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    #17 田中TS編
    全然書き終わらなかった。今週前半には上げますので尻叩き用

    性転換したトレーナーのガードがゆるくてうれしいシリウスの話(仮)「な、なんだよこれ……!?」
     放課後のトレーナー室で、俺はシリウスを待ちながら資料整理をしていた。突然身体が熱くなったと思ったら、次の瞬間にはいつもよりかなり視線が低くなっていた……まるで、いきなり身長が縮んだような感じだ。
     現状を確認しようと、ガラス張りの本棚の前に立つ。そこには、どう見ても俺ではない誰かが映っていた。
    「は……?」
     ガラスに映った人物は、自分の妹によく似ている。けれど、自分の身体を動かすと鏡の中の人物も動く。妹ではないようだ……当たり前だが。
    「な、なに……どういうこと……」
     下を見ると、見える床面積がいつもよりかなり狭かった。自分の足が見えない……自分の胸で。しかも、これが地味に重い。動くと揺れる。未知の感覚すぎて気持ちが悪い。
    「オイ、トレーナー! 無事か!?」
     担当バのシリウスがものすごい勢いでトレーナー室に入ってきた。見知らぬ自分の身体に困惑しすぎているところに、見知った顔を見て安心する。
    「シ、シリウス……俺……おれっ……」
    「うわ、遅かったか」
    「女の子になっちゃった……!」



    「少しは落ち着いたか? トレーナー」
    「うう……さっきは取り乱してごめん……」
    「いや、仕方ねえよ。いきなり性別が逆になるなんて、普通ありえねぇし」
     シリウスによると、アグネスタキオンが開発した性転換ウイルスが校内に充満していて学校中の『人間』が性転換しているようだ。爆発の煙などを吸って感染しているわけではなく、今回は完全な空気感染のため出所の発覚が遅れ混乱が生じた、らしい。
    「それにしても……アンタ、縮んだな」
    「シリウスがすごく大きく見えるよ……」
    「160cm弱くらいか? アンタに見上げられる日が来るとはな?」
     シリウスが俺の顎をクイ、と人差し指で持ち上げた。あー、これイケメンモードのシリウスだ……最近俺の前では全然見せないようになったやつ。
    「私を見上げるアンタも悪くねぇな」
    「俺はシリウスと近い目線のいつもの身長がいいな……」
    「……ふぅん」
     あ、照れた。そうそう、俺はこのシリウスが好きなんだよな……ギャップがかわいくて。
    「なんか不便なこととか困ってること、あるか? 今は同性だし力になるぜ?」
    「うーん、髪が長くて首にかかってるのが気持ち悪いかな……結んでくれたら助かる」
    「よし、背中向けて座れ」
     シリウスに促されて、ソファに座る。すると、シリウスが手櫛で俺の髪を梳き始めた。うわ、なんか髪触られるのってすごく相手を近くに感じるな……頭皮が引っ張られるからだろうか。
    「嫌じゃねぇか?」
    「え!?」
    「いや、髪。気を許してない相手だと触られるの抵抗あるし」
     やっぱり、そういうものなんだ……!
    「全然嫌じゃないよ! むしろ、少し……」
    「少し?」
    ……気持ちがいいくらいだけど、それを口にするのはコンプライアンス違反な気がする。
    「あ、安心する……かな?」
    「あっそ。ならいいけどよ」
     後ろから発せられたシリウスの声は少し弾んでいた。シリウスも俺の髪に触れるのは嫌じゃないってことでいいのかな。
     何をされているのか分からないままシリウスに髪を預けて数分後、髪に何か挿されると、肩をポンと叩かれた。
    「おわり。ほら、鏡」
     シリウスに折り畳み式の鏡を手渡される。鏡の中の自分は、うなじのラインに沿って髪を編み込まれていた。
    「ギブソンタックって言うんだよそれ。結構しっかり固定されてるから、動いてもいつもの感覚に近いんじゃねぇの」
    「す、すごいよシリウス……! ありがとう!!」
     くるりと振り返ってシリウスにお礼を言うと、シリウスの耳にいつもついている金色の耳飾りが無かった。
    「あれ? シリウス、耳飾りは?」
    「アンタの髪につけた」
    「なんで?」
    「……そのヘアアレンジは大きめのアクセサリーがついてた方が見栄えがいいんだよ」
    「へー! そうなんだ。借りてていいの?」
    「ん」
     シリウスがすり、と俺の頬を撫でた。
    「……?」
     なんだろう? 男の時にはされたことないな、こんなこと。ふと、妹とその友達や同級生の女子同士の距離感を思い出す。ああ、今の俺は女子だから、女子同士の距離感になってるのかな……?
    「……いいのか?」
    「え? 何が?」
    「こうやって触っても、……避けないのか?」
     ああ、たしかにいつもの俺だったらコンプライアンス遵守を理由に避けるかも。けど、今は女だし……いいよね? きっと女子同士の距離感ってこんなもんなんだろうし、思えば女性トレーナーと担当ウマ娘もこういう距離感の人が多い気がする! シリウスは距離が近いなっていつも思ってたけど、彼女も女性トレーナーと他のウマ娘のような距離感になりたかったのかもな、と思って少し反省する。俺の本当の性別は男だから男の身体の時はこんな距離感許されないけど、今日だけはシリウスの好きにさせてあげよう。幸いは今日はパッと見女同士でしかないし、問題ないだろう。
    「うん、避けない。好きにしていいよ」
    「!」
     シリウスはピンと耳を立てて、言葉にはしないがとてもうれしそうにした。ぴょこんと揺れる耳とソファを撫でる尻尾がシリウスの感情をありありと感じさせる。こんなに感情豊かなシリウスは、初めて見たかも……。
     にこ、と笑顔を作ると、シリウスはおずおずと正面から抱き着いてきた。あ、こういうことしたいんだ……!? 男に戻ったらこれは絶対できない。それこそ、レースで勝って感情が高ぶったときくらいしかできない。けど、今は女だし、俺も抱き返していいよな……?
     ぎゅう、と抱き締め返すとシリウスはさらに強く俺を抱き締めてきた。こんなシリウス、見たことない……! そっかぁ……シリウスはトレーナーとスキンシップしたい派なのかぁ……!
    「うわ、ちょっと待ってシリウス! 俺、今筋力も女だからこれ以上後ろにいくと腹筋が持たないっ……!」
    「あ、わり」
     ぱっと解放され、後ろに倒れかけていた身体を戻す。男の女でやっぱり筋力はかなり違うな。
    「なぁ、アンタこれそのままでいいのか?」
    「ひゃうっ!?」
     シリウスが俺の胸を下から持ち上げた。両手で両胸をぐっと持ち上げられると、重力を受けなくなったみたいに上半身が軽くなった。
    「結構でかいと思うし、重いだろ?」
    「……ハイ」
     今は女同士だけど、下手なことを言ったらセクハラな気がする。いや、状況的には俺が触られてる状態だけど……。
    「ちょっと触っていいか?」
    「え!?」
    「いや、変な意味じゃなくて」
    「じゃあどういう意味!?」
    「いや、私の下着のサイズでいけそうだったら貸してやろうかと……」
     はぁ!?!?!??!
    「トレーナー? おーい」
    「そっ、それはだめでしょ!?」
    「いや、でかいと本当に下着付けるだけで世界変わるんだよ」
     このままだと担当バの下着を着けさせられる……! それは明らかにコンプライアンス違反だろ!!
     俺は慌ててソファから立ち上がった。
    「んっ!?」
     身体よりワンテンポ遅れて胸がついてくるような感覚に違和感を覚える。地味に痛い……!
    「ほら、言わんこっちゃねぇ。今勢いよく立ち上がっただけで胸が揺れて痛かったんだろ」
    「……へ、平気」
    「その場でジャンプしてみろよ」
     とりあえず言われた通り跳んでみる。う、うそだろ……? 世の女性たちはこんな身体で生活してんのか?
    「階段降りるときも同じだぞ」
    「マジで!?」
    「マジ」
     いつ戻るのか分からないが、とてもじゃないけどこのままトレーナー室を出ることはできない。それだけは確かだった。
     シリウスが自分のカバンから何かを取り出して俺に向かって差し出した。見てはいけない、そう即座に判断して顔を背ける。
    「だ、だめです」
    「は? つけろって。ほら」
    「シリウスのでしょ!? 無理だよ! 流石に同性でもコンプライアンス違反だよ!」
    「大丈夫だって! トレセンの購買で売ってるスポブラだから! 指定の水着みたいなもんだって!」
     そ……それならセーフか……!?
     薄目でシリウスの持っている物をそっと確認し、ネイビー一色のくったりとした下着であることを認識して俺は目を開けた。
    「……じゃあ借りる」
    「おう」
     背に腹は代えられない。この姿で一定時間活動しなくてはならないのであれば、確実にこれは必要なものだ。そう自分に言い聞かせて、シリウスからスポーツブラを手渡してもらう。
    「ほら、何があるか分かんねぇからとっとと着ろ」
     そう言うとシリウスは、トレーナー室のカーテンを全て引いて背を向けてくれた。
     先ほど体験した揺れ方をされては敵わないので、仕方なくジャージとTシャツを脱いでスポブラを頭から被った。
    ……は? 胸が引っ掛かって全然着られない……!? てか俺の胸デッカ……!?
    下を見るとスポブラのアンダー部分(※胸の真下にくるところ)のゴムがきつすぎて胸の上部で完全に止まり、半端に圧迫された胸が押しつぶされている。……自分の身体ながら、これは、その……忘れられない景色になりそうです。……じゃなくて!!
    「トレーナー? 着られたか?」
    「ちょ、ちょっと待って!!」
     シリウスに今の状況を見られるわけにはいかない! ドスケベすぎてまじで無理な格好をしているのだ。どうにかしてこのゴム部分を伸ばして正常な位置に持ってこなくては……!
    「オイ、何してんだよ? 早くしろって」
    「待って……」
    「……なんかあったのか?」
    「……たすけて……」
     ゴムの締め付けで胸の上がじわじわと痛くなってきて、泣きそうになりながらもう全てを諦めてシリウスに助けを求めた。せめてもの抵抗に両手で胸のトップだけは隠して。
    「うわ、何してんだよ」
    「どうやって着るの、これ……後ろにホック無いしこうだよな? この着方で合ってるよな?」
    「あー、悪い。当たり前すぎて言うのを忘れたんだが、スポブラは下から履くんだよ」
    「え!? 下から履くの!?!?」
     シリウスが近付いてきて、ぴたりと俺の前で止まった。うう、羞恥心でどうにかなりそうだ。
    「とりあえず脱がすぞ」
    「えっ、えっ、ちょっ、まっ」
    「ほら、ばんざいしろ」
    「~~~っ!」
     無理矢理シリウスにスポブラを剥ぎ取られる。ウマ娘の力で剥ぎ取られたもんだから、自然とトップを隠していた手もズレ、シリウスの前に上半身を晒してしまった。
    「やっ、……やっ」
     咄嗟に両腕で胸を隠すが、絶対に見られただろう。コンプライアンス違反で処刑されるかもしれない……。あ、いや、そんなこと言い始めたら俺はそもそも男の時に全裸を見られているし、酔ったままシリウスに介護されて……いやもうこれについては思い出すのやめよう。死にたくなるから……。
    「お、女みたいな反応すんなよ」
    「今は女だよ!!」
    「アンタは男だろうが!!」
    「……んん? たしかに? もしかしてこのウイルス、精神に作用する何かも含まれてる?」
    「オイ、怖いこと言うなよ……。アンタの感受性が豊かなだけじゃなくてか?」
    「えっ……分かんない……」
     日常会話をしているうちに落ち着いてきた。そうだよな、俺は男なんだし、今はウイルスで身体が女になってるだけ。この身体に関する羞恥心なんて持たなくていいし、女であると自覚する必要も別にない。
    「ほら、着せてやる」
    「ハイ」
     シリウスに従って、下からスポブラを着せてもらう。おお、なるほど。こうすればスムーズに着られるのか。
    「ジャンプしてみろ」
     シリウスの前でぴょんぴょんとジャンプしてみる。おお……! すごい、すごい! 胸が身体に完全に固定されて、飛んでも跳ねても痛くない! 揺れもしないしこれは必需品だ……!
    「楽だろ?」
    「うん、すごく楽だ……!」
    「ほらな。これで大分自由に動けるはずだぜ」
    「ありがとう、シリウス!」
     シリウスを見上げてお礼を言うと、ゆっくりと頭を撫でられた。あ、あれ、身体が女でも俺は男なんだから、これは結局ダメなのか……? うーん、でも……シリウスが、すごく幸せそうなんだよなぁ。これを咎めるのは、さすがに気が引ける。やっぱり見た目は女同士だし、今日だけはシリウスのスキンシップを受け入れよう。絵面的にも今なら問題ないはず!
     さて、身動きが取れるようになったところで。
    「トレーニング行こうか?」
    「んー……もう少し……」
    「わ」
     シリウスが正面から抱き着いてくる。……シリウスって、こんなに甘えただったっけ。それとも、俺がダメって言ってたから? 本当は、ずっとこうしたかったのかな。そう思うと、申し訳ない気持ちになってくる。でも、俺が男であるからには、こういった触れ合いは基本的に許されない訳で……。今だけだけど、それでシリウスが満たされるなら、思いっきり甘えさせてあげたい。
     しばし抱き締められた後、シリウスは俺の頭に頬ずりしてから離れた。……い、今の、猫みたい。……かわいい。
    「トレーナー?」
    「はっ!」
     きゅんとしてる場合じゃない!
    「行こうか!?」
    「ん? ああ」



    「トレーナー! タイムどうだ?」
     トラックを一周したシリウスがタイムを聞きに俺のもとへ走ってくる。いつもだったらシリウスと少し距離を開けてタイム表を見るけど、今日はシリウスが隣にぴったりくっついてきても咎めないぞ。何も言わずにいたらやはりシリウスは俺の身体の側面にぴったりとくっついてきた。シリウスの信頼を直に感じてしまって少し照れるけど、シリウスが幸せそうだからいいんだ。
    「いい感じに縮まってきてるよ。このまま最高速度も伸ばしていこうね」
    「おう」
    「汗拭いてあげる」
    「ん」
     い、いつもだったら嫌がって自分で拭くのに今日は俺に拭かせてくれるのかぁ~! 性転換ウイルス、わ、悪くないなぁ……。
    「なぁ、併走してくれねぇ?」
    「え? 学園の外周?」
    「ああ。アンタと併走したい気分なんだ」
    「元々スタミナトレーニングの予定だったからいいけど……速度物足りないでしょ?」
    「その分距離走る。アンタと走るときはいつもそうだろ」
     正直、俺との併走なんてウマ娘にとってはお遊びでしかない。何のトレーニングにもならないと言ってもいい。でも……いつになく楽しそうな笑顔のシリウスを見てしまうと断れない。これだけ熱望してくれているのだし、今日は気分よく走ってもらって明日からのパフォーマンスの上昇に期待してもいいか。
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