真夏の雪時雨〜氷室〜 ボツ案「とにかく、今更だって言ってるの! 私はずっと……その、……だったし……」
「……はは~ん」
私の様子を見てニヤリと笑うカイト。
「なんだお前、照れてんのか? 照れてんだな?」
「ち、ちがっ……」
「俺は耳はいい方だがな、今のは全く聞こえなかった。もう一度言ってくれるか」
「~~~~っ!!」
いつものように殴ってごまかそうとするが、いとも簡単にいなされ、受け止められる。そのまま引き寄せられ、胸の中へ一直線に飛び込む形になってしまった。
「ほら、こうすれば顔は見えねぇぞ」
「……うう……」
観念して脱力する。いつもは当たるのに、余裕がないとこのザマだ。剣を持ってくれば良かった。