Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    遊城 遊梨

    いろいろなぐり書き

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🌱 💚 🌵 🌟
    POIPOI 8

    遊城 遊梨

    ☆quiet follow

    カヴェアルWebオンリー開催記念文

    #原神
    genshin
    #カヴェアル
    Kavetham
    #現パロ
    parodyingTheReality

    それは1冊の本からその本屋は近代都市スメールの裏通りにあった。不思議な雰囲気の女性が店主の小さな本屋。その本屋で2人の青年が運命の出会いを果たす。

    これはそんな2人物語・・・・


    *****


    「・・・こんなところに本屋?」

    スメールの大学に通う青年、アルハイゼンは親友がバイトをしている喫茶店に向かう途中、たまたま近道しようと通った裏通りで見慣れない本屋を見つけた。たまに通る道だが本屋なんてあっただろうか?、と考えたが、本についてわからなければアルハイゼンに聞け、と言われるほど本が好きな彼の好奇心がくすぐられた。

    「新しい本を買って持っていくのも悪くないか」

    ちりーん

    ドアを開けるとベルの音が鳴る。紙の本特有の匂いが鼻腔をくすぐる。アルハイゼンはこの瞬間が好きだった。最近は電子書籍が流行っているがアルハイゼンはあまり好まず紙媒体を好む。紙の匂い、手触り、重さ・・・それら全てを彼は好きなのだ。

    「いらっしゃい、ゆっくり見ていってちょうだい」

    カウンターから鈴のような声が聞こえた。少女がにこっと笑いながらアルハイゼンを見ている。軽く会釈をして店内を見て回る。最新の本だけでなくよく見ると廃版になったものもある。アルハイゼンが探していた本も。
    思わずバッグから財布を取り出し手持ちを確認する。何冊か買えそうだったので厳選して買うことにした。

    「いらっしゃいませ。君も本が好きなのかい?」

    じっ・・・と買う本を選んでいると金糸とルビーのような眼をした青年に声をかけられた。挨拶と緑のエプロンをしているところを見ると、この本屋の店員なのだろう。人当たりの良さそうな笑顔でアルハイゼンを見ている。

    「ああ。君は?」
    「僕はカーヴェ。この本屋でバイトをしているんだ。店主・・・ああ、カウンターの女性のナヒーダさんにお世話になっていてね」
    「・・・そうか」

    よく喋る男だな、というのがアルハイゼンのカーヴェに対する第一印象だった。あとは、綺麗な眼をしていて引き込まれそうになる。

    「ああ!その本面白いよ。近代の語学学術の変容が書かれていてね。僕がいちばん面白いと思った箇所は・・・」
    「あらあら、カーヴェ。ネタばらししてしまったら面白く無くなってよ」
    「あっ・・・すみません、つい・・・」
    「そんなに面白いのなら読んでみよう」
    「あ、ありがとうございます!」

    言語学はアルハイゼンが大学で専攻している分野であったのと、カーヴェが熱心に話すものだから興味を惹かれた。あとは現代文学と廃版になった古典文学を買うことにしカウンターへ持って行った。

    「あら、3冊もお買い上げしてくれるのね」
    「絶版になったものと元々購入予定だったものだったからな・・・あとは彼が熱心に話すものだから・・・」
    「ふふ、カーヴェの熱心さが伝わったのかしら?3冊で2000円で良いわ」
    「定価よりだいぶ安いが」
    「わたくしの好意と思ってもらっていいわ。その代わりと言ってはなんだけど、また来てちょうだい。わたくしもカーヴェも歓迎するわ」
    「・・・わかった。また来よう」

    買った本を受け取り店を出ようとすると、カーヴェと目があった。にこっと笑う彼の姿にアルハイゼンの胸が何故かドキッとなった。


    *****


    「あら、また来てくれたのね」
    「ああ。貴女と約束したからな・・・」
    「ふふ、ゆっくりしていってちょうだい・・・そうだわ、あなたはコーヒーは好きかしら?」
    「ああ」
    「ちょうどよかった。カーヴェ、コーヒーをもう1つ淹れてくれないかしら」
    「わかりましたー・・・って、君、また来てくれたのかい?」

    カウンターの裏からひょこっとカーヴェが顔を出した。ふわりとコーヒーのいい匂いがする。

    「迷惑ではないだろうか?貴女たちの休憩時間なんだろう?」
    「いいのよ。それにみんなで飲んだ方が美味しいわ」

    美味しい頂き物のお菓子もあるの、とナヒーダは笑っている。その笑顔に負けて来るのがわかっていたかの様に用意された椅子にアルハイゼンは座った。

    「お待たせ。今日のコーヒーはモカだよ」
    「ありがとう」
    「アルハイゼン、このお菓子もどうぞ。コーヒーによく合うクッキーなの」
    「・・・いただこう」

    好意を無下にしてはいけませんよ、可愛い孫アルハイゼン。

    何故か祖母の声が聴こえた(気がした)ので、クッキーもいただいた。
    ふと、視線を感じたのでその方向を見るとカーヴェがにこにこ笑ってアルハイゼンを見ていた。

    「何か、俺の顔についているだろうか」
    「ああ、いや、ナヒーダさんが他人にここまで許すの、珍しいなぁ・・・って。あと、君の瞳が綺麗で。なんだろう、エメラルドとトパーズ・・・を思わせるような虹彩。光の加減で少し色味が変わって、うん、とにかく綺麗だなって」
    「随分ロマンチストだな」
    「そうかな?思ったことをそのまま言っただけなんだけど」
    「ふふ」

    アルハイゼンとカーヴェのやりとりと見ていたナヒーダはそれを見て笑っていた。

    「あ、そうだわ。アルハイゼン、あなたの知り合いに空きアパートの情報を持ってる人はいないかしら?」
    「空きアパート?」
    「カーヴェはわたくしとルームシェアしているのだけれども、わたくしの親戚が一緒に住むことになって・・・申し訳ないけどカーヴェに引っ越しをお願いしているの」
    「バイト先からあまり離れていない所を希望しているんだけど、なかなか見つからなくて。君の知り合いにアパートの情報を知ってそうな人いないかな〜って・・・」

    カーヴェは頬を掻きながら申し訳なさそうにアルハイゼンを見た。アルハイゼンの知り合いにアテはないがすぐに提案できるものはあった。

    「それなら俺とルームシェアはどうだ」
    「君と・・・ルームシェア・・・?」
    「知り合って間もないが君は害がなさそうだし、ナヒーダさんに良くしてもらった礼もある。ちょうど近辺に住んでいて1部屋空いてるし、君さえ良ければだが」
    「願ってもない提案だよ!お世話になるよ、アルハイゼン!」


    *****


    カーヴェがアルハイゼンの部屋に引っ越してくる当日。
    アルハイゼンのスマホには10時頃到着予定、とメッセージが入っていた。現在の時刻は9:50。空き部屋の掃除は昨日済ませたから後は待つだけなので、コーヒーでも淹れようとメーカーを稼働させた。コーヒーのドリップが終わった頃チャイムが鳴りモニターを確認するとカーヴェがドア向こうにいた。

    「こんにちは、アルハイゼン。今日からよろしくね」
    「ああ・・・入ってくれ」

    カーヴェをリビングに案内したが、荷物はスーツケースとボストンバッグが1つずつ。そういえば引っ越し業者のことを聞かなかったな、とアルハイゼンは思い出した。

    「業者はいつ来る?」
    「業者・・・?ああ、ごめん。荷物はこれだけなんだ」
    「は?」

    カーヴェに詳しく話を聞くと、幼い頃に父は事故で亡くなり、母は事故がきっかけで障がいを負ってしまったという。障がいを抱えてカーヴェを育てられない不幸にしてしまうのでは?、と考えた母は知り合いの孤児院に彼を預けたのだそう。数年後その母も亡くなり天涯孤独の身になった。中学を卒業する頃ナヒーダに引き取られ一緒に暮らしていた、と言うのがカーヴェの生い立ちだ。

    「僕が引っ越した後、彼女の親戚が一緒に住むって言うし、元々家具は全てナヒーダさんの物だったから置いてきたんだ。新生活には色々入用でしょう?、ってお金は持たせてもらっちゃったけど」
    「ふむ・・・なら荷物を置いたら急ぎのものを買いに行こう。この辺を散策するのにもちょうどいい」
    「ありがとう、助かるよ」
    「いや、構わない・・・ああ、それと、これからよろしく頼む」


    .





    *あとがき*
    (活かしきれてない)書店員カーヴェ × 大学生アルハイゼン でした。
    中途半端感MAXですが、続編はゆっくり書いていこうと思います。

    この度はカヴェアルWebオンリー開催、おめでとうございます!!!


    .
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖💖💖☺☺☺☺☺💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works