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    anosora_story

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    本気でお付き合いしていた彼女に振られた💎くんと、慰めてくれる先生。

    #仗露

    としうえの、悪い人 ごめん、他に好きな人ができちゃったんだ。

     そう言われて、仗助は一年付き合った恋人に振られた。年上の大学生で、ファーストキスも童貞も全て捧げた人である。すらりとした体型に短い髪がよく似合う美人だった。
     このままお付き合いして、社会人になったらプロポーズしよう。そんな青い誓いは、あっさりと砕かれたのである。
    「うう……」
     とめどなく涙が流れる。仗助はハンカチを目に押し付け、こみ上げてくる悲しみにひたすら耐えていた。
    「大学生だろ? 価値観が変わる時だからな、急に高校生が子どもに見えたりしたんじゃないか」
    「そっ……そうかも、しれねぇ……っスけどっ……」
     話すと声が震える。仗助は、岸辺露伴と彼の家のリビングで向かい合っていた。振られてぼんやりと歩いていたところに声をかけられ、泣き出してしまったところを保護されるように連れてこられた。人目もなく我慢する、仗助はひたすら泣いている。
    「そんなに好きだったのか」
    「ん……っ」
     際立った趣味を持たない仗助にとって、彼女は全てに近かった。もしかしたら、それが良くなかったのかもしれない。だが、何もかも後の祭りである。
    「まあ、辛い時は泣けるだけ泣いてりゃいいよ」
    「っく……」
     普段はすこぶる感じの悪い露伴が優しい。傷付いた心に、その優しさは染み入った。
    「ううっ……ぅあっ……」
     仗助が顔を覆うと、露伴は立ち上がり隣に腰掛ける。そして、肩を掴んで抱き寄せられた。
    「ろあんせんせ……」
    「ぼくが胸を貸してやるんだからな」
    「うううっ!」
     ぎゅうっと仗助は露伴に抱き着いた。小柄な露伴はすっぽりと仗助の腕に収まる。そのぬくもりに救われるような気がした。
    「っく……」
    「お前、たちの悪いのにひっかかりそうだなぁ」
     ぽんぽんと優しく背中を叩く露伴は、これまで聞いたことがないほど柔らかい声をしている。きゅうっと胸が締め付けられた。
    「こうやってさ、失恋したところに声を掛けてくるのなんて常套手段だぞ」
    「へ……?」
     恐る恐る体を離し、仗助は露伴の顔を覗き込んだ。すると、表情も柔らかい。
    「ぼくがなんの下心もなしで、お前をここに連れてきたと思ってんのか?」
     そう言って意地悪そうな表情を作った露伴に、仗助の胸が再び締め付けられる。
    「あ、あるん……スか」
     露伴は答えない。ただ、黙って仗助の顔を引き寄せて抱きしめた。
    「どうだろう」
     耳元で囁かれた言葉に、頭を殴られたような衝撃がある。優しさだけじゃない。妖艶な響きを感じ取ってしまい、体がカッと熱くなったのだ。
     どうしよう。振られたばかりなのに。あまりに軽率なんじゃないか。心臓がうるさい。涙はいつの間にか止まって、代わりに目の奥が熱くなった。
    「試してみる?」
     直接吹き込まれた声に、仗助は抗えなかった。
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