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    雨宮未栞

    @AEAIAI

    描きかけのアナログ絵や書きかけ(投げ出し)の小説を軽率に投げ入れてます。出来上がったらpixivに上げる……かも
    あとはpixivに上げる度胸のないすけべとか……

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    雨宮未栞

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    しょうもない魔道祖師小話が浮かんでしまったので
    イメージ的にはきゅうり見て跳ねる猫みたいな……w

    天敵「わんっ」

     夜狩に向かう途中。世間一般では可愛らしいと称される鳴き声が聞こえた瞬間、少年達はやや後方にいるはずの引率者を振り返った。

    「! 魏せんぱ……あれ?」

     しかし、つい先程まで露店を冷やかしていた黒衣の男の姿はなく、まるで初めからそこには誰もいなかったかのように掻き消えていた。
     いつもなら情けない叫び声を上げて近くの誰かに飛びついているのに、と少年達は犬が近くにいないことを確認しつつ周囲を見渡す。

    「あっ! いた!」

     地面に落ちた不自然な影に気付いた一人の門弟が空を指さした。その先には、辛うじて風にはためく黒衣が見える程度の距離に人影が浮かんでいた。

    「えっ、一瞬であんな高さまで?」
    「まったく気付かなかった……」

     あまりの早業に少年達が驚きに目を見開いて見上げる中、藍思追が口元に片手を添えてやや大きな声で呼びかける。

    「魏先輩! もう大丈夫ですよ」

     すると、瞬く間に高度を下げた魏無羨が、微かな着地音と共に藍思追の隣に降り立った。随便も滑らかに腰の鞘に収まる。

    「よし行くぞお子様達」
    「……よくあの流れで何事もなかったかのように振る舞えますね。というか、さっきのどうやったんですか?」

     平然と歩き出した魏無羨に、藍景儀が呆れに妙な感心を含んだ質問をする。対する魏無羨はそっと鳥肌の立った腕を撫でた。

    「人間、追い詰められると大抵のことはできるんだよ」
    「すごいような、そうでもないような……」
    「景儀もどうだ? お前の場合、御剣が早くなるか度胸が付くか」

     いつの間にか魏無羨の手には陳情があり、何をするつもりかは一目瞭然だ。藍景儀はぶるぶると首を振る。

    「遠慮しておきますっ! もっと穏便に鍛えたいです……」
    「時には荒療治も必要だと思わないか?」
    「魏先輩も一緒に荒療治、どうですか?」
    「うん、急ぐことはないよな」

     にやにやとした笑みを引っ込めて、魏無羨は主張を翻した。
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    recommended works

    sgm

    DONE曦澄ワンドロお題「秘密」
    Twitter投稿していたものから誤字と句点修正版。
    内容は同じです。
     冷泉へ向かう道の途中に注意しないと見逃してしまうような細い道があることに、ある日江澄は気が付いた。
     魏無羨が金子軒を殴って雲夢に戻りひと月ほどたった頃だったろうか。
     魏無羨が帰ってからというもの、江澄は一人で行動することが多くなった。
     時折は聶懐桑と一緒に行動することもあるが、半分かそれ以上は一人だった。
     藍氏の内弟子以外は立ち入りを禁止されているところも多くあるが、蓮花塢と違って、この雲深不知処は一人で静かに過ごせる場所に事欠かない。誰も来ない、自分だけの場所。かつ、仮に藍氏の内弟子に見つかったとしても咎められないような場所。そうして見つけたのが、この細い道を進んだ先にある場所だった。おそらく冷泉に合流するだろう湧き水が小川とも呼べないような小さな水の道筋を作り、その水を飲もうと兎や鳥がやってくる。チロチロと流れる水音は雲夢の荷花池を思い出させた。腰を掛けるのにちょうど良い岩があり、そこに座って少しの間ぼんやりとするのが気に入っていた。ともすれば、父のこと、母のこと、魏無羨のこと、五大世家の次期宗主、公子としては凡庸である己のことを考えてしまい、唇を噛み締めたくなることが多 3083

    sgm

    DONE曦澄ワンドロお題「看病」
    Twitterにあげていた微修正版。
    内容に変わりません。
     手足が泥に埋まってしまったかのように身体が重く、意識が朦朧としている中、ひやりとした感覚が額に当てられる。藍曦臣はゆっくりと重い瞼を開いた。目の奥は熱く、視界が酷くぼやけ、思考が停滞する。体調を崩し、熱を出すなどいつぶりだろうか。金丹を錬成してからは体調を崩すことなどなかった。それ故にか十数年ぶりに出た熱に酷く体力と気力を奪われ、立つこともできずに床について早三日になる。
    「起こしたか?」
     いるはずのない相手の声が耳に届き、藍曦臣は身体を起こそうとした。だが、身体を起こすことが出来ず、顔だけを小さく動かした。藍曦臣の横たわる牀榻に江澄が腰掛け、藍曦臣の額に手を当てている。
    「阿、澄……?」
     なぜここにいるのだろうか。藍家宗主が体調を崩しているなど、吹聴する門弟はいないはずで、他家の宗主が雲深不知処に来る約束などもなかったはずだ。仮にあったとしても不在として叔父や弟が対応するはずだ。当然江澄が訪れる約束もない。
    「たまたま昨夜この近くで夜狩があってな。せっかくだから寄ったんだ。そしたら貴方が熱を出しているというから」
     目を細め、伸びて来た江澄の指が額に置かれた布に触れる。藍曦臣の 1972