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    アメチャヌ

    ガムリチャか捏造家族かガムリチャ前提の何か。
    たまに外伝じじちち(バ祖父×若父上)

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    アメチャヌ

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    現パロ捏造家族
    リチャと小さいリチャといちごの日

    上の子は半身に、下の子はリチャードに似ていると、兄弟や知人は口々に言う。
    上の子は確かに半身によく似ている。少しつり気味の意思の強い瞳も、短く整えた黒い髪も。生意気な口ぶりで何かと理由をつけてちょろちょろとリチャードのあとを着いてきた頃の半身にそっくりだ。覚えがあるのか、リチャードが息子を見て時折そう口にすると、半身は決まって罰が悪そうな顔をする。
    下の子は、どうなのだろう。自分がこどものころどうだったかなど覚えていない。
    「リチャードの幼い頃のようだな! だがリチャードよりよく笑う。将来はモテるぞ」
    「リチャードの幼い頃よりかくれんぼもチェスも苦手みたいだな。……え? まだ小さいのだからチェスは下手で当然? まあそう言うな……時を経て兄の威厳を保てた気分なんだよ……」
    「出逢った頃のリチャードは少し怖かったけど、とても優しかったわ。小さなリチャードもすごく優しい子だもの、リチャードのように素敵な大人になるわね。……あっ、ち、違うのよ!? 怖かったっていうのは、私が失礼なことを言ったからで!」
    兄たちも友人も、似ているが似てないという。
    「そうでなければおかしいだろう。複製じゃないんだ、あんたはあんただし、小さなリチャードは小さなリチャードだ。だが……そうだな、あんたも小さなリチャードも好きなものはよく似ているんじゃないか」


    ***


    冷蔵庫の中で一際きらめく赤い果物を眺めながら、ふと半身の言葉を思い出す。
    好きなものはよく似ている。
    確かにそうだ。
    扉を開いたままで足元にいる小さな我が子に視線を落とすと、自分とは違う揃った色の瞳がじっと見つめ返してきた。ぴったりとくっついているせいでほぼ真上を見あげている。そんなに首を傾けて転がりはしないかと不安が過った瞬間、やはり頭が重かったようで、ふらつく我が子を慌てて支えた。
    脚にしがみつく子の丸い頭に手を添えて、透明なパックに入った苺を取り出す。リチャードが手にした物に、子の瞳の輝きが増した。
    (わかりやすいな……)
    すきなものはよく似ている。確かにそうだ。リチャードは苺が好きだし、リチャードによく似た小さな子も苺が好きだ。おそらく、子の短い人生の中で一番の、何にも勝る至高の食べ物なのだろう。赤い果実を目にしただけで幸せそうな顔になる。
    (まさか俺もこんな顔をしているのか……?)
    行儀悪く肘で冷蔵庫の扉を閉めながらふと気がついて軽い衝撃に襲われるが、小さく頭を振って打ち消し、調理台へと場所を移る。
    いくら好物を前にしたからといって、子どもと同じような顔などするはずがない。していないと信じたい。
    だが、さして親しくもない人物から「確か苺がお好きでしたな」と問われたことがある。リチャード自ら好物を言って回るようなことはしない。何処からか伝わるとすれば身内だが、その人物は兄達とも交流はなかったはずだ。ならばやはりリチャードの行動から知れたとしか考えられない。
    重くため息を吐くリチャードをよそに、小さな子はキッチンの隅から踏み台を引きずってくると調理台にぴたりとくっつけて置き、慎重に段差を登った。リチャードが置いた苺のパックはこどもの手でも伸ばせば届く距離にあるにもかかわらず、小さな子は触れようともせずにただうっとりと赤い実を見つめている。
    (ここまで露骨ではない……と思いたいが……)
    台に乗ったことで近付いた子の顔を見つつパックの蓋を開けると、シンクロしているかのように子の口もぱかっと開いた。

    ザルにあけた苺をサッと洗い、水気をふいてヘタを取る。
    「できるか?」
    「できる!」
    服の袖を捲り、抱き上げて、手を洗わせてから苺を渡す。小さな手で大事そうに持ち、頬を果実と同じ色に染めて緑の葉をつまむ。引っ張ってヘタを取るとリチャードが用意した耐熱性のガラスの器に移して満足気に笑い、またヘタがついたままの苺を手にしては頬を染めて唇をきゅっと結び(おそらく涎を堪え)、赤い果実の頭についた飾りを取って器に移していく。
    単純な作業をここまで幸せそうにおこなう我が子に奇妙なものを見るような感覚を抱いてしまう。だが半身が今のこの子の姿を目にしたら相好を崩すだろう。
    動画でも撮影しておいてやるべきか。
    ペティナイフでヘタがついていた硬い部分を切りながら考えていると、小さな子が顔を上げてリチャードに満面の笑みを向けた。
    「……楽しいか?」
    「たのしいぃ。ははうえー」
    「なんだ」
    呼ばれて差し出された苺に受け取れということかと手を出してみるが、小さい子はリチャードのてのひらに果実を渡すことはなく笑顔のまま少し恥ずかしそうに首を傾げた。
    「おいしそうなの、きれい。ははうえとおんなじ」
    「そう……か……」
    美味しそうで綺麗で同じとはどういうことだ。
    鈍い反応を気にすることなく、子は「どうぞ」と丁寧な口調でリチャードのてのひらに苺を置くと何事もなかったかのようにまたヘタ取りの作業へと戻った。

    ヘタを取った苺に砂糖を振りかける。スプーン二杯分。少し迷って、もうスプーン半分追加する。
    「ゆきみたい」
    「そうだな。危ないから、踏み台の上で跳ねるのはやめなさい」
    「はねる?」
    「ぴょんぴょんしては駄目だ」
    「はい」
    調理台に手をついて飛び跳ねる子に注意する。すぐに言うことを聞いて動きを止め、はしゃぐ代わりに白く染った果実をじっと見つめだした。
    静かな隙にペティナイフとザルを片付けて、冷蔵庫からコンデンスミルクのチューブを取り出す。分けておいた小皿の苺にたっぷり回しかけ、子の名を呼んだ。
    「リチャード」
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