お前は焼かれたことはあるか
愚かな人間として燃え上がる恋の炎に身を焦がされたことはあるのか。
妬かれてることに気づいてもいないだろう。
沢山の乗客を背中に乗せて、まっすぐに前へ先へと力強く走り続けるお前は。
次から次へと焚口戸へ投入される俺の黒い感情が真っ赤に燃やされて目がくらむ明るさになる。その下に溜まっていく灰に気づけないほど。
いずれ燃えかすだらけになった苦しみで身動きできなくなるだろうか。
加速する世界。
狭まる視界。
暴走する列車はただの恐怖で、その運転士である俺は立派な怪物だ。
武器を手に取ることを恐れないお前は、巨大な怪物を退治するために来てくれるだろうか。
それとも、そんな怪物をも飼いならして「トモダチ」になるとお前は豪語するだろうか。
トモダチ
なんて最高で、なんて残酷な響きだろう。
いずれスピードが上がりすぎた俺は脱線する。転倒する。転落する。周囲を燃やし尽くしてただの鉄の塊になる。
そのまえに、どうか
巨大化し続ける怪物を止めるために、その眼をこちらに向けてくれ