流れ星は過ぎ去った「あ、」
目の前の影に、レイジロウの足が思わず固まる。僅かに怯えたその瞳に映るのは、偶然通りがかったであろうラッキーだった。硬直したレイジロウを冷たい目が見下ろしている。そこに以前のような暖かさがないことは理解していたが、改めて目の辺りにすると、どうしようもなく寂しくなる。どうにか絞り出した声はかすれていて、眼の前の彼は僅かに眉を歪める。返事が返ってくることもなく、広い廊下が静寂に包まれた。じっと見つめるラッキーの視線に気圧されながらも、もう一度口を開く。
「ラッキー、あの、」
「残念だけど」
弱々しく切り出した言葉が遮られる。温度のないその響きに思わずびくりと肩を震わせた。
「ぼくは優しいだけのあれとは違う。君に優しくしたりなんかしない。だから、いつまでもつきまとうのはやめてくれる?」
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