つがい 雪がつもり寒さにかじかむ指先を自分の吐息で温めながら少しでも暖を得ようと幼子が一人徘徊している。すると子供の目に白くふわふわとした毛皮が映り込みそれをぎゅっと握りしめた。
「君は…」
毛皮の衣だと思っていたものはどうやら目の前にいる人物の尻尾だったようで、するりと子供の手の中から消えていく。
「あっ」
思わず手をのばすもそのおの持ち主の耳に虎の耳が着いており、薄く開いた口からは牙が覗いていた。
「やだぁ助けて!お母さん、お父さん!」
大きな瞳に涙をいっぱいに浮かべ大声で泣き始めるも、この子供の両親が現れる様子はない。
「君は一人なのか?」
「ううっ、ぐすっ…羨羨のお父さんもお母さんもいなくなったの」
「そうか…私は藍忘機、藍湛と言う、白虎の神獣だ。怖がる必要はない」
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