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    ワンナイトの相手を探しにきてたコノとばったり遭遇したチャがうっかり(うっかり?)ワンナイトする話(コノチャ)

    途中からちょっとだけ違うよ(βver)

    世界平和監視機構コンパスに所属し、宇宙艦ミレニアムの艦長を務めているアレクセイ・コノエはここ暫くの間、ミレニアムから離れオーブにて地上勤務を行っていた。
    その理由は単純で、ミレニアム・アークエンジェルクルー間の合同演習として今はマリュー・ラミアスがミレニアムの艦長席に座って宇宙勤務の任に就いているため、交代の形でコノエは地上を任されているからである。
    アークエンジェルが轟沈して暫く、もし今地上で紛争が起こればオーブから戦艦(ふね)を借りて襲撃することになるのだが、ここ最近の情勢は落ち着いており、出撃することも無く比較的穏やかな日々が続いていた。

    「コノエ大佐、お疲れ様です。明日はお休みですよね? ゆっくりしてきてくださいね」
    「ああ、ありがとう。なにかあれば連絡を入れるように。後は頼んだよ」
    「ハッ!」

    コノエと同じく地上勤務のシフトになっているアビーに見送られながら、コノエは現時刻を持って休暇に入ることになった。


    さて、突然だがアレクセイ・コノエとはザフトにおいてはそれなりに顔と名前が知れ渡っている男である。
    指揮官クラスの白服を着用しているということもあるが、コノエが艦長を務める戦艦(ふね)は堕ちないと持て囃されるほどの乗組員の生還率と、極めて優秀過ぎるが故に中々扱いが難しいと敬遠されがちなあのアルバート・ハインラインが唯一命令を聞く人物という事実がコノエの名を馳せる一因となっている。
    また、コノエは生粋のコーディネイターで妙齢の男性でありながらも配偶者もいなければ子もいない。
    婚姻統制が敷かれているプラントにおいては遺伝子的に相性が良い相手と婚姻関係を結び子を成すことが当たり前とされているのだが、残念ながらコノエの意に適う女性は未だ現れたことがないためだ。
    無論、コノエとてそれなりの年齢であるから女性と関係を持ったことは幾度もある。
    それこそ遺伝子的に相性が良いとされる相手が見合いよろしく何人も現れたのだが、コノエが本気で愛し子を成そうと思える人物と出逢うことは一度も無かったため、コノエは未だ独身貴族を貫いているのだ。
    前述の通り、コノエはそれなりに名が知れ渡っている独身士官であるのだが、困ることがひとつある。
    俗物的な話にはなるのだが、所謂生理的欲求の解消法だ。
    やはりどうしても軍属の身では、休暇でもある程度の行動制限が掛けられてしまう。
    基地から行ける範囲でワンナイトの相手を探そうなものなら、一方的にコノエを知っている名も知らない下士官や、互いに顔を知っているもの同士で遭遇することも少なくない。
    その遭遇相手がみな口が固ければ良かったのだが、中には下世話な話題が好きな者も一定数いるもので、翌日にはコノエがそういう場所にいたと話題にされたことが幾度かあった。
    その事に関して直接コノエに何かを問うてくる怖いもの知らずは居なかったが、やはり居心地がいい話題ではない。
    そのためコノエは長い間、金はかかるが口は堅い、その道のプロを相手に発散していたのだが、今はコンパスに出向しているためミレニアムであちこちを飛び回ったり、今みたいにオーブに一時的に身を寄せたりと中々忙しく、気がつけば随分そういうこととも御無沙汰になっていた。
    盛んな時期は過ぎたとはいえ、まだ枯れていないコノエも今みたいに比較的精神に余裕があればそういう気分になったりするもので、オーブではそんなに顔は割れていないし久々に遊んでみるのもいいかと、コノエは久方ぶりにそういう場所を調べて行ってみることにした。

    コノエはプライベート端末でリサーチした情報を頼りに繁華街近くにある目的の店へ向かう。
    そして、もうすぐ店に着く、という直前のところで、コノエはティアドロップのサングラスをかけた男とすれ違った。
    はてどこかで見たような。いや、どこかどころではなくこのところ顔を合わせることも増えてきた人物である。
    しかし今はプライベートの時間で、どちらもそれなりの年齢の男であるため、ある程度のスルースキルは持ち合わせているとコノエは何も見なかったことにすることにしたのだが、
    そのサングラスの男、チャンドラが「えっ…」と声を上げてしまったのを耳にして、コノエもつい足を止めてしまった。
    そして互いに視線を合わせてしまった二人は後悔するのだが、まだだ。
    まだ視線を合わせてしまっただけなら、何事もなかったように視線を逸らして何食わぬ顔で立ち去ることもできるラインだ。
    だが、もしここでチャンドラがコノエの名前を呼ぼうものなら、コノエは今日の予定はなかったことにしてオーブ軍基地内の仮住まいの自室へ戻らねばならない。
    それこそチャンドラは口が堅くそういうことを気にしない性格なのかもしれないが、コノエの過去の経験と個人的な感覚としてそういう選択肢を取らざるおえないのだ。
    そんなコノエの考えも虚しく、チャンドラは「コノエ、さん…?」とコノエの名前を声に出してしまった。
    階級を呼ばなかったことだけは褒めてやれるが、名を呼ばれたからにはコノエも返事をせざるおえなくなった。

    「…やぁ、チャンドラくん。こんなところで会うなんて奇遇だね」
    「あ…。え、えーと、そ、そうですね。ほんと、こんなところで、アハハハ…」

    こんなところで、と言ったのは今日の予定がなかったことになった軽い意趣返しだったが、少し大人気なくなったのは許してもらいたい。
    だが、聡いチャンドラはそのコノエの一言で気づいたようチャンドラはやばい、と慌てた表情を取り繕うことも出来ず、とキョロキョロと目を泳がせている。
    コノエはチャンドラについてよく知っている訳では無い。
    第一印象はラミアスとの通信の際に見切れているアークエンジェルでオペレーターを務めている男性クルー。
    多少時間が経った今では名を知り、フラガとノイマンに次いでラミアスの傍にいることが多く、多少ハインラインと話が出来る電子工学に秀でた男、というあくまで仕事上の姿しか知らないが、彼がここまで動揺した姿を見たことがない。
    しかも普段のチャンドラは温厚に見せてもアークエンジェルクルー以外にはどこか一線を越えさせない雰囲気を隠し持っている男だ。
    今はコンパスとして同じ組織に所属している同志ではあるがアークエンジェルクルーの今までの境遇を思えば身内以外に対して警戒心を高く持つのは当たり前なのだが、それでもいつも取り繕えているものが動揺によって剥がれ落ちているチャンドラの姿に、コノエはどこか可愛さを覚えてしまった。
    先程までは名を呼ばれたら帰ろうと思っていたコノエはふむ、と考えた。
    コノエは目的の方面へ向かっていた。
    チャンドラはその目的の方面から歩いてきた。
    たまたま通りがかっただけかもしれないが、チャンドラもそういう気持ちでここにいた可能性もゼロではない。
    チャンドラは男性だ。それは承知している。
    だが男性にしては小柄な体格で、軍属としてある程度身体も鍛えられているし、自身に合ったバランスの良い体つきが服の上からも見てわかる。
    見目麗しいとは言わないが、それでも顔は整っている方だし、薄いサングラスの向こうには垂れ気味な目尻に、コーディネイターにはあまり見られない淡い色をした瞳が見える。
    そして今現在、自分がやらかしたという羞恥と焦りで少しばかり頬に朱が走ったチャンドラ困り顔に、コノエはうん、と頷いた。

    「チャンドラくん、この後の予定は?」
    「え、予定ですか? 用事を済ませたのでもう帰るところですけど…」
    「もし良ければ、これから私に付き合ってくれないかい? せっかくの休暇でここまで足を伸ばしたんだが、なかなか一人では寂しくてね」
    「こ、ここまでって… あのそれ、わかって言ってます…?」
    「さあ、それはどうだろうね?」

    コノエは賭けに出た。
    もちろんチャンドラが言う『ここまで』の意味は分かっているが、そのチャンドラも『ここ』にいるのだ。
    決して深い仲ではないが、チャンドラが明け透けにワンナイトの相手を探しに来ました、なんていう性格では無いと分かっているコノエはじわじわとチャンドラを追い詰める。

    「……酒を飲むだけなら、お供してもいいですケド…」

    チャンドラは気まずさからコノエから視線を逸らしながら小声で返事をした。
    頼まれたら断れない性格なのも分かっているのだ。
    どこか彼の良心を弄んでいる気持ちにもなるが、自分も彼もいい大人だ。
    ある程度のこちらの考えにも気づいてはいるだろう。
    あとはそれを本気と捉えるのかと、チャンドラがコノエから逃げられるかは、彼の力量次第だ。

    「ありがとう。私はこの辺には詳しくなくてね。もしオススメの店があるなら案内してくれると助かるんだが…」
    「い、居酒屋でも良ければ…。え、本当に行くんですか?」
    「もちろん。そこで構わない。さあ、そんな肩肘張らずに楽しもうじゃないか」
    「え、えぇ…? な、なんでこんなことに…?」


    店に案内してくれと頼んだ後、チャンドラはどこか吹っ切れたのか、もしくはあの場に居たのは本当に酒が飲みたかったという都合に捉えたのか、動揺した雰囲気はなりを潜めていつもの人当たりが良い好青年へと気を持ち直した。
    チャンドラに紹介された店は海に囲まれたオーブ特有の新鮮な魚介をメインにした店で、プラントでは中々味わえない新鮮な魚や、東洋の島国が発祥とされる洋食では用いられない調味料を使った煮物や汁物が美味しい店だった。
    アルコールの種類も豊富で、コノエが好きな米を原料とした酒も豊富に取り扱っており、これ幸いと舌鼓を打ちながら、絶えず話題を提供してくれるチャンドラと会話を楽しむ。
    こんなに長く話すことも、職務と関係の無いことを話すことも初めてだったが、話せば話すほどチャンドラという青年は表情豊かで、盛り上げ上手で、でも決して踏み込みすぎないし、踏み込ませすぎない、賢くて優しい人間だということがよく分かり、コノエの中のチャンドラの印象は上がっていく一方だった。

    そして、その後。
    話のひとつでチャンドラは米の酒を飲んだことがないと言ったので、コノエは徳利に入っていたそれをチャンドラに薦めた。
    チャンドラは初めて飲む酒にどこか恐る恐る口をつけて、一口目は慣れない味に顔を顰めたものの、数度飲みこむと、「意外といけますね、これ」と、にへらと頬を緩ませて笑った。
    先程の羞恥からとは違う、アルコールによって顔だけではなく首まで赤らめ、気が抜けたようににへらと笑うチャンドラの姿に、コノエは心臓に何かが刺さったような衝撃を受け、そして今夜は絶対にチャンドラを抱くという強い決意を抱いた。
    そこからのコノエの猛追は凄まじかった。
    米の酒の種類は沢山あるんだとチャンドラを唆し、「気になるものがあるなら頼みなさい。余ったら私が飲んであげるから」とチャンドラの好きなように注文をさせ、色んな酒を飲ませた。
    チャンドラもチャンドラで、酒の席は嫌いでは無いし、普段あまり関わることが少ない歳上で大人の余裕を感じるコノエとのお喋りが存外楽しかったことで、コノエと出会った場所がどんな場所であったかも忘れて、つい調子に乗ってしまった。
    コノエに誘われるがまま酒を注文し味を楽しんだチャンドラは飲み慣れない酒に自分の酒量を見誤り、気がつけば机に伏せてしまっていた。

    「…悪い大人に捕まっちゃったねぇ」

    コノエは静かな寝息を立てて眠りについてしまったチャンドラを背負うと、会計を済ませて店を出た。
    いくら小柄といえども気を失っている鍛えている成人男性の体は重たくはあったが、決して嫌な気持ちにはならなかった。
    そしてコノエはチャンドラを自室に連れ帰って、そのままチャンドラを美味しく頂いた。
    一応せめてもの慈悲で、ベッドにチャンドラを下ろした後に揺すって起こし、水は飲ませてやった時に「これから抱かせてもらうけれど、いいよね?」と問いかけもしたのだが、未だアルコールに浮かされていたチャンドラにはそれが逃げる最後のチャンスだとは分からなかったし、分からないままこくりと頷いてしまったのがチャンドラの運の尽きだった。

    次にチャンドラが意識を覚醒させたのは翌朝になっての事だった。
    薄く開けた目蓋からは見知らぬ天井が見え、何故だか服は身につけておらず、背中を自分より少しばかり温かいなにかに覆われている。
    チャンドラはじわじわと覚醒する意識の中、自分が意識を無くす前の記憶を辿る。
    街でコノエと遭遇して、酒を飲みに行き、初めて飲んだ米の酒が美味しくて…だめだその後の記憶がなにも思い出せない。
    とりあえずチャンドラは水が飲みたいと思い、身体を起こそうと腕に力を込めた。
    だが、後ろからチャンドラを覆っていたなにかによって邪魔をされ、体を起こすことは叶わなかった。

    「…おはよう、チャンドラくん」
    「え」

    チャンドラは聞こえてくる声に固まった。
    そしてその固まってしまったチャンドラの身体をなにかが―チャンドラの身動ぎで起きたばかりのコノエが、夢心地にチャンドラをぎゅっと抱き締める。
    体を起こすこともできず再びシーツに埋もれることになったチャンドラだったが、そんなことは気にする余裕もなく、ただひたすらに困惑して思考回路がショート寸前になっていた。

    ―今誰か凄い知っている人の声がした気がしたんだけどもしかしなくてもコノエ大佐だよな?え?なんで俺は今コノエ大佐に抱き締められている?というか何この状況、え、どういうこと?俺素っ裸なんだけどコノエ大佐も素っ裸な感触なのは気のせいじゃないよなっていうか、えっ、ここどこ?まさか大佐の部屋?え?いや……え????

    「おーい、チャンドラくん?」
    「はっ…! え、コノエ大佐、ですよね…?」

    チャンドラは後ろから抱き締められているため、今自分を抱き締めている声の主の顔が見れなかった。
    正確に言うと軽く後ろを振り返れば見えるのだが、その振り返る勇気がなく恐る恐る声を上げたのが正しい。
    コノエに抱き締めらていると気づいた瞬間からカチンコチンに固まったチャンドラにくすくす笑いながら、コノエは目の前にある耳にいたずらに囁きかける。

    「いかにも私はコノエだが、随分とおかしな質問をするね。昨夜はあれほど愛し合ったというのに」
    「へぇッ……?! 」

    敏感な耳に生暖かい吐息と腰を砕けるようなコノエの甘い声に思わず声を上げて肩を震わせてしまったチャンドラだが、その囁かれた内容を理解するとまた思考回路がショートしそうになった。
    いや理解ができなくてただただ変な声をあげることしか出来なかった。

    ―愛し合った?愛し合うってなんだ?いや今のお互い素っ裸で抱き締められててなんかどさくさに紛れて手も握られている気もするけどいやいやそんな大佐みたいなコーディネイターのエリートのイケおじがナチュラルで顔はそんなに悪くない位の目立たない男でそんな俺に手を出すっていうか手を出すって言い方変じゃないか?!

    再び大混乱に陥ったチャンドラを他所に、コノエは少しばかり抱擁の体勢を崩して身体を起こすと、チャンドラの顔を覗き込むような体勢を取る。
    昨日知ったばかりの、レンズを通さない薄水色の瞳が動揺で忙しなく動いているのがとても愛らしい。
    コノエはゆるりと口角を上げながら握ったチャンドラの手をゆっくりと持ち上げて、ちゅ、と音を立ててチャンドラの手の甲に口付けを落とす。
    先程まで忙しなく動いていた瞳が口付けられた手を凝視して、そのまま自分の顔に影を作ったコノエを呆然と見上げるチャンドラにコノエはとびきりの甘い声で言った。

    「僕を、君の恋人にしてくれないかい?」
    「……はあ!?!?!」

    突然のコノエの告白に、チャンドラの叫びにも似たその声は部屋の外まで響いたであろう。
    だが、今のコノエには、目の前で再び顔を真っ赤にして唖然としているチャンドラが愛おしくて仕方なくて、そんなものは気にもならなかった。

    きっかけは、少しばかり溜まったものを発散出来ればいいという邪な考えからだった。
    ワンナイトの相手に本気になるのも馬鹿げているとはわかっているのだが、本当の身内以外にはしっかりと線を引きがちなチャンドラがうっかりコノエを近付かせたのがいけなかった。
    そしてコノエもうっかりとチャンドラに本気になってしまった。
    守りの戦法が得意であっても、攻めるときは容赦なく攻めるのがコノエの戦法だ。
    チャンドラとコノエが正式に付き合うようになるまであと―……
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