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    saku2442

    pdl 荒新の字書き
    幸せな推しの妄想をするのが日課です

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    POIPOI 32

    saku2442

    DOODLE大学生荒新
    お昼時にメッセージのやり取りをする荒新のお話。待宮さんも登場します。
    だって、君は特別。
     うどんを一口すすったところで、テーブルの上のスマホが震えた。すぐに止まったそれは、通知を知らせるためにピカピカ光る。箸を置き、代わりにそいつを手に持った。素早くロックを解除し、送り主を確認すると想像していたヤツからのメッセージ。
    『うまそうだろ!』
     その一言と共に送られてきた写真。そこには分厚いカツの乗ったカレーが写っていた。昼食にしては中々のボリュームだが、こいつなら平気で平らげるだろう。口いっぱいに頬張り、幸せそうに食べる姿を思い浮かべ自然と口元が緩む。
    『うまいからって早食いすんなよ』
     そう文字を打ち込んでから、テーブルへスマホを置き食事を再開させた。
     新開はこうして、自分の食べる物を撮ってよこすことがある。それ以外にも澄んだ青空、季節の花や路地裏の野良猫。何気ない日常を切り取ったようなそれらに、オレはいつも癒やされている。本音は恋人の写った写真の方がいい。けど自撮りが下手なこいつは、まともな写真をよこしたことがなかった。たまに福ちゃんが送ってくれる写真の方が、よっぽど上手く撮れている。
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    saku2442

    DOODLE高校生荒新
    荒北さんの背中の引っ掻き傷を見てはてなマークを浮かべていた新開さんが、付けたのは自分だと気づいていたたまれない気分になっちゃうお話。
     放課後、いつもの部室。周りにはいつものメンバー。慣れたヤツらの前で着替えることに、いまさら抵抗はまったくない。もちろん他のヤツの着替えが気になる、なんてことはあるわけもなく。つまり視線がそこへ向いたのはたまたまだった。Tシャツを脱いだ靖友が、バッグの中のジャージを探している後ろ姿。その背中にうっすら付いている赤い痕。細く長いそれは、猫にでも引っ掻かれたみたいになっている。
     転んだにしてはおかしな場所。というか、転んだなら痣や擦り傷のようになるはず。コーナギリギリを攻める靖友が、肩に傷を作っていることはよくある。でもあれはそういう類のものじゃない。もしかして猫に背中から襲われた? にしても片方ならわかるけど、左右に付くって絶対変だ。もしかして本当に誰かに引っ掻かれた? あんなところを。いや、その前に服の上から引っ掻いて見てわかるほどの痕は残らないだろ。なら裸の時? 風呂場で? それこそ誰にだよ。だいたい、あれは後ろから付けられた傷じゃない。こう、抱きつかれて爪を立てられって感じで……。そこまで考えて、昨夜のことが急に思い出された。
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    saku2442

    DOODLE大学生荒新で年越し
    この後、新しい年を迎えてすぐにお互いにカッコいい、可愛いって思いながら惚れ直しているはずです。
    「さ、む、い~! やすとも~、寒い」
     厚手のコートにマフラー、ニット帽もかぶってセーターの中には温かインナー二枚重ねだ。これでも寒いのだから、もう嫌になってくる。
    「おまえ、そんなモコモコでも寒ィのかヨ」
    「だって、じっとしてると寒くなってくるだろ」
     オレたちはいま除夜の鐘が鳴り響く中、二年参りの行列に並んでいた。年明け前のこの列は増える一方で、減ることはないし列も進まない。だから余計に寒いのだと膨れながら文句を言うと、靖友の顔はさらに呆れたものへと変わっていく。
    「だから明日にしろっつったろが」
    「だって……」
     咎めるような台詞に、反論出来ず言葉に詰まる。そう靖友は寒がりのオレを心配して、昼間に来た方がいいと言ってくれていた。なのにどうしても二年参りしたいと、オレが駄々をこねた。なぜなら靖友と付き合ってから、ずっとそばで新年を迎えたかったんだ。お互いの実家さえ近ければ、二年参りくらいは出来たのにと何度考えたことか。そのチャンスがようやく訪れたんだと思ったら何がなんでも、お参りに来たかったんだ。
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