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    アメチャヌ

    ガムリチャか捏造家族かガムリチャ前提の何か。
    たまに外伝じじちち(バ祖父×若父上)

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    アメチャヌ

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    虎の大人リチャと兎のショタバ謎パロ。
    寅年リチャ様のイラストえっちだったなぁと思い出も込めて。

    2022→2023 茶褐色の逞しい腕に抱き込まれ、分厚くザラついた舌で全身をくまなく毛繕いされる。
     背中、頭、顔、彼よりも長い耳、耳と耳の間。
     戯れ程度ならば愛情を示されているのだと心地よくもなるが、毛が濡れるほどに舐められるのは少し困る。
     バッキンガムは身を捩り、自身を覆う腕から逃れると、二三後ろ足で地を蹴って跳ね、彼から距離を置いた。前足で顔と耳を撫でつけ、体を震わせる。背中を丸めて手足を伸ばすと、黒い毛を纏った獣の四肢は、徐々に形を変えていく。バッキンガムは人に転じることのできる獣だった。
    「あやすような毛繕いはやめてくれ。あんたより小型だが、これでも成体なんだ」
     すっかり人の身に変化したことを確認すると、バッキンガムは振り向いて、ゆったりと伏せる彼に不満をこぼした。
     草を食して生きる小さな兎のバッキンガムとは違い、彼は大きな体で獲物を狩り、肉を喰らう。丸い耳と長い尾と黒い縞柄を持ち、何もかもがバッキンガムとは違った。
     彼は鋭い牙を見せて欠伸をすると、おもむろに身を起こした。
     バッキンガムのいる前方に前脚を揃えて出し、頭を低くして尻を高く上げ、ぐっと背を反り伸ばす。体勢を戻したときには人の体に変わっていた。
    「それのどこが成体だというんだ。まだガキのくせに、生意気をいうな。ほら、もう少し繕わせろ」
     左目を隠すほどに長い前髪を指で払うと、彼は虎であったときよりも細くしなやかな体躯をバッキンガムの傍に寄せた。
     大人の兎だと口にはしたが、彼とは頭一つ以上も差がある。深く濃い金色に見下ろされ、悔しく思いながらも目をそらさずじっと見つめていると、彼は腰をかがめ、両手でバッキンガムの頬を掬い、額に唇を当てた。
     こめかみや耳、横の髪に唇を当て、ときおり食み、鼻先に、頬に顔を擦り付ける。不満は相変わらず腹の中にあるが、地鳴りのような重低音が聞こえてくるせいで毛繕いを止めることが出来ない。
    「リチャード、もういいだろう……許してくれ」
    「まだだ。バッキンガム、次はお前の番なんだぞ。わかっているだろう?」
    「もちろん、十分承知している」
    「なら、それに相応しく整えさせろ」
    「この上ない仕上がりだと思うが? これでも足りないというのなら、あんたのその色をくれ」
    「色?」
    「そうだ。あんたと同じ、あんたのこれがほしい」
     滑らかな肌に手のひらで触れ、長い睫毛が彩る縁を指の腹でなぞると、リチャードは溶けそうな笑みを浮かべた。
     うっすらと色づいたかんばせが近づいてきて、目を閉じる。ふっと瞼に優しい吐息が触れる。
     目を開けると、リチャードの黄金色だった右の瞳は、白く輝く月の色になっていた。代わりに、月に映るバッキンガムの瞳は黄金色を宿している。
    「お前は俺の半身だ」
     兎が虎の半身などおかしな話だが、ここにはそれを笑う者はいない。
    機嫌よく毛繕いを再開させたリチャードは、繰り返すように「俺の半身……」と呟いた。
     ごろごろと唸る音に掻き消されそうなほど小さな声は、短くなったバッキンガムの耳をいつまでも甘くしびれさせた。
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