ボクのいちばんぼし 心の内でだけ取り決めた記念日に、ボクは一歩踏み込んだ。
「キミ、ボクのこと怒ってナイノ?」
公園の片隅のベンチで、ボクとキミは並んで座っていた。熱々の鯛焼きを頬張るキミにそれとなく声をかけると、彼はこちらに目を向け、こてんと頭を傾げた。
「なんのはなし?」
皮肉でもなんでもなく、本当に心からそう思っている。そんな声色、そんな表情だった。
「ボクがキミたちにしたコト」
饒舌な魔術師にしては珍しく、言葉少なに答える。すると、彼はますます不思議そうに視線を宙を泳がせた。
「なんかしたっけ?」
アレのまわりを二十五周は結構前だし、星ブロックケーキは別にイタズラじゃないし……と、丸っこい手のひらを口元にあてながら、彼は真剣な顔でぶつぶつとつぶやきだした。
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