人を傷つけて優越感に浸る時でした。自分が絶対的に上である、という確信から訪れる快楽に、一時的に全てを上書きされます。肉体的な快感も得れば、頭が真っ白になるほどの絶頂感に溺れます。何もかもがどうでもよくなる一瞬が訪れるのです。それに至る経緯がどれほど最悪なことかを理解しているのに、年頃の性欲も相まって、常にその快楽に手を伸ばし続けてしまいます。そしてそれが惚れた相手ならば尚更強い快楽に溺れることができると信じてやまないのです。追いかけては妄想しているだけで次第に身体が反応していくような完璧な人の上に立って、嬲って、支配して、奪って、独り占めすることがフロイにとってどれほど気持ちいいことか。自分が惚れたのだから誰だって好きになるであろう完璧なあの人を自分だけのものにできたらどれほど気持ちいいことか。そんな衝動を……数年堪え続けているのだから余計膨張した欲求を抑え込みながら、フロイはディフェリアくんを見ています。
フロイはかなり中途半端です。願い事もそうなんですが、悪人になりきれず、かと言って善人と言い切れないほど罪を重ねて、これからも犯そうとしています。中途半端だから、常に罪悪感に襲われています。兄を刺してから衝動を抑えられなくなった自分を最低だと思いながら、止めることができません。
フロイはまだ子供です。確かに大人に近づきましたが、間違いを正してくれる大人や、正しく導いてくれる大人がいなかったから、いつまでも子供のままです。だから自分のことについても気づけていないことばかりで、きっと他に幸せになる方法なんていくらでもあるのに、「衝動に従って人を傷つけて、優越感に浸ることこそ自分の最大の幸福だ」と信じて疑いません。兄を刺して、堕ちてからでも、犯した罪は消えずとも早ければ早いほどまだ真っ当になる道は残されていたはずです。フロイにとって優越感の快楽が全てで、植え付けられた底知れない劣等感が全てでした。
ディフェリアくんの好きなところも以前壁打ちさせていただいたかと思いますが、また考えてみることにしました。フロイからディフェリアくんへ抱いている愛情は矛盾しているというか、ジレンマになっているような部分がままあります。端的に好きなところを挙げると、
・顔
・見た目(真っ白!)
・完璧主義
・優しい
ですが、意外と完璧主義という点が刺さっています。完璧主義者で、きっちりかっちりしていて、更に自分にも優しくしてくれるような人だから本当に完璧な人だと思います。
フロイはディフェリアくんを愛していて、独り占めしたいと言う気持ちがあり、そのためにはブレスちゃんは邪魔な存在だと思っていますが、フロイが好きなディフェリアくんの姿はきっと願いを叶えるために戦う姿や、意志を貫こうとする姿や、ブレスちゃんを守るために戦う姿です。そのどれもが敵対してしまっているがために、フロイを受け入れ難いことになっています。完璧で綺麗で、同時にかっこいいとも思っています。純粋に尊敬しています。それを壊して優越感に浸るのがフロイの目的です。完璧であろうと思えることが、完璧なことが尊敬できることでありながら同時に憎たらしいことでもあるのです。そんな人がいるから自分がどれほど惨めになって、どれほど無理強いをさせられてきたことか。こんなことどうしようもない当てつけだと自分で一番理解できているのに、嫉妬と愛憎が燻っています。こんな風に完璧になれたら、完璧であろうと思えてその通りにできたら、周りから尊敬されることがあればこんな苦痛を味わって生き続けることなんてなかったのに、と見る度に思ってしまいます。