いつか見た夢「……ふう」
バレンタイン当日。抱えきれなくなったチョコを宿舎の部屋に持ち帰り、空いていた収納ケースに入れて整え、ソファに寝転がった。今年も食べ切るのが大変そうだ。
カリンにバレン谷に呼ばれたものの、あの阿鼻叫喚の地獄絵図に巻き込まれるのはごめんだと断り、ギュリアムに残った。だというのに、結果は似たようなものだった。一体どこから嗅ぎつけるのか、女たちはどこからともなく現れて大量のチョコを渡してくる――もとい、襲ってくる。その波の中に双眼鏡やら地図やらが見え隠れするので、複数人で結託して俺を探し出している者もいるようだ。クローナイツのファンも国民も大事ではあるのだが、ここまで来ると、自分でも本業が何なのかわからなくなってしまう。まったく、恐ろしいイベントだ。
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