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    saku2442

    pdl 荒新の字書き
    幸せな推しの妄想をするのが日課です

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    saku2442

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    高校生荒新
    新開さんが荒北さんについて考える。新開さんも荒北さんが好き♡

     オレはいま、荒北靖友という男について考えている。
     なぜ急に自分の恋人について考えているのかというと、始まりはなんてことない一言だった。
    「荒北って、マジでモテねーの?」
     休み時間、なにげに覗いていた窓の下。グラウンドには次の体育の授業のため、生徒が少しずつ集まっている。その中にダルそうに歩く、ジャージ姿の靖友がいた。いつもの剣のある顔と違い、いまは気の抜けた表情をしている。
    「背が高くて、スタイルはいいし、運動神経もよくて、顔も悪くない。意外といい奴だし、何より女子に対して構えたとこないだろ」
     スラスラとそいつの口から出る、靖友への褒め言葉。それは間違ってない、間違ってはいないけど、どうにも何かが引っかかる。
    「自転車部はおまえや東堂がいるから、そっちに目がいくのかもしんないけど、おまえらが一緒じゃなきゃモテたと思うんだよな」
     窓の外あくびしている靖友を見つめながら、どう答えるべきか考える。
    「……そうだな」
     結局、当たり障りのない返事をした自分に、心の中で苦笑いするしかなかった。



     靖友はスタイルがいい。これは本当にその通りだ。
     手足はスラリと伸びているし、細く見えるが筋肉はしっかり付いている。荒北靖友という男は全身のバランスがとてもいいと思う。思うけど、靖友の良さってそんなところかな。
     だって、顔とかスタイルって所詮は見た目だろ。靖友のカッコよさって、見た目とかそんなんじゃない。なんて言うか、目標に向かってひたすら努力できるとか、さり気なく引っ張ってくれる優しさとか、そういう内から溢れてるものだと思う。
     靖友は運動神経がいい。これも事実だ。
     たぶん大抵のスポーツはこなせると思う。実際足は速いし、何より体の使い方が上手い。でも体育祭や球技大会なんかで活躍してるのは見たことない。本人が面倒くさがって本気をださないからだ。でもオレはそれでいいと思ってる。だって大勢の前で本気だして、靖友がモテたりしたら嫌だから。
     そう、オレが彼にちゃんと返事できなかった最大の理由はここにある。靖友の良さはオレだけ知っていればいいんだ。だって靖友にモテてほしくなんかないし、靖友が女の子に注目されたりするのも嫌だ。だから最近少し棘の抜けた靖友は、オレの心配の種だった。靖友と付き合うまで知らなかったけれど、オレは独占欲が強いらしい。
     ぶっちゃけ、尽八やオレがいることで靖友が目立たなくなるならそれでいい。とか思ってしまうオレは恋人として失格なんだろうか。
    「新開」
     突然、耳元で聞こえた声に体がびくりと跳ねる。パッと顔ごと視線を上に向けると、そこには呆れた顔した靖友がいた。
    「なァにボーっとしてんだよ」
    「え、靖友、へ、まだ四時間目」
    「バーカ、とっくに終わってんヨ」
     靖友の言葉に周りを見渡すと、それぞれが思い思いに昼飯を食べている。
    「どーりで来ねェはずだよな」
     こつりとオレの額を小突き、靖友は視線で教室の外を指してくる。黙って頷き廊下に出て、靖友の後ろをついて歩いた。そうして屋上に着くと、靖友はいつもの場所に腰を下ろす。それに倣い横に体育座りすると、目の間に紙袋が現れた。
    「え?」
    「おまえの分」
    「靖友、買ってきてくれたの?」
    「誰かさんがボーっとしてる間にな」
     眉間にシワを寄せる靖友の顔は、知らない人が見たら怒っているように見えるだろう。でも、オレはこれが照れ隠しだって知っている。
    「ありがとう」
     自然と零れた笑みに、靖友も満足そうに笑ってくれた。
    「で、おまえはまた何考えてたんだヨ」
     持っていたパンに齧りつきながら、靖友は尋ねてくる。窺うようなその視線に、少し居心地の悪さを感じてしまう。
    「なんだろうな?」
     ヘラリと口許を緩め誤魔化してみるけど、これで靖友が納得する訳もない。伸びてきた両手に頬を摘まれ、左右に引っ張られた。
    「いひゃい、やふとも、いひゃいっへ」
    「んじゃ、誤魔化さずに言え」
     靖友の手が離れた頬を擦りながら、チラリと視線を送る。もしかして心配してくれてる? じっと見つめてくる瞳に、それを感じてオレの頬はまた緩んでいってしまう。
     靖友のこういうところが本当に好きだ。ぶっきらぼうに見えてもちゃんとオレのことを見て、気づかってくれる。そういう優しさをオレにだけくれるのが、堪らない気持ちにさせるんだ。
    「靖友のこと」
    「は?」
    「靖友のどこが好きかずっと考えてた」
    「はァ? おまっ、なに言ってんのォ」
    「たくさんありすぎて困るよな」
     ぐっと、息を詰まらせ靖友はそっぽを向いてしまった。だけどわずかに覗く耳が赤くなっていて、照れているのが丸わかりだ。
     靖友の強くて、カッコいいところが好き。でも同じくらい、照れ屋で不器用なところも好き。つまりは靖友を形作るすべてが、好きで、きっとオレは一生靖友に恋してるんだろうな。
    「やすとも」
     囁くように呼ぶと、こちらを向いた靖友の手がオレの頬に伸びてきた。そうして掠めるようなキスをされ、耳元に低く掠れた声が響く。
    「こっちのセリフだつーの」
     パッと靖友から離れ耳を押さえると、ニッと口角を上げた顔と目が合った。くそっ、カッコいいじゃないか。絶対オレがこの顔に弱いってわかってしてるだろ。結局オレは靖友に敵わないんだ。
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    saku2442

    DOODLE大学生荒新
    お昼時にメッセージのやり取りをする荒新のお話。待宮さんも登場します。
    だって、君は特別。
     うどんを一口すすったところで、テーブルの上のスマホが震えた。すぐに止まったそれは、通知を知らせるためにピカピカ光る。箸を置き、代わりにそいつを手に持った。素早くロックを解除し、送り主を確認すると想像していたヤツからのメッセージ。
    『うまそうだろ!』
     その一言と共に送られてきた写真。そこには分厚いカツの乗ったカレーが写っていた。昼食にしては中々のボリュームだが、こいつなら平気で平らげるだろう。口いっぱいに頬張り、幸せそうに食べる姿を思い浮かべ自然と口元が緩む。
    『うまいからって早食いすんなよ』
     そう文字を打ち込んでから、テーブルへスマホを置き食事を再開させた。
     新開はこうして、自分の食べる物を撮ってよこすことがある。それ以外にも澄んだ青空、季節の花や路地裏の野良猫。何気ない日常を切り取ったようなそれらに、オレはいつも癒やされている。本音は恋人の写った写真の方がいい。けど自撮りが下手なこいつは、まともな写真をよこしたことがなかった。たまに福ちゃんが送ってくれる写真の方が、よっぽど上手く撮れている。
    2084

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