炭善小説1そっと重なる唇
炭治郎は何度も啄ばむ様に角度を変え、そして深く口付ける
善逸もそれを受け取り、心地良く感じていた
「ぅん‥」
いつもならここで一息ついて終わる、はずなのだが
肩に置かれた炭治郎の手が重くのし掛かり、善逸の身体を後ろに倒す
「炭治郎‥？」
見上げると今まで見た事も無い炭治郎の恋焦がれた、熱い眼差し‥善逸の身体はそれを捉えて金縛りにでもあったかの様に強張る
跳ね上がる心臓
「善逸‥」
炭治郎は善逸の首筋に口付けた
善逸の口ははくはくとなり、酸素不足にでも陥ったかの様だ
「好きだ、善逸‥好きだ‥」
左手は善逸の頬を撫で唇を首筋に押しつける
炭治郎は何度も善逸の名前を呼び、何度も口付ける
何が起こっているのか酸欠状態の頭で考える
え、これって‥これって‥その‥
「善逸が欲しい　もっと‥」
飛び跳ねる心臓の鼓動
「‥‥嫌いになったか‥‥？」
炭治郎の顔がみたい　首筋に掛かる吐息が熱くて
炭治郎　今、どんな顔してるの‥？
顔を小さく　でも、何度も横に降る
嫌いになんかなる訳ないじゃないか
だって、　だって　俺だってーー
「そんな事ないよ、だって俺も‥」
言いながら善逸は炭治郎の身体をそっと抱きしめて
「‥炭治郎とシたいって‥ぉもって、たし‥」
自分の顔が熱くなるのを感じる
俺、今絶対に見せられない顔してる‥っ
恥ずかしくて堪らない
だけど
だけど
炭治郎にずっと言いたかった事

「しよ‥？炭治郎‥」

「ぜ‥いつ‥っ」

俺の首筋から顔を少し上げて炭治郎は俺の顔を見てる
恥ずかしいーーっっ！！
見られたくなくて顔を反対側に背ける
が、それは叶わずに炭治郎の手によって顔を正面に向けられお互いの目が合った
今にも泣きそうな顔、だけど凄く安堵した音がして凄く幸せそうな、なんとも言えない顔
お前、そんな顔するの？そんな、そんな‥

俺も同じ顔してるんだろうな
だって　お前と同じ気持ちなんだから
どちらからともなく抱きしめあって再び唇を重ね合わせた