坂田銀時の杞憂どんな酷い扱いをしても、お前は俺を真っ直ぐに愛してくれる。それは本当に揺らぐことなく、俺だけに注がれる。
そんな贅沢に慣れすぎた戯言だとはわかっているが、
たまに怖くなる。
もしも俺じゃない奴が俺だったら、お前はそいつを愛して、俺じゃない俺には見向きもしないのか?と。
真選組副長・土方十四郎。
人に言わせると俺とこいつは似ているらしい。俺としては大変心外だ。あんなマヨラーで、瞳孔開いてて幽霊にビビリまくってるへタレと一緒にされるとは。
しかし実際、下手したらあいつがこの漫画の主役張ってたかもしれないっつーじゃねえか。初期設定どおりいってたら銀さんが土方だったかもしれないみたいな。作者も新選組が主役でもよかったかな~なんて今更思ったりしているとかなんとか。
(「初期設定」だ「作者」だリアルな話をするなって?ここはさらっと流しとけ!)
ともかくあの土方ってのは影の俺ともいえる存在、みたいだ。
だからますます気にくわねえ。
もしもあいつが俺だったらと思うと。
もしもヅラに愛されているのが俺じゃなくてあいつだったら。
俺は、どんなに頑張っても、アイツに振り向いてもらえないということだから。
どんなに似ていても、アイツが選んだのは土方の野郎じゃなくて俺だ。この俺、坂田銀時だ。
どんなにどんなに似ていても、今更アイツが土方を選ぶことはない。同時に手を差し出せばアイツは俺のほうの手をとって握り返すだろう。
だから怖いんだ。
選ばれない方は。
どんなに俺と同じ条件をもっていたとしても、俺じゃないからという理由で選ばれない。
それはもうどうしようもないことで、土方には気の毒だとしかいいようがない。
なぁ桂、お前は今更「似てるから」そんな理由で他になびいたりしないよな?
本物の俺だけを愛してくれ。これからも。
お前を抱きながら、俺は俺でよかったと、心底己に感謝する。
土方なんかに譲らない。主役の座も、桂も。
不穏な「たら」「れば」は詮無き妄想。
---------------
アイタタタ。
今連載してるのが坂田銀時の「銀魂」でよかったと安堵しています。ビバギンヅラ!
2008/2/2