ダークロが結成されてしばらく経ち、少しずつファンも増えていった。メンバー皆でお泊まりしながら曲を作り、路上ライブはどこがいいかなど話し合う事が日課になっていた。ダークロは少しずつ確実に成長していた。
そんな中、ラキアの演奏が少しずつ元気のないものになっていた。
きっかけはファンが放った一言だった。路上ライブ予定の場所に早めについたラキア。時間を潰そうと辺りを散歩していた時、ダークロのファンである2人組を見かけた。ライブに何回も来てくれる子たちだったので、顔を覚えていたのだ。もうすぐ始まるライブを待っているのだろうと思い、ラキアは2人に気づかれないように来た道を戻ろうとする。2人はダークロについて話しているようで、「ボーカルの声が可愛い」「音楽が好き」と褒め言葉が聞こえてきた。大事なメンバーが褒められていて、とても嬉しくなった。だが、「でもさ、ドラムの音ってちょっと合ってないよね」という発言にラキアの足が止まる。頭が真っ白になってそれ以降2人が何を話していたのか耳に入ってこなかった。しばらく立ち竦んでいると、「ラキアくん!」と自分を呼ぶ声が聞こえた。ハッと顔をあげると、つみきが手を振りながら笑顔でこちらに駆け寄ってきていた。慌てて笑顔をつくり、転びそうになったつみきを抱きとめる。そのままつみきに手を引かれてミツネともちゃろーと合流した。その日の路上ライブは無事終わり、次の練習日などの確認をした後に解散した。その日からラキアはファンが言ってた言葉と自分の楽器の腕についてずっと考えていた。
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