(仮題)色褪せた思い出も、それはそれで美しいと君が言うのでHiMERUに最初にそれを知らせたのは、張本人の風早巽ではなく、同じ事務所からメンバーとして参加していた巴日和でもなく、その件についてはまったく無関係なはずの七種茨だった。
「かぐや姫?」
「はい! まるでお伽噺の姫君のようにわがま……いえ、自由奔放で、いつ『お迎え』が来るかもわからない、儚く美しい殿下にはぴったりです!」
ESの四事務所横断での映画や雑誌のプロモーション企画は、HiMERUも記憶に新しい。コズミック・プロダクションからはまだCrazy:Bのメンバーしか縁がなかったのだが、いよいよ他のユニットにも声が掛ったようだ。どういう経緯かはHiMERUの知るところではないが、巴がタイアップ曲のセンターを勝ち取ったというのだから、やはりESビッグ三の一角は格が違う。ともあれ、HiMERUが口を出す立場でもないし、まあ、そういうこともあるのだなと思って適当に相槌を打った。
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