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    yy_skit

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    yy_skit

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    五話目。
    (後半のブログコメントは面倒なので後で書きまs…)

    人妻(食用)飼育日記。5[オスと出会う]

     学校生活が始まり、〝リヴァイ〟のおもちゃも手に入れ、エレンは中々にうまくやっていた。
    「暑くなってきたから夏用のポンチョ作ったぞ~。着てみるか?」
    『、』
     おニューのポンチョに、〝リヴァイ〟が嬉々として手を伸ばす。相変わらずクオリティは低いが、ブログファンから贈られてくる凝った服より喜ばれるのだから仕方ない。
     いや、『仕方ない』は嘘だ。嬉しいに決まってんだろ。
     いそいそと着替え、〝リヴァイ〟が嬉しそうにヒラヒラの裾を引っ張る。可愛い。気に入ってくれたようで良かった。
    「……、」
     しかし。
     着せてみて初めて気付いたけど、この布普通っぽいのに薄いんだな……しげしげと眺める。光の加減でちんこ透けて見える……。しかし、股の間に申し訳程度にちょこんとくっついてるちんこだから、特別隠さなきゃという意識も湧かない。
     裏地など知らないエレンは、誰が見るわけでもないからいいかとのんびり頷くと、気にしないことにした。本人も気に入っているし、それに暑くて具合が悪くなるよりよっぽどいい。
     ポンチョの白い布には、愛らしいクマが大きくプリントされている。子供の手さげ袋を作った余りの端切れをもらって作ったのだけど、なかなかにいい出来だった。ご満悦で見ながら、今週の日曜は別のポンチョでも作るかと携帯のカレンダーを覗くと、は、と気付いてしまった。知らぬ間に、この時期がやってきてしまっていた。
    「……っ、」
     ――やばい、テストが近い。冷や汗をかきながら頭を抱える。正直成績が良いわけではないからここが勝負所だった。一気に焦燥感が湧く。ちらと嬉しそうな〝リヴァイ〟を見つめる。どうすっかな……
    『?』
    「いや……」
     何でもない、とは口が裂けても言えない。赤だけは避けたい。
     深夜は光を待つ植物のようにちゃんと眠るとはいえ、夜何度も発情する日もある。当然嫌ではないが、回数が日によって変化する法則はいまだ全然解明できていないので、まとまった勉強時間が取れるかは解らなかった。さすがに追い込みもなくテストは無謀で、そうなるときちんと相手してやれないし、発情が来てすぐ気付いてやれないのも可哀想だ。
    「一週間だけ臨時のオスでも探すか……」
     そもそもどこにいるのかも解らないが、ハンジなら知っているかもしれない。
    「……〝リヴァイ〟は人妻のなかでも発情がつよいらしいから、オスが枯れないように気をつけねぇと。弁償できねえ……」
     そこも心配だった。頼むっ、強いオス近くにいてくれよ! 一週間だけでいいから!!!
     願いながらハンジに電話すると、了解と頷いた。
    『いるよ一匹。最強のオスが。ただし飼い主が偏屈な男だからねぇ……いいヤツではあるんだけど。多少ぶっきらぼうでも気にしないでくれよ』
    「大丈夫です。リヴァイさんのためなんで!」
    『……〝リヴァイさん〟……あー、それ……いや、うん、まぁいいか。とにかくその男は〝エレン〟を育てるプロで、『兵士長』と役職名を貰ってる。兵長と呼んだらいいよ』
    「〝エレン〟? 〝兵長〟?」
     初めて聞くことばかりで、理解できず眉を寄せる。詳しくはその時聞いたらいいよとハンジはあっさりと丸投げすると、じゃあ向こうに連絡しとくね~とあっさり電話を切った。
    「……〝エレン〟?」
     おんなじ名前かよ。人果に、〝リヴァイ〟とは別の特別なヤツがいるってことか?
    『?』
     〝リヴァイ〟を見下ろすと、同じく首を傾げている。知らないのかただエレンの真似をしているだけなのか解らないが、とにかく希望が見えたのは良かったと思うことにした。


    『顔合わせ今日ですねっ。これも相性ですから……ヒトヅマちゃん、上手く交尾できるといいですねぇ』



     どうやら向こうの飼い主は社会人で、時間が選べる仕事らしく翌日曜にはオスを連れやってきた。
    「お前が『人妻』の飼い主のエレンか」
    「はい、あの、『兵長』……ですか」
    「、そうだ。さっそく上がらせてもらうぞ」
     ハイ。挨拶すらなくさっさと上がり込む『兵長』と名乗る小柄な男に呆気にとられる。いや、別にオスを貸してくれんならなんでもいいんだけど。
     兵長は部屋をぐるりと見渡すと、ふん、と鼻を鳴らした。
    「埃の取り方が甘い部分はあるが、まあ悪くない」
    「良かったです」
     リヴァイさんがいるから、怪我をしないようこまめに片付けたし、そもそも贅沢は出来ないから物はない。それが良かったらしい。ハンジに『偏屈な男』と評されていたが、第一関門はクリアしたようだった。
    「……」
     小姑のようではあるが、同じ部屋にいても意外と居心地は悪くない男が不思議で興味が湧く。同じ人果を飼う者同士だからかもしれない。
    『?』
     突然やってきた新しい客に、〝リヴァイ〟が机の上で不思議そうな顔をしている。人見知りしねぇかな。リヴァイさんのためのオス(の飼い主)なんだけど。ドキドキ見守っていると、身を屈めた兵長が、低い、でも優しい声で声をかけた。
    「……おまえか。こんにちは。しばらく邪魔するぞ」
    『、』
     じっと見上げた〝リヴァイ〟がこくりと頷く。……そっか、リヴァイさんには優しいんだな。一気に好感が持てた。前、強引に部屋までやってきた女子のクソな態度を知っているだけに、ぐんと好感度が上がる。そうだ、うちの子は可愛い。
     兵長は持ってきた大荷物とは別の、大切そうに持つ鞄を一度撫でると、中に手を伸ばしそっとそれを掴んだ。
    「わ……」
    「〝エレン〟だ」
     丁寧に〝リヴァイ〟の隣に下ろすと、紹介した。
     これがオス……。なんというか、本当にオスだった。〝リヴァイ〟よりも大きくて硬そうで、何故か片足が一本無い。髪は伸び、無精髭は生え、片目を覆うように包帯が巻かれてる。満身創痍……? え、これ大丈夫なのかよ。
     その思いが顔に出たのか、兵長に「オスとしてなんら不足はない」と釘を刺される。いや、不満はねぇけど。
    『……?』
     突然現れたオスに、〝リヴァイ〟は小首を傾げちょこちょこ近付くと、スンスン匂いをかぐ。何かを確認しているようだ。面白い……
     仲良くできっかな。じっと見守っていると、死んだ魚のような目で座るオスに怯むことなく頭を撫で、一度きゅっと頭を抱き締めると、たたっと自分のごはんBOXまで走って行く。中からごはんを取り出し戻ると、はいと〝エレン〟に手渡した。
    「っ」
     新入りをもてなそうとしてる、可愛いっ。ニコニコ見守るが、肝心の〝エレン〟が受け取らない。なんだよ、うちのリヴァイさんに不満でもあんのか?
    『?』
    『、』
     眉を寄せ見守っていると、〝エレン〟がちらと兵長を振り返る。あ、もしかして?
    「そいつ、ちんこメシ嫌いなんですか?」
    「ちん……いや、人妻とは違うものを好むんだ」
     メスは樹液を固めたもの、オスは葉っぱをすりつぶして固めたものを主に主食とする。
    「これだ」
     鞄から取り出された小綺麗なタッパーには、緑の薄いせんべいみたいなのが沢山入っていた。なるほど、オス専用のごはんがあるってわけか。
    「リヴァイさん、そいつはオスだからちんこメシ食わないんですって」
     こっちをあげてやってください。さっそく小さい手にせんべいを渡すと、〝リヴァイ〟は頷き、そっと〝エレン〟に渡す。今度は拒否することなく受け取り、もそもそと食べ始めた。
    『、♪』
     受け入れてもらえたと思ったのか、〝リヴァイ〟は喜ぶと一緒にごはんを食べ始める。うん、仲は悪くなさそうだ。良かった。
     ぐうぅ……
     詳しい説明を聞こうと思ったが、それより先に腹が鳴った。もう昼だ。でもきちんと話を聞かなきゃと我慢していると、音に気付いた兵長がため息を付き、先に飯にでもするかと紙袋を手渡してきた。こ、この袋は!?
    「えっ、マック買ってきてくれたんですかっ!?」
    「腹を減らせたガキだって聞いたからな。ガキが好きそうなの買ってきた」
    「っありがとうございます!!」
     マジかっ! マックとか久しぶりだ!!!
     ワクワクしながら押し戴きさっそく紙袋を開くと、なんとハンバーガーが三つも入っている。しかもひとつは憧れのビッグマック!!!
    「兵長、神ですね!!!!!」
     一気に好感度が爆上がりした。そうかよと受け流した兵長は、手を出す。
    「フィレ……、……、いや、何でもねぇ。食え」
    「?」
     エレンはさっそく前菜のフィレオフィッシュにかぶりつきながら首を傾げる。手? 何だ? 何を要求されてる? バクバクと数口で食べきり、辺りを見渡す。
    「秒で……」
     ぼそり。そら恐ろしいものを見る目で見られている事にも気付かず、視線を彷徨わせると、あ、と気付いた。
    「このカップ、兵長の飲み物ですか? すいません、気付かなくて!」
    「あぁ……」
     慌てて紙コップを手渡すと、次のハンバーガーを取り出す。わっ、ポテトも二個ある! 最高かよ!!!
    「~~~っ」
     包み紙を剥がし、がぶりと次のバーガーに大口でかぶりつくとじゅわと肉の旨味が溢れ出す。幸せだった。ニコニコ食べていると、気付いた〝リヴァイ〟もニコニコする。うん、ウマイな?
     あっという間に三つを完食し、ほっと息をつくとデザートのポテトに手をつける。あぁ、満たされる……
    「マックのポテトってなんでこんな美味いんですかね……。特にカリカリほくほくな部分が最高です」
    「そうかよ」
    「兵長はどれが好きですか」
     まだ続くのか。そう言いたげな顔が適当に指さす。
    「……そいつだ」
    「? この、へにょったヤツですか?」
     たまたま取った一本だが、柔らかく、中ごろからよじれてくたっとなってる。へぇと思う。
    「変わってますね」
    「うるせぇな」
     面倒そうな顔をしてるけど、でもマックポテト好きなんだな。楽しくなって、また何か言いたそうな口にやわらかポテトをずぼっと突っ込んだ。
    「でも、二人で分け合うとき、ポテトでケンカしなくていいのはいいですね」
    「、」
     屈託なくニコニコ笑い、じゃあ兵長の好きなのあげますねと選り分けると、二人でポテトを食べた。なんか楽しかった。



     腹も満ちた頃、兵長は〝エレン〟のお泊りセットを手慣れたように設置していく。オスレンタルはよくある事なのかもしれない。
    「トイレはここに置かせてもらう。砂は毎日換えてくれ」
     その箱みたいなの、トイレなのか。というか、
    「? トイレはありますよ」
     そこに。ブックエンドを指さすと胡乱な瞳で見つめられる。何。
    「……うちのエレンは繊細なんだ」
    「は?」
     その後、服はこれ、ベッドはこれと示される。
    「悪いが、エレンは脚が不自由でな。たまに水を持ってきてもらえるか」
     時間をかければ自分でも行けるだろうが、怪我をさせたくない。
    『、!』
     声をかけられた〝リヴァイ〟ははっとすると、こくりと強く頷く。確かにウォーターサーバーまで梯子を使わなくては行けないから、必要だった。さすがプロの飼い主だと思う。
     最初〝エレン〟は満身創痍で死んだ魚の目と思ったが、〝リヴァイ〟と仲良くしていても時折兵長をじっと見ていた。大好きな飼い主なのだろう。


     そうこう話してるとき、リヴァイがもじもじし始め、ついに発情が来たかと〝リヴァイ〟に向き合う。
    「リヴァイさん、オレ、明日から夜勉強頑張らなきゃいけねぇから、一週間だけオスに相手してもらってくれるか? できる?」
     コレ、と教科書を見せると、こくりと頷かれる。〝リヴァイ〟は人妻だからオスは初めてではないと解っているが、ちゃんと交尾できるか心配で見守っていると、〝エレン〟に抱き付き発情の匂いを嗅がせ、オスを興奮させるとズボンを脱がす。そのオスの股を見てエレンは目を剥いた。
    「猥褻物がついてる!!!」
    「言い方」
     サクッと兵長にツッコまれるが、いやだってアレは考えないだろっ!!!
    「だってうちのリヴァイさんのちんこ、飾りみてぇに可愛いのに、オスってあんなガチガチのちんこついてんのかよ……っ」
     人妻専用おもちゃが卑猥なのが不思議だったけど、なるほどオスの影響かと思う。あれはブラブラ出しっぱなしにはできない。唸る。
     淡々とした顔で勃起させる〝エレン〟の脚を跨ぐと、〝リヴァイ〟は膝に座るように腰を落とす。人妻専用おもちゃで言えば『特大』サイズのそれをじょうずに飲み込むと、肩に手を置き腰を振った。
    『……っ♡、……っ♡』
    「良かった、相性は悪くねぇみたいだ」
     〝エレン〟も嫌がっていない。ホッとする。これなら安心してテスト勉強に集中できると思った。
    「でも、また乗っかるんだな。人果の交尾っていつもこんななんですか? リヴァイさん、おもちゃも吸盤付きのやつが好きなんですけど、〝エレン(こいつ)〟も好きにさせてるし、もしかしてこの体勢がデフォなんですか? それとも足が不自由だからですかね」
     普通に疑問で兵長に問うと、聞くか普通とぼそりと呟かれながら、それでもしぶしぶ教えてくれた。
    「いや、どの体勢も可能だ。足も関係ない。ただ、交尾は基本メス優位だから、メスの望む体勢を取ることが多い」
    「そっか~、単純にリヴァイさんの好みってことか」
     なるほどと納得する。リヴァイさんは騎乗位が好き。
    「……、」
     その言葉に、兵長は微妙な顔で視線を逸らす。何だ? じっと横顔を見る。何か変な事言ったか? 探るように見たが、その顔がふとどこかで見たことがある気がして首を傾げる。誰に似てんだろ。今更だがようやくしっかりと顔を見て思う。厳しそうな顔をしているけど美人な男だった。
     二匹の交尾は続きそうなのでしばらく好きにさせようと放っておくと、〝エレン〟について聞くことにした。まだまだ人果について知らないことが多いようだ。
    「そもそもオスなんてどうやって出会うんですか? スーパーに売ってるわけじゃないですよね」
     あんなちんこのデカさだったら間違うとも思えねぇし。言うと、頷き、その辺の道路でだと教えてもらった。
    「出会いは、自由を求めてさ迷っていたのを偶然見かけたんだ」
     翻訳の仕事にも飽き、息抜きに近所を散歩しようと歩いていると、少し先に小さい『何か』が立っていた。
     最初は生きているとは思わなかった。人間と同じ形をしている上に、酷く小さい。戦隊モノのフィギュアか何かだと気にも留めなかった。しかし、近付くと様子がおかしいことに気付く。――動いていた。
    「大きな水溜まりを見ながら物憂げな顔をしていた。外には敵が沢山いると知ってしまった顔だった」
    「へぇ」
     脱走してきたのかな。本当に普通の人果とは違う。そこには『意志』を感じられた。
    「だから、うちに来るかと」
     無理強いはしなかった。来ないというならそれでいいとただ待っていると、近付いてきた。だから連れ帰った。
    「それから人果、そしてオスの存在を知った。この負傷兵のような今の〝エレン〟は、初めての〝エレン〟じゃない。三匹目だ。それで長年観察していくうちに気付いたが、人果は普通半々の確率で性別が変化する。しかし〝エレン〟は、どうやら初めて実った時から100%オスになるらしい。スーパージーン……オスとして染色体が固定されてるのかも知れない」
    「なるほど……」
     謎の単語は理解できないが、〝エレン〟はオスしかいないというのは解った。
    「同じ事はお前の人妻にも起こっている。〝リヴァイ〟はオスの身体でメスの性質――これはどんなに実っても変わらない。この二匹は人果唯一の変異種だ」
    「リヴァイさんもそうなんだ……」
     確かに見た目も全然違う。なんだろうな、本当に不思議な生き物だ。
    「変わっているのは他にもある。人果は半々の確率で変化すると言ったが、変化直前の未成熟な果実の中に〝エレン〟を入れると、圧倒的なオスの存在感に、全ての人果がメスへと変化する。そうしてメスを増やし、商品としての『人妻』を安定して出荷することに成功しているというわけだ」
    「すげぇ、オスの中のオスかよ」
     一人勝ちのハーレム。でもちっとも楽しそうな顔はしていないが。
    「それを言えば、〝リヴァイ〟も同じ性質を持っている。未成熟な果実を一緒に入れるとそれは必ずオスになる。でもオスは食用に適さないからな。交尾用に減って困ったときにしか活用しない」
    「はぁ……」
     実はレアな二匹が揃ったってことか……。情報が多くて忘れそうだ。あとでメモしよう。ちらと交尾する二匹を見やる。
    「そういや、オスは交尾衝動ないんですか」
     毎日何回ももじもじするえっちな人妻を飼っているだけに、オスはどうなのか気になる。やっぱり何度も相手をしてるんだろうか。兵長はカップの紅茶を飲みながら首を振った。
    「オスは始めの二匹の行動を見てわかる通り、メスの発情した匂いを嗅いで発情する。逆を言えば、メスが発情しない限り交尾衝動は起きない」
    「あー、さっきのそういう意味があったのか」
     やけにイチャイチャしてるなと思ったのだ。でも交尾のための準備だったならちょっと安心だった。自分が必要ないと思われたら嫌だからだ。
    「でも、交尾衝動はないが、溜まるは溜まるから出させてはやる」
    「あ、やっぱりそういうのは必要なんですね。どうやるんですか」
    「簡単だ。勃起したら、舐めてちゅっと吸い出してやると出てくる」
     舐めて吸い出す? ふと想像する。この美人な男が、家でオスのガチガチちんこを吸ってるのかと思うと思わず声が出た。
    「エロ……」
    「あ?」
    「いや、何でもないです」
     さすがに言うのはやめた。首を振る。自分も〝リヴァイ〟とのあれこれをエロい目で見られるのは迷惑だからだ。ブログコメントの一部を見ていつも思うが、純粋にペットとして可愛がっているだけなのだ。そこに邪な気持ちは一切ない。えっちだなぁと思っても、性的に興奮してるわけじゃないことは声を大にして言いたかった。
     その気持ちは兵長にも伝わったのか、寄った眉を解き、頷く。
    「エレンは可愛いぞ。箱にメスがいればオスの役割として何匹いても全部と交尾するが、世界を抱いている顔をしてるのに、甘えただ」
     その顔は慈愛に満ちていて、どれだけ大切にしているのか解る。
    「今みたいに近くに人妻がいると『オスですけど何か』って顔をするが、二人きりだと甘えてくる。冬になればカーディガンのポケットに入り込んで出てこない。おかげで片方だけ伸びきる。どうだ可愛いだろう」
    「兵長が溺愛してるのはめちゃくちゃ解りました」
     自慢げな顔が可笑しい。そんな顔もするんだな。何か犬みたいだなと思った。兵長にだけ従順な犬。〝リヴァイ〟はちょこちょこ動き回っていて、遊んでほしい時だけすり寄ってくる。でも、必ず自分が視界に入る場所にいるネコ。そこが可愛い。
     それを思うと、尚更満身創痍が気になった。半分欠けた脚。
    「あいつは何でケガしてるんですか? 生まれたときからですか」
    「いや……」
     一度言葉を切った兵長は、後悔を滲ませた憂う顔で瞳を伏せる。
    「〝エレン〟はほんの少し油断した隙に、猫に脚を食われちまった」
     青臭く美味しくないオスは大丈夫だろうという俺の不注意が招いた。反省している。翳る瞳が痛々しくてこっちも胸が痛くなる。
    「目もその時負傷した。……可哀想なことをした。お前も窓だけは気を付けろよ。メスは特に美味いから犬猫だけでなく、鳥や蛇にも気を付けろ」
    「はい」
     気を引き締める。何度飼育しても失敗はするのだ。にわかに心配になり〝リヴァイ〟を見つめると、交尾を終えたようで二匹でまったりしていた。その姿に兵長も安心する。
    「……大丈夫そうだな。じゃあ俺は帰るからエレンをよろしく頼む」
    「はい。大切にお預かりします」
     しっかりと頷く。兵長は帰り際、じっと見つめる〝エレン〟に歩み寄ると、身を屈め、スと頬にキスをした。
    「一週間後に迎えに来る。いい子にしてろよ」
    『、』
     表情の少ない顔が頷く。〝エレン〟は兵長が部屋から出ていくまでずっと背中を見ていた。
    「……」
     そうだよな、人果だって離れるの寂しいよな。自分も〝リヴァイ〟が一週間いなくなったら寂しいし心配になる。元気に帰ってもらえるようしっかり面倒見ようと思った。



     ……なんて決意して数日経ったが、実際に〝エレン〟の面倒を見ているのは〝リヴァイ〟だった。驚くほどかいがいしい。
    「……なんだろ、母さんみたいだな」
     割烹着姿だからだろうか、せっせと面倒を見ている。聞いたところによると倍ほども年上らしいが、まるで幼い子供を世話する勢いで面倒を見ていた。運ぶのはエレンだが、お風呂も入れてあげるし、洗濯もしてあげる。
    「母性を発揮してる……」
     今も、ニコニコしながら長い髪を梳いている。モヤモヤした。
    「リヴァイさんはオレの可愛い子なのに……っ」
     こんなっ勉強が出来ねぇばっかりに! 忘れられちまったらどうすんだよっ!!!
     オスに取られるなんて嫌だっ!!! ノートの上に突っ伏すと、気付いた〝リヴァイ〟がちょこちょこと近付いてきて、頭を撫でてくれた。
    「リヴァイさん~~~っ!!!」
     がばっと掴みお腹にぐりぐりすると、嬉しそうにした〝リヴァイ〟が小さな指で頬をつんつんしてきた。なに可愛いっ。
    「え、何……? 頬……あ、『顔』?」
    『、』
     聞くとこくこく頷く。何度も頬をつんつんし、振り返って〝エレン〟の顔を指さした。
    「もしかして、オレに似てるって言ってるのか?」
    『♡』
     通じたことが嬉しそうに頬にスリスリする。可愛い。顔の件はどう考えてもあのすさんだ髭とは似ても似つかないと思うが、〝リヴァイ〟が似てると思うならそれでいい。要はだ。
    「オレに似てるからあんなにかいがいしく面倒を見てるってことだ」
     言わば、向けられてる愛はオレへの愛!
     現金なことに一気に元気になると、それからは集中して勉強が出来た。お陰様で何とか成績は平均くらいになれた。
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