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    ふきのとー

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    ふきのとー

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    🏝️兄さんおめでとうのつもりで書いたのは良いものの、結局🔧🆕…
    本当にごめんなさいm(_ _)m(深々と土下座)

    俺らを護る色 プシュ…ッ

     蓋を回した途端に二酸化炭素の抜ける音。
     唇をすぼめて飲み口に顔を近づければ、爽やかなレモンの香りが鼻を刺激した。予想以上に甘く感じた香りを一呼吸分楽しむ。
     そこから一気に仰げば、味のついた炭酸が喉と舌で痛いくらいに弾けた。甘い酸味が食道を経過して胃に落ちていくのを感じる。
     ふぅ、と一息ついて、手にあるペットボトルを目の高さで掲げてみた。
     身体をサポートしてくれるビタミン色がちゃぷんと揺れる。
     目に鮮やかなその色は、時に先陣を切り、時に背後を支えてくれた大きな機体を想起させられた。
     …だから普段は選ばないこの飲料水を買ってみた訳だが。
     ペットボトルを意味なく揺らし、大宮支部内に幾つも設置されている自動販売機、その横のベンチに足を広げて座り、その先のシンプルな壁を眺める。
     他のシンカリオンと比べても巨大な機体は、対峙した時はただただ威圧された。武者震いで思わず笑みが溢れたほどに。
     鉄道好きな男子はまず憧れるイエロー。それは運転士本人の気質も合わさり、終始皆の安全を護るためだけに君臨していた。
     その巨体を駆る優しい眼差しまで思い出す。
     優しいが厳しくもある彼は今頃何をしているのだろう…と思考が飛んだが、弟と共に空手でもしてるイメージしか沸かなかった。
     厳しさを向けられたことがナガラに次いで多いのは俺だろうな。いや、本当の意味でそういった眼差しを向けられたのは俺だけか。
     過去の「もしも」を考えるほど愚かなことはないが、それでも考えてしまうことがあった。それはーー
     パタパタ、と聞きなれた足音が近づいて来ていることに気づき思考を中断する。
     今日もふらりと休憩室を出てきた俺を探しに来てくれたらしい。
     シンは俺を見つけるなり明るい笑顔を咲かせた。
     思い起こしていた「彼」がいなければ失っていた俺の陽光。窓のない地下だというのに、光が差し込んできたようで、何だか眩しくて目を細めた。
     隣に断りもせずに座ってきたシンは俺の手元を見て「あれ」と声を出す。
     
    「珍しいな~そういうのを飲んでるの。炭酸は苦手だって言ってなかったか?」
    「たまにはな」
    「…何か悩みごと?」

     咄嗟に誤魔化そうとして、そこまでの内容でもないかと正直に答える。

    「ちょっと、誕生日プレゼントは何が良いのか考えていただけだ」

     大きすぎる借りを少しでも返したい、とまでは言わなくても良いだろう。
     考えれば考えるほどに、卒がなさすぎる彼を少し恨めしく思う。

    「大体、あいつが好きなことは何だ?」
    「うーん、空手が好きなのは間違いないだろうけど」

     以前、N700が好きらしいとは聞いたが、来月には中学生に上がる彼に、新幹線の何かのグッズなど渡しても困りそうだ。それだけでなく、内心を上手に隠して笑顔で受けとるような気がする。それでは借りを返したことにはならない。
     まったく、炭酸みたいなやつだ。痛さと甘さの感覚を飲み込んだ相手に残こすくせに、跡には清々しいほどに何も残さないなんて。
     手の先に持ったそれを意味もなく振ってみる。

    「なぁ、それ一口飲んでもいい?」

     シンに無言で手渡す。プシュッと音を立てて蓋を開けた。二度目でも案外大きな音が鳴るんだな。
     一口二口、ごくりと飲んでからぷはっと先ほどの自分のように息をつく。
     
    「何だかシマカゼって似てるよな。これに」
    「……く」
    「あ、なんだよ!」

     笑いを堪えていたのが速攻でバレてしまったが致し方ない。シマカゼにビタミン性を見いだす奴が他に居るとは思わなかった。
     肩を震わせる俺に、シンはむっとした顔でペットボトルをつきかえしてきた。半分ほどに減った中身がちゃぽちゃぽと音を立てる。口を手の甲で抑えて笑いを噛み殺しながら、一人で考えていた時よりも大分気分が明るくなっていることに気づいた。
     キイロが力をくれたか?
     よし、決めた。きっと何を贈っても礼を言って笑うような奴なんだ。どうせなら、笑うより泣かせるようなことを全力で用意してやろう。

    「シン、手伝ってくれ」
    「当然だろ」

     俺が頼めば、打って響くような返事。
     二人して立ち上がると、休憩室向けて並んで歩き出す。どうせなら、後の二人も巻き込もう。

    「それで、何をするんだ?」

     わくわくを抑えきれないシンへ、悪戯な笑みを浮かべて見せた。

    「それはーーー」
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