帰宅「俺絶対生まれ変わって帰ってくるから」
その言葉を聞いたのは10年前。1人では広すぎるし高すぎる家のローンを律儀に払って俺はここで待っていた。
春先のひどく冷たい風が目立ち、独りを突きつけてくる。
風の先には勿論シアンの色なんて無いのに、何故だか探してしまうのだ。
人間の友達も段々と地に眠り、不死を今日も呪う。
なんていう日々が懐かしい。
あれから200年と少し、ローンが完済してこの馬鹿広い家は自分1人のものとなった。
夏の照りつける太陽を大きな窓から吸い込んで、贅沢に空調をきかせて自分を労う。
真っ青な空を少し銀色がかった入道雲が綺麗に泳いでいた。
短命種の友達とは殆どが連絡が取れなくなった。
そんな事にはもう心が動かなくなっていた。
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