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    GogaTuAMe2336

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    GogaTuAMe2336

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    会話は後半、前半は生い立ちっぽいなにか
    拙い

    メインストーリーの冒頭これは、少女の後悔になる物語である。


    太陽が沈み、空が薄暗くなる。街灯がチカチカと点滅し、賑わっていた街も夜の静けさを取り戻す。先程まで沢山の音が鳴り響いていたライブハウスも明かりは消え、ドアノブにはCLOSEという文字がぶら下がる。そんなどこにでもある街中のライブハウスの前で少女は1人腰掛けていた。

    フードを被って長い前髪で片目を隠し、露出しているもう片方の目からは今にも涙が零れそうになっている。この少女は先程までこのライブハウスにいた。ステージに立ってライブに参加していたバンドマンの1人なのだ。では何故今ここに1人なのか。結論から言うと、この少女はライブを大失敗に導いた張本人なのである。ステージ上で緊張のあまり頭が真っ白になり、歌詞も譜面も何もかも忘れてしまったのだ。当然観客からは大ブーイング。大失敗のライブの後、バンドメンバーもこれ以上の失敗は許容できないと言い残し離れていってしまった。ライブの失敗は今回が初めてでは無い。むしろ次こそはと励まし、期待し、チャンスをくれたバンドメンバー。そんな迷惑ばかりかけてきたバンドメンバーからのクビ宣告を少女は受け入れざるを得なかった。

    クビになったのはバンドだけではない。このライブハウスから少し歩いたところにある小さな個人経営のスタジオ。少女はそこでアルバイトとして雇ってもらっていた。

    開店と同時に来店し、閉店と同時にスタジオから出る生活をしていた時、オーナーに声をかけられたのだ。明らかに未成年の少女がずっと1人で長時間歌い帰っていく。話を聞けば事情があり、帰る家も行く宛ても頼れる保護者もいないと言う。人の良いオーナーは放っておくことも出来ず、アルバイトという形でスタジオに寝泊まりさせていたのである。そのスタジオアルバイトもつい先日クビにされたのだ。心当たりとしては仕事が出来ない。その1つに尽きる。掃除をしようならバケツをひっくり返す、機材を落としかける、重いものが持てないetc.....。できることがほとんどないのである。それでも小さな体で健気に頑張る少女の姿につい世話を焼いてしまい、今の今まで強く言えなかったオーナー。少女が練習中、スタジオにやってきたバンドマン達にスカウトされたのを機にもう雇うことが難しいことをやんわりと伝えた。少女も自分が役に立ててないことは十二分にわかっていたし、こんな自分に優しくしてくれた事を嬉しく、同時に申し訳なく思っていた。了承すると同時に深々と土下座一歩手前の謝罪をしスタジオを後にした。

    その結果、現在の少女は帰る場所も行く宛てもなくなったため、身1つギター1本で座り込む他ないのだ。

    太陽が沈み、暗くなった空の星は一つ一つきらびやかに輝いており、少女の心境とはまるで真逆の明るさを放っていた。

    今でこそ帰る場所のない少女だが、数ヶ月前まで世間一般と変わらない家に住んでいた。少女は幼少期に両親を不慮の事故で亡くし、現在の養父母に引き取られた。その家を数ヶ月前に飛び出してきたのだ。

    少女には少し歳の離れた兄がいた。養父母の実子で書類上兄に当たる少年である。言葉が少し足りない所があるものの、突如として現れた妹と仲良くなるため本人なりに歩み寄ろうとしていた。兄の努力もあり、兄妹仲はかなり良好であった。2人とも音楽が好きで一緒に演奏したり、曲を作ったりなどいつも一緒に過ごしていた。いつか大好きな兄と一緒にステージに立ちたい、一緒に演奏したい。それが少女の夢だった。その夢は良好だった兄妹仲に亀裂が入ったことにより、現実になること無く砕け散ってしまうのだった。

    それからとある一件で少女は自ら兄の元を去ってしまったのだ。

    「…帰りたい……」

    喉から絞り出したような小さな独り言はどこに届くことも無く風にかき消された。
    少女が呟いた『帰りたい』とは、両親と過ごしたあの頃の家なのか、それとも兄と一緒に音楽を奏でたあの家なのか。それは少女にすらわからないのかもしれない。

    しばらく膝を抱え小さくなっていたがそろそろ立ち上がらなければと思い、重い腰をあげようとしたところだった。

    「お嬢さんお嬢さん。こんな所でどぉしたの?よかったらメリーと遊ばない?」

    顔を上げると、そこには袖の長い黒色の服を身にまとい、黄色と緑のふんわりした髪をなびかせた翠眼の少女がいた。頭に羽のような髪飾りをつけ、やわらかい雰囲気とどこかミステリアスな空気を漂わせた翠眼の少女は大きな目を細めてニッコリと笑った。

    「お嬢さん、ずっとそこに座ってるの?寒くなぁい?」

    いきなり話しかけられ、困惑している少女をよそに、突然現れた少女は話を続ける。

    「こんなところにいると風邪ひいちゃうよ?風邪ひいちゃう前にメリーとお茶でもしなぁい?いいお店知ってるんだよねぇ」

    背格好に似合わないナンパ師のような発言。少女と目線を合わせ、長い袖をゆらゆらと揺らす。大きな丸い目には少女の驚いた顔がはっきりと映っていた。

    「てかねぇ…聞いてよぉお嬢さぁん。ドレちゃんったらねぇボーカル3人で回すって言ったのに舌ピ開けちゃったんだよねぇ。上手く歌えなくなったからボーカルはできなくなっちゃったし、セリちゃんは指見ちゃうからボーカル向いてないしぃ…メリーはドラムスティックでマイク殴っちゃうからさぁ」

    自身をメリーと呼ぶ少女はナンパしたいわけではなく話し相手が欲しいのか、ペラペラと1人流暢に話し始める。早口で話を続ける姿に、少女はぽかんと口を開けて見ている事しかできなかった。ひとしきり喋った後、ハッとした顔をし再度少女に問いかける

    「ごめんねぇメリーばっか喋っちゃったねぇ。メリーはコットンコンドル族のメリコ。お嬢さんは?」
    「ぁ…えぇっと……クロツグミ族の…つみき…です…」
    「クロツグミ?あ、それって歌が上手い種族?」

    確かにクロツグミ族は歌声が美しいとされる。その種族で世界的に活躍している歌手もいる程だ。同じ種族である少女の母親もすこぶる美しい歌声をしていた。でもそれは少女ではない別のクロツグミ族の話。

    「ぁ…ぇ…っと……」

    すぐに否定できなかった。違うと言うと母が歌ってくれた子守唄までも否定する気分だったのだ。母の美しい歌声を今でも覚えている。強ばった表情で自身の両手を強く握る。数秒の沈黙の末、こくりと小さく頷くとメリコの表情がパッと明るくなった。

    「ってことはさぁ!ボーカルできる!?もしかしなくてもバンドはしてたんだよねぇ?ギターケース持ってるって事はギターもできるんだよねぇ!ボーカルできたりはしない!?ギターボーカルだったりしなぁい!?」

    先程までののんびりゆったりとした話し方とは打って変わり、前のめりになりながら喋り出すメリコ。

    「え、え…えっと…ぎ、ギター…ボーカル…して、て…その…ば、バンド…クビ、に…なっちゃ…って……」

    その勢いに気圧され、喋りながら段々と小さくなる声。それと反比例するかのようにメリコの声は弾んでいた。

    「ホント!?タイミング良い!!ならさならさ!ウチのバンドのボーカルしてくれない!?ボーカル居なくて困ってるの!!」
    「え、えぇっと…その…」
    「行くところもバンド所属もしてないならウチにおいでよぉ!ぜひにおいで!」
    「わ、私…なんか…で…よ、良けれ…ば……?」

    承諾した瞬間メリコのまん丸な目がさらに丸く大きくなり、顔一面に満悦らしい笑みが浮かぶ。大変嬉しそうなメリコは袖の長い服で少女の右手を握りブンブンと振り回す。

    「ありがとぉー!ドレちゃんにボーカルどうにかしろって言われててさぁ!嬉しー!!さっそく行こ!いこいこぉ!」

    有無を言わさず少女の、つみきの手を握り走り出すメリコ。その手は裾越しでも分かるほど温かかった。

    「つみきちゃん、だからツミちゃんね!メリーのことはメリーって呼んでほしいなぁ」
    「め、メリー…さん…?」
    「ちゃんで」
    「メリー…ちゃん…さん……?」
    「あー、慣れたらでいっかぁ」

    どうしたらいいかわからないという顔をしているつみきを見て、先程とは違った年相応な少女のような微笑みを浮かべるメリコ。その表情を見てほんの少しだけ安堵するつみき。自分の手を掴んでくれた温かい手。つみきは繋いだ手を離さないよう、力を入れて握り返した。

    暗くなった夜空。そこには先程と変わらない輝きを放つ星々と煌々と照る月があった。それは2人の少女の行く末を明るく照らしている様に思える光だった。


    ここから、少女たちの後悔が始まるのだ。
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    GogaTuAMe2336

    MOURNING会話は後半、前半は生い立ちっぽいなにか
    拙い
    メインストーリーの冒頭これは、少女の後悔になる物語である。


    太陽が沈み、空が薄暗くなる。街灯がチカチカと点滅し、賑わっていた街も夜の静けさを取り戻す。先程まで沢山の音が鳴り響いていたライブハウスも明かりは消え、ドアノブにはCLOSEという文字がぶら下がる。そんなどこにでもある街中のライブハウスの前で少女は1人腰掛けていた。

    フードを被って長い前髪で片目を隠し、露出しているもう片方の目からは今にも涙が零れそうになっている。この少女は先程までこのライブハウスにいた。ステージに立ってライブに参加していたバンドマンの1人なのだ。では何故今ここに1人なのか。結論から言うと、この少女はライブを大失敗に導いた張本人なのである。ステージ上で緊張のあまり頭が真っ白になり、歌詞も譜面も何もかも忘れてしまったのだ。当然観客からは大ブーイング。大失敗のライブの後、バンドメンバーもこれ以上の失敗は許容できないと言い残し離れていってしまった。ライブの失敗は今回が初めてでは無い。むしろ次こそはと励まし、期待し、チャンスをくれたバンドメンバー。そんな迷惑ばかりかけてきたバンドメンバーからのクビ宣告を少女は受け入れざるを得なかった。
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