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    ezwnlovmng

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    ezwnlovmng

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    捏造 吉田くんとハルナと妹ちゃんと 小6 サイトにupしてるのと同じ こういう次元もあったらいいなみたいな

    ・なつみちゃん口調捏造
    ・まだハルナが告白する前

    なつみという女の子がハルナの妹というのを知ったのは、入学式から少し経ってから。
    ひらがなを校庭の地面に木の枝でかいているハルナとなつみ。
    お姉ちゃんとしきりにいうなつみは親しげで、一見すれば入学したばかりの子が最高学年になついているふしに見えたが、むしろ夕方で傾いた空の色が見えればこの時間に一年生がいて、六年と遊んでいるのは不自然に思えて、吉田は遠くで、入れ心地が悪くて脱いだ靴を踵部分を広げて差し入れながら、なんとはなしに注視していた。
    しかし次第にハルナの方が少し焦っているように身体を揺すり始めたものだから、なにかあったのかとつい生粋の世話好きが足をそちらへと向けさせる。
    「ちょ、ちょっとごめんねなつみ、お姉ちゃんちょっと……」
    「おねーちゃん?もらしちゃいそうなの?トイレ?」
    「坂本さん」
    「わぁっ!!よ、吉田くん!!聞いてた?」
    「ぼくがみてるから、行ってきたら?」
    「あ、ありがとうっごめんね」
    しかしタイミングを誤ったらしい。
    会話が聞こえる距離まで近付いた頃には耳に入ってしまったカタカナ三文字の場所に被せんと鋭くなった声色に、青くなったかと思えば紅潮したハルナの顔が
    促すと申し訳なさそうに頭を下げて校舎に走って入っていく。
    余程の切羽詰まり具合だったのか…トイレ云々という単語は流して触れないことにして、残った吉田は腰を下ろして、なつみの顔を覗きこむ。
    なつみは俯いていたので、少し身を屈まねば顔同士突き合わせることも出来ない。
    「えっと、なつみちゃん?ぼくはお姉さんと同じクラスの吉田郁也。よろしくね」
    「……お姉ちゃんと仲よしなの?」
    「うん」
    「ほんとに?どれくらい?」
    「そうだね、塾が同じだから帰りに一緒になったり、お勉強したり……それから、去年の夏のお祭りにお出かけしたりしたこともあるよ」
    「そーなんだ」
    明るい面をみせた友達の妹に、少しだけ吐息から漏れた安堵感。
    それはなつみもそうだったらしく、木の枝をつかんで俯いていた顔がはにかむように上向きになった。
    「あのね、がくどうクラブでおねーちゃんまってたの、でもなかなかこないからなつみがおむかえにきたの」
    「そっか、今日は塾ないから一緒に帰るんだね」
    吉田とて同じく塾がないからこそみい子たち談笑していた輪に入ってみい子の話に耳を傾けていて、こんな夕陽で赤く照る放課後の遅くまで居たのだから、なんらおかしくはない話だ。
    みい子たちがそれぞれの用事でバラけるまで放課後を堪能してから昇降口から校庭に出たところで、ハルナとなつみを見かけたという具合を、なつみが知るよしもない。
    それでもこの一年生は、自分の指と指を擦りあわせてたどたどしそうに……恥ずかしがりは抜けきらないものの、事情を伝えようとしていた。
    「そうなの、おべんきょうするとこがやすみだからっていっしょなの。おにいちゃんよくおねーちゃんがおやすみだってしってたね」
    「同じ塾だからね」
    「ふぅーん。それでね、わたし、じのれんしゅうしていたの。わたしまだじがうまくかけないから、しりとりを地面でやってたんだよ」
    「……そうか、うまいね。えらいよ」
    「ううん、えらくないよ、だっておぼえるのたのしいもん」
    「……そっか」
    なつみはそういいながら小さい指先でつまんだ木の枝で、すこし不格好な、あ、を描いた。
    純粋に学ぼうとしている姿勢など、身につけていたはずだった。そのつもりであるのに、なぜか一年生の女の子のはにかむように赤い頬を弾ませているのを同じ目線で目一杯広がって見えていると、自分にはいまはない姿勢だと透かしてみえるようだった。
    中学の進路のための勉強をする吉田郁也は、いまの友達……特に片想い相手と離れたくないと葛藤して勉強も身に付かなくなっていたから、余計にそうした恨めしいような、目映いような気付きがはにかむ彼女とは対称的な己に降ってきて、懐かしむにも似たものが胸に迫ってくる。
    「勉強は好き?」
    だから溢れた問いに、なつみは首を横に振って、木の枝を操り、い、を描く。
    「好きじゃないけど、おぼえるのはすき」
    「なにが一番……」
    「あっおねーちゃん、早かったね、もうだいじょうぶ?」
    そうこうしているうちにハルナの軽い足音が耳に到着する。最初に気付いたのはなつみで、吉田も遅れて腰をあげ、声の主へと身を捻って迎え入れる。
    「ごめんね吉田くん!!」
    ハルナはすぐ、吉田の傍らにくると頭を下げたが、吉田に咎める気持ちなどひとつもなかった。
    むしろ小学一年生の女の子に教えられて胸が一杯な具合だった。
    「いいよ、大丈夫だから」と手で気にするなと扇ぐ。
    「お陰でこうしてなつみちゃんと話せたし」
    「あ、ありがとう……なんだかなつみともう仲良しになったんだね」
    「おねーちゃんみてみて!」
    最後に、す、と描いてあいす、という言葉を完成させたなつみに、ハルナと揃って「上手上手」と手を叩いた。
    それを待っていたかのように追って、最終下校時間を教えるように鳴ったチャイムに、姉妹がそろそろ帰ろと手を繋ぐ。
    「うちまで送っていくよ」
    「えっ、でも」
    「二人だけじゃ危ないよ、それになつみちゃんとはお話の最中だったし、ね?」
    「うんっ」
    「じゃ、じゃあ途中まで、お願いしようかな」
    遠慮深く瞳を動かすハルナには目配せし、なつみには優しく視線を合わせ、二人の姉妹が首肯するのをしっかり見た。
    それから三人並んで歩く。
    吉田は、なつみちゃんが学ばせてくれたお礼だよ、とは言えずに胸に偲ばせておいた。

    ……だからなつみという印象は、吉田郁也には多くの一年生の中で少し大きく刷り込まれたのだ。

    話はそれだけに収まらず、後日、なつみからの手紙と添えてお菓子を包んで、「なつみからありがとうお兄ちゃんって」とハルナから手渡しのお詫びを貰ったものだから、すこしだけ年長者の心をくすぐられ、可愛い後輩と相成ったというわけ。

    しかし、近しい一年生が出来たというただの自慢になってしまったが……ただひとつ、誤算があった。
    ハルナと自然と歩く機会が増え、みい子に茶化す眼差しを受けているようでなんだか座りが悪くなってしまったのだ。

    「ごめんね吉田くん」
    「い……いや、大丈夫だよ」
    ハルナが眉尻を下げているのはみい子に好意を持っている懐を直接口答しているからだろう、気を遣ってなつみと吉田とハルナが一緒のときは、「なつみが吉田くんになついてるから」と説明してくれている。
    しかしそれすらもみい子になにか気を遣わせてしまうにおちるのだから、はてどうしようもないことだった。
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