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    aumabc

    @aumabc

    文章体の二次創作保管庫にします。
    殆どMZMだと思われます。

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    aumabc

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    引用知識↓
    「鬼神が降伏した標にイチイの木で作られた笏を天皇に献上した伝説」
    「イチイは長寿・不死を象徴」
    「イチイの種や枝葉にはタキシン毒が含まれる」
    「イチイとカツラの樹洞内にて蝙蝠糞を発見。しかし調査をすると寝床に利用しているのはカツラの木のみ。」

    #MZMart

    イチイソレは、突然目の前に現れた。

    信頼している最高の相方が、美味しそうに口に運び、当然のように勧めてくる艶のある丹を輝かせた忌々しい実。
    ユーダリルにある親戚の家で生まれて初めて目にした美しいスカーレットは、俺の体の奥深くまでその毒の根を下ろした。
    「なんで、」
    その実を口にしているのか。いや、何故それが我が家にあるのか。
    結界が壊された形跡はない。つまりアンジョーが自らこの家に運ばない限り、居間の机に存在することはまず有り得ないわけで、つまり。

    お前まで、俺を。

    室内にいるというのに悪寒が止まらない。
    背中に嫌な汗が伝うのが、考えたくもない思考が巡るのが、止まらない。
    こいつは今までのヤツとは違う。俺らは仲間で、相方で、親友で、戦友で、だから。
    「コーサカ!」
    は、と。アンジョーの声に反応して息が漏れる。呼吸までを忘れてしまっていたらしい。
    「酷い顔だよ。昔のバイト友達に貰ったんだけど、君が嫌いなら片付けるね。」
    知らなかったんだ、ごめん。とアンジョーはその赤い実を包みに隠す。
    本当にアンジョーに悪意はないようで、先程の突飛した思考に自分で驚く。
    「悪い…その実、オンコはさ、日本では縁起物かもしれないけど、俺の故郷では死と再生の象徴で…。」
    普段の回る口は何処へやら。自身から出る言葉が毒のように廻り息苦しくなる。
    「魔除とかって意味があって、特に鬼にとっちゃ仇みたいな植物で、その…。」
    ニンニクも太陽も克服している俺が、克服できていない毒。弱味。それを、伝えていいものか。
    「ねぇ」
    口吃っていると、透き通る声が思考を止めた。
    「君が何を怖がっているのか俺には分からないけどさ、無理に言う必要はないんじゃない?」
    へらり、と笑って頭を撫でられる。
    普段ならガキ扱いするなとか、話を遮るなとか、そういう軽口を叩くようなぐしゃぐしゃと効果音の付きそうな撫でられ方。
    「ごめんね、怖かったね。」
    「…怖く、ねぇし。」
    いつの間にか不安な気持ちは無くなってて、勿論アンジョーに対する疑いなんてものは欠片も抱かなくなった。
    「んはは、悪い。俺それ嫌いなんだ。種には毒があるからお前も気をつけろよ。」
    下手くそな口先だけの笑みを浮かべ、頭に置かれた手に少し湿った自分の手を重ねれば、相方は肩の力を抜く。
    「実は甘いのに毒なんて、怖いねぇ。」
    そんなふうに一緒に下手くそな笑みを浮かべて。
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    DONE明確に🐺🦇です。
    事後っぽいな。
    #MZMart_B
    #MZMart_R
    幸福論 たとえ遮光カーテンで締め切っていたとしても、雨雲が朝日を遮っていても、朝日を感じて目が覚めてしまうのは、もともと太陽光に怯える吸血鬼の本能なのかと勝手に思ってる。根拠はないけど。今日は太陽光の気配じゃなくて雨の音で起きたと思う。静かに雨が降る音が遮光カーテンで締め切られた窓の外から聞こえてきていた。
     天敵の日光を遮って完全な安眠を約束してくれる棺桶に比べると、アンジョーと眠るベッドは広くて、寝返りも打てて、スプリングがよく効いていて暖かくて、そして俺をガッチリ抱き締めてアンジョーが寝ているというめちゃめちゃ幸せでデカすぎるリワードがある。寝起きは見えもしない朝日を感じて起きるけど。
     目の前には俺の体を両腕で抱き寄せて未だに深く眠るアンジョーの首筋と鎖骨から肩までが無防備にも露わになっていた。というかほぼ裸だ。お互いにパンツだけ履いて寝たことは覚えてる。昨日夜から今日未明まで相応に求めあった過程で、前後不覚になって縋りついた筋張った首筋に甘ったるく齧り付いたり、爪で引っ掻いたりした痕が薄暗い室内でもしっかり見えてなんだか無性に恥ずかしい。
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