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    saku2442

    pdl 荒新の字書き
    幸せな推しの妄想をするのが日課です

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    POIPOI 32

    saku2442

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    高校生荒新でポッキーゲーム
    ほかのヤツにそんな顔見せてんじゃねーヨ!

     慣れた寮の廊下を、小さな赤い箱ひとつ持って歩く。目指して進んだ先、扉の前に立ち止まり二回ノックした。
    「やーすとも、いる?」
    「おー、入ればァ」
     すぐにもらえたお許しに、気分良く扉を開き部屋へと入る。
    「へへ、靖友!」
    「んー」
     返事は返してくれたけど、靖友の視線は読んでいる漫画からこちらへは向かない。そんなことは構わず側まで行き、靖友の寝転ぶベッドへ腰かけた。
    「靖友、今日なんの日か知ってる?」
     問いかけに靖友の視線がチラリとオレを見て、また漫画へと戻っていく。
    「福ちゃんの日」
    「へ?」
    「だから、今日は福ちゃんの日だろ」
     予想していたのとは全く違う返答に、思わず首を捻ってしまう。
    「寿一の日?」
    「そ」
    「なんで?」
    「ア? 十一月十一日だからだろ」
     何訊いてるいるんだと、言わんばかりに返されてますますオレの頭は混乱する。
     十一月十一日と寿一になんの関係が? ん、十一月、十一日、じゅう、いち…………あ! なるほど、寿一の日な。
    「で、それがなにィ?」
     やっと解けた謎にひとりで頷いていると、いつの間にか起き上がっていた靖友が怪訝そうにこちらを見ていた。
    「寿一の日だし後で寿一ともやらないとな!」
    「は、なにを?」
    「ん? ポッキーゲーム」
    「はぁ?」
     そもそもここへ来た目的を果たすべく、靖友へ見せるように赤い箱を差し出す。
    「今日はポッキーの日! でもあるんだぜ」
     ニッと笑って靖友を見つめると、眉間のシワが深くなっていく。
    「おまえ、そんなんよく気づくな」
    「いや、オレも今日がポッキーの日とか知らなかったんだけどさ」
    「けど?」
    「尽八がロッカーで言ってたから」
    「ア?」
    「で、その時ポッキーゲームのやり方も教えてくれたんだ」
    「……ちょと、まて」
    「ん?」
    「それ、実践込みじゃねェよな?」
    「こうやってやるんだぜ。って実際にやって教えてくれたけど」
    「東堂と誰か他のヤツが?」
    「んーん、オレと尽八が」
    「おまっ、それ! まさか最後まで」
     なぜか急に焦り出した靖友に、首を傾げ話を続けた。
    「尽八が途中で折って、オレの勝ちってなったけど」
     ほっと一度息を吐いたけれど、やっぱり靖友は面白くなさそうな顔をしている。そういえば尽八もゲームを終わらせた時「これ以上は荒北が怒るからな」って言っていた。しかもその後「ちなみに、荒北とは最後までしてもいいんだぞ」と笑っていたな。そもそも途中で折った方が負け以外に、まだ終わるパターンがあるのだろうか。最後までするとどうなるんだろう? まだ一回しかしたことないゲームはいまいちよくわからない。
     でも尽八が言っていた。きっと靖友とやると面白いぞって。だからポッキーまで持参してここへ来たのだから、目的は達成しないと。
    「な、靖友。一緒にポッキーゲームしよう」
     ガサガサと袋を開けて、取り出したポッキーを一本咥えた。ん、と靖友の前へ突き出すと目に見えてわかりやすいため息をつかれる。
    「この、バカ!」
     そう言って靖友はなぜかオレの両肩を掴んだ。ポッキーの先端を捉えるためか、すっと靖友の視線が下を向き瞼が少し伏せられる。半開きになった唇がゆっくり近づいて、ポッキーの先端を咥えた。
     あ、れ。何これ、ちょっと待って。
     突然、心臓がドクっと鳴ったと思ったら、靖友の視線が上を向き真っ黒な瞳に見つめられる。ポリっと小さく音が鳴り、靖友の唇が少しだけこちらへ近づいた。
     小さくポッキーを齧る音が鳴る度、靖友の唇は近づいて、その間瞳はずっとオレを捉えて離さない。オレの鼓動がどんどん速くなって、もう後ちょっとで唇が触れる、そう思った瞬間、オレは思い切り顔を反らした。
    「おまえの負けな」
     なんてことない、いつもの靖友の声。それでも心臓はバクバクと煩く鳴っていて一向におさまる気配がなかった。
     だって、あんなのキスするより恥ずかしい。なんでだ? 靖友とキスなんて何回もしてるのに、しかもいま唇は触れてない。つーか、靖友エロっ! まって、靖友ってキスする時あんなだったか。
     いままでの靖友のキスを思い出してみるけれど、そのほとんどが顔を見ていた記憶がない。そりゃそうだ。キスする時はだいたい目を瞑っているのだから。たまに最中に靖友の顔が見たくて瞼を開けることはあるけれど、キスされる瞬間は見たことない。
     靖友がキスする時はあんな感じなのだと、そう思うと余計に顔に熱は集まり、鼓動もおさまらなくなる。
     恥ずかしさに悶えながらうつむかせていた頭に、クスクスと笑いが降ってきた。
    「しんかァい、今度はおまえからな」
    「へ?」
     靖友の言葉の意味がわからず、おずおずと顔を上げるとポッキーを咥えた靖友と目が合う。ふらふらとそのままポッキーを揺らし、靖友は瞳で「はやく」と訴えてくる。これは完全に逃げられないパターンだ。何度か視線をさまよわせ、意を決してオレはポッキーへ齧りついた。
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    saku2442

    DOODLE大学生荒新
    お昼時にメッセージのやり取りをする荒新のお話。待宮さんも登場します。
    だって、君は特別。
     うどんを一口すすったところで、テーブルの上のスマホが震えた。すぐに止まったそれは、通知を知らせるためにピカピカ光る。箸を置き、代わりにそいつを手に持った。素早くロックを解除し、送り主を確認すると想像していたヤツからのメッセージ。
    『うまそうだろ!』
     その一言と共に送られてきた写真。そこには分厚いカツの乗ったカレーが写っていた。昼食にしては中々のボリュームだが、こいつなら平気で平らげるだろう。口いっぱいに頬張り、幸せそうに食べる姿を思い浮かべ自然と口元が緩む。
    『うまいからって早食いすんなよ』
     そう文字を打ち込んでから、テーブルへスマホを置き食事を再開させた。
     新開はこうして、自分の食べる物を撮ってよこすことがある。それ以外にも澄んだ青空、季節の花や路地裏の野良猫。何気ない日常を切り取ったようなそれらに、オレはいつも癒やされている。本音は恋人の写った写真の方がいい。けど自撮りが下手なこいつは、まともな写真をよこしたことがなかった。たまに福ちゃんが送ってくれる写真の方が、よっぽど上手く撮れている。
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