人妻(食用)飼育日記。3[人妻との生活]
〝リヴァイ〟はちょこちょことよく動いた。
「……」
今はなんと、お風呂用のボウルに自ら水を張り、じゃぶじゃぶと洗濯をしている。普通果物がするか? 洗濯。しかも手洗い。終えるとぎゅうと絞り、エレンが即席で作った物干し場(という名の、ただのタコ糸を張ったエリア)で丁寧にシワまで伸ばして干している。
基本綺麗好きのようで、夜には毎日お風呂に入り、水跳ねも小さいタオルでちゃんと拭く。もっと手間がかかってもいいのにと、お風呂上がりの身体はエレンがハンドタオルで拭いてあげるが、服は自分でいそいそと着た。ハンジからもらった市販品の割烹着以外は自分の手作り――しかも手縫い――なので、作ったポンチョも完成した瞬間からよれよれだが、気に入っているようでよく着ていた。喜んでくれているようだ。
日中はぽかぽかする窓辺で日向ぼっこをし、気が向いたら水を飲みに行く。収穫した後だが、光合成でもしてんのかな。のんびりした時間は見てるエレンにも癒しになり、もっと〝リヴァイ〟のためにしてやりたくなる。
『、』
もそりと身じろいだ〝リヴァイ〟がそろそろとトイレに向かっていく。排泄は人目のない場所じゃないとしない。
「…、」
ちゃんと元気だろうか。じっと衝立のブックエンドを見つめる。コメントでも『ウンチで元気かわかる』って言ってたから、こっそり覗いてみるか。そろりと横から覗くと、
『!!』
しゃがんでいるとき気付いた〝リヴァイ〟にめちゃくちゃ怒られた。
『……!、……!』
「わかったよっ、覗かないから! ごめんて!!」
しぶしぶ顔を引っ込める。心配なんだけどなぁ。終わった後は砂をかけて証拠隠滅されてるし、わざわざ掘り返すのもあれなのでやっぱり諦めるしかない。元気がなくなったら考えよう。息をつくと、携帯を取り出す。気が付けば数日で携帯の中が〝リヴァイ〟の写真でいっぱいだった。これも親バカの一種だろうか。
〝リヴァイ〟にお留守番をさせスーパーに買い物に行くと、クラスメイトの女子に出会った。
「えーっ、ウソ! エレンくん料理なんかするんだぁ~」
「、まぁ」
他に誰が作るんだよ。白けながら適当に相槌を打つと、しつこく絡んでくる。
「ねぇねぇ、私が作ってあげよっか。こう見えて料理得意なんだよ」
カレーとかぁ、ハンバーグとかぁ。あっ、アヒージョもできるよ!
「へぇ」
興味なかった。そういうのは材料を、好きなものを好きなだけ買えるヤツの料理だ。今一番安い素材で腹いっぱいになる、即席即戦力が大切なエレンはどうでもよく聞き流しながらwebチラシで得たお得商品を見て回る。
「エレンくんはこういうの買うんだ~意外~」
「、」
本当にうるせぇ女だな。もうあっち行けよ。イライラしながら口を開こうとすると、
「私お肉買ってくるからさぁ、ちょっと豪華な焼きそばにしようよ」
と言われ、咄嗟に口を噤んだ。肉。ちらと現金な思考が頭を過る。女子は本当に良い肉をごっそり買うと(焼肉じゃあるまいし、焼きそばでこの量は必要ないと思う程の量で、本当に料理が出来るのかは疑問に思うが)、強引に家までついてきた。
「言っとくけど、うちペットいるから。文句言うなよ」
「え~っ、ペット!? カワイイ~~~!!!」
「……、」
まだ何がいるのかも知らないのに何だそれ。やっぱり失敗したな。内心ウンザリしながらそれでも家の扉を開くと、ただいまと声をかける。リヴァイさんが人見知りしないといいけど。
荷物を下ろし、どこにいるかなとぐるりと部屋を見渡すと、ちょこんと小さい姿が机の上にいた。
『?』
見たことのない顔に不思議そうに首を傾げる。可愛い。思わす笑みを浮かべると、背後から戸惑った声が聞こえてきた。
「え、ペット……って、これ?」
「そう。『人妻』。知らねぇ?」
「……知ってる、けど……」
女子がもごもご言っている間に、〝リヴァイ〟がもじもじし始める。発情が来たようだ。当然〝リヴァイ〟が優先だった。
「ちょっと待っててくれるか。先にリヴァイさんの相手しなきゃだから」
「……え?」
戸惑った声も気にせずいつも通り綿棒を手に取り舐めると、〝リヴァイ〟につぷっと挿入した。
「っ」
背後で息を飲む音が聞こえた気がしたが無視しぬこぬこ続ける。
『……っ♡、……っ♡』
「うん、気持ちイイな」
ピクピクする感触が愛しい。元気な証拠だ。最近解ってきた『イイ』場所をつんつんと綿棒の先でつつくと、大きく痙攣し、達した。
『っ、っ、♡』
「いい匂い。大丈夫か? ……抜くぞ」
十分味わったのを確認すると、小さい身体を気遣いながらそっと引き抜く。と、
「あれ……?」
反応が、いつもと違った。あれだけヨくすると、抜いたとき甘い汁がぴゅっと出てくるのに今日は出なかった。眉をひそめる。もしかして。
「客がいて緊張してんのか? ごめんな……」
オレが肉に釣られたせいで。素直に謝ると、よしよしと頭を撫で、小さな股に顔を寄せる。
「ん、」
「っ!?」
エレンは驚愕に目を剥く女子の目の前で躊躇うことなく舌を伸ばすと、まだ自分で排泄さえままならない生まれたての子犬のお尻を舐め、排泄を促す親犬ようにペロペロする。出ろ、出ろ。
『~~~っ!♡』
すると、ぴゅっといつものように小さな穴から汁が噴き出した。
「ん、出たな、じょうず」
ほっとし、褒めるように何度もペロペロ舐めると、ぼそりと背後から声が聞こえた。
「……気持ち悪い」
「はぁ?」
ジュウゥ……
ひとり、キッチンで焼きそばを焼きながらエレンはブツブツこぼす。
「意味わかんねぇ女だったな」
ペット差別かよ。消えてから三十分は経つが、腹立ちが治まらない。まぁ良い肉がタダで手に入ったからそこはいいけど。
豪華な肉の乗った大盛り焼きそばをどんと机に置くと、自分のごはんを食べず待っていたらしい〝リヴァイ〟が近くにちょこちょこやってきて、一緒に食べ始める。ほら、リヴァイさんはこんなにも可愛い。
その姿にようやく留飲を下げると、ばくばくと焼きそばを食べ始める。……マジで美味い。肉は偉大だな。もぐもぐと咀嚼しながらそう言えばと、〝リヴァイ〟の小さなつむじを見ながら思い出す。
「イクと甘い匂いの汁が出るなと思ってたけど、やっぱり甘いんだな」
ぴゅっと出た汁が美味しくて、チロチロと舌先で何度も舐めてしまった。
「今度から飲んでいいか?」
『、』
聞くと、恥ずかしそうにしながらも〝リヴァイ〟は嬉しそうに頷いた。
『え、アレ飲んでるの? マニアックだねぇ……』
腹も満ちた頃、電話でハンジに報告すると、妙な具合に感心された。そうかな。だって美味いだろ。
『しかも直飲み? 飼っている人妻の体液を飲む自体そうとうマニアックだけど、それでも飲みたい人は普通はスポイト突っ込んで吸い取ってから飲むけどねぇ』
「えぇ、めんどくさい」
別にリヴァイさん嫌じゃないみたいだからいいや。エレンは決めつけると、おやつにもってこいだなとのんきに思っていた。
ブログコメント:
『ウンチこっそり作戦失敗しちゃいましたか~。しかたないですねぇ、まあまだ若いヒトヅマちゃんなので大丈夫と思います! お洗濯もできるリヴァイちゃん凄いです!』
『クラスメイトの女子ヒドイですねっ!! めげないでください、ヒトヅマちゃんは世界で一番かわいい生き物ですっ』
『あのお汁、美味しいんですか……。ドキドキだけど、今度飲んでみようかなぁ……スポイトどこいったっけ』
『リヴァイちゃんのお汁、僕も飲みたいな。出るところも見たいです画像ください』