世界を救う魔法使いの話十数年前、この世に突然『魔獣』と呼ばれる生き物が出現した。
その体長は小型のものでも4階建てビルより大きく、皮膚はミサイルを通さない頑丈さで、大きな爪や牙はコンクリートを粉砕した。どんな兵器でも倒せず、魔獣が出現した都市は壊滅するしかなかった。
魔獣はひとしきり都市を破壊すると、自然と消えていくことだけが幸いだった。
増殖はしない。けれど、徹底的に破壊するまでは消えてくれない。倒すこともできない。
数か月に一度出現する魔獣に対し、人々に残された選択は逃げることだけだった。
このままでは魔獣に世界は滅ぼされる……誰もそう思い、いつ現れるかもわからない魔獣におびえる日々だった。
そんな世界に残る2つの手記が僕の手元にある。
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