レイズ時空ミトジニ 異世界であるティル・ナ・ノーグへ具現化されてから暫くの時が過ぎた。
突如呼び出された異世界。当初は訳も分からず戸惑い、怒りを覚えた。こちら側の状況なんて無視してそっちの都合に巻き込むなと腹が立った。
だけど、この異世界で「具現化」という鏡士のみが扱える秘術を知った時は全身が震えた。これだ、と思ったんだ。
具現化とは、鏡士が魔鏡を媒介にして異なる世界の存在を映し出す術のことを指す。カレイドスコープという魔鏡兵器で標準を合わせ、鏡士の術によって定めた時間軸から特定の人物をこちらの世界へ造り出すことが出来ると。
もし、この術を使って自分と同じように特定の人物をこの異世界へ具現化ができるのであれば。
──マーテル姉さまを、蘇らせることができる。
そうしてボクは、自分を具現化した救世軍のファントムとマークから「鏡映点殺しに協力すれば、元の世界で失われた命を復活させる」という取引を持ち掛けられる。そして、同じ目的を持つメンバーと共に反鏡映点として協力することとなった。
悲願であった、最愛の姉さまの復活。
愚かな人間に奪われた姉さまの魂を取り戻すこと。ボクは何もかも犠牲にして、四千年もの時をかけて、それを叶えるためだけに行動してきた。
この異世界で具現化という力を使ってそれを叶えることができた。
姉さまとの再会を喜んだのも束の間で、その後ファントムの計画に巻き込まれて幻影化されて傷を負ってしまった。鏡殻変動が起きて姉さまと一緒にアスガルド帝国のメルクリアの元へと身を移すこととなった。
そこで目の当たりにしたメルクリアのリビングドール計画には吐き気がした。
ビフレスト皇族の生き残りであるメルクリアが進めている計画とは、魔鏡戦争で死亡したビフレスト国民の復活のため具現化した人物の魂を抜き、人工心核を入れて別のアニマを注入すること。
まるで幼い子供が人形遊びをするように、無邪気に魂を入れ替える姿を見て苦い気持ちになる。
元の世界では自分も姉さまのために似たようなことをしてきたからだ。
世界に繁栄をもたらす名目で世界再生の旅として神子を天使化させる神子計画。そうやって器を作り、姉さまの魂を定着させてマーテル姉さまを目覚めさせること。
そして、無機生命体のみで構成される「千年王国」を作り出し、差別のない理想の世界を作ること。
その目的のために世界を造り変え、長い時間を掛けて多くの人々を巻き込んだ。
メルクリアのリビングドール計画を見ていると自分の行いを客観的に見せつけられているようで、反吐が出そうになる。
でも、なんだっていいんだ。異世界の劣悪種がどうなろうと知ったことはない。
この世界には姉さまが生きている。姉さまが幸せであること、それだけでよかった。姉さまがボクの全てだから。
──ただ、1つだけ考えないようにしていることがある。
頭の片隅に追いやって、考えないようにしていたこと。
それはジーニアスがこの異世界に具現化し、また再会することの可能性だ。
ジーニアス。その名前の響きだけで胸の奥がジクジクと痛む。
異世界で過ごすなか、その痛みの正体に気付かないふりをして、ずっと目を背けていた。
****
この異世界でも忌々しい人間のロイドと再会した時に思い知らされてしまう。
「神降ろし」という儀式に利用しようとしてディストが姉さまを攫ったと知った瞬間、頭に血が上って相手を半殺しにしてしまった。シングとカイウスに止められていなければ本当にディストを殺していたかもしれない。
姉さまを具現化してくれたから多少のことには目を瞑って協力していたが、姉さまに手を出すなら話は別だ。
だが、姉さまを助けるために帝国側から手を引きたい反面、強大な組織の前にしてボク一人での力ではどうにもならないこともある。
そんな中で、帝国と対立する側の鏡士であるイクスとミリーナと行動を共にするロイドたちとの関わりは避けられない。
神降ろしの器として攫われた姉さまを助けるために、一時的に協力関係になった。
「なぁミトス。元の世界でジーニアスと先生はお前に寄り添っていたんじゃないのか?」
「……ジーニアスなんて、どうでもいい」
「ジーニアスは、お前のことでものすごく傷付いたんだぞ!」
「……っ」
ロイドにそう突き付けられた時、酷く動揺してしまった。
そんなことお前に言われなくても分かってる。自分が一番分かっているさ。ボクがジーニアスを傷付けたことなんて。
『……キミもハーフエルフ?』
『ボクたち、友達になれそうだよね』
『ミトスと友達になれて良かった!』
忘れもしない、ジーニアスが初めて声を掛けてくれた時のこと。ボクに手を差し伸べて、笑い掛けてくれた。
同族であるハーフエルフの初めての友達、両親がおらず姉に育てられた同じ境遇。まっすぐに好意を伝えてくれて、心の底から信頼してくれた。
ジーニアスはほんの少しの時間一緒に居ただけのボクに、無邪気で打算のない温かい優しさをくれた。
そうだ。それをボクは踏みにじった。正体を明かした時のジーニアスの傷付いた表情が今でも焼き付いている。
ジーニアスを裏切って、殺そうとすらしたんだ。
動揺した内心を隠したまま、一旦ミリーナのアジトへと出向くことになりリフィルさんと二人きりになる。
「……リフィルさん」
「ジーニアスなら、まだ具現化されていないみたいだわ」
まだ何も言ってないのに、顔を合わせただけでこちらの心を見透かしたように言われてしまった。
やっぱり流石だな、リフィルさんは。自分の姉さまとはまた違った意味で敵わないと思う。
「今のこの状況を見る限り、ジーニアスが具現化されるのは時間の問題だと思うわ」
もしくは、もう既にどこかの大陸へ具現化されているかも。リフィルさんは弟であるジーニアスへ思いを馳せるように、どこか遠くを見る様子で呟く。
ジーニアスがすでに具現化されていて帝国側に捕まって利用されたら。傷付けられて捕らえられていたら。魂を抜かれてリビングドールにされてしまったら。嫌な想像ばかり浮かんでくる。
もし、ジーニアスが具現化されていたら││。
『ジーニアスは、お前のことでものすごく傷付いたんだぞ!』
「……っ」
忌々しいロイドの声が脳裏にリフレインする。同時に浮かぶジーニアスの傷付いた表情に胸が苦しくなる。
ジーニアスに会いたいけれど、会いたくない。
そもそもジーニアスを裏切って殺そうとしたボクに会う資格なんてない。
ボクは罪を重ね過ぎた。やり直せばいいなんて簡単にロイドは言うけど、ボクには遅すぎるんだ。
大体、ジーニアスはまだ具現化されたとも限らない。
考えても無駄だ。今は姉さまを助けるため、目の前のことに集中しなければ。
雑念を振り払うように、浮かんだ感情を再び頭の隅に追いやった。
****
「ジーニアスが……見つかった?」
傷を負った姉さまを回復させるためにクラトスがマナを分け与え、そのクラトスを助けるために今度はボクがマナを与えた。
天使体とはいえ短期間のうちに何人もの相手にマナを与えたボクの身体はだいぶ限界だったので、アジトで安静にしていた時に入った一報。
──ジーニアスが、この世界に具現化されている。
直接自分へ伝えられた訳ではなく、天使体の聴力によって聞こえた名前。それが聞こえた瞬間、身体が勝手に動いていた。
体内のマナが足りず思うように動かない身体に鞭を打ち、雪降る闘技場へと飛び出していた。
「………ジーニアス」
もこもこの防寒着を着てプレセアと一緒にいる姿を遠くで眺める。小さな身体で客引きをして、木彫りの熊を売っていた。
よかった、帝国軍に捕まってなくて無事だったんだ。
ジーニアスの元気そうな姿を見て、懐かしさでじんわりと胸の奥が温かくなる。にこにことする懐かしい笑顔を見ると、自然と頬が緩みそうになってしまう。
「ミトス、ジーニアスってやつと知り合いなのか?」
ジーニアスを眺めていると、飛び出したボクを追ってきたカイウスに話しかけられる。
カイウスも元世界とは異なる世界から具現化された鏡映点で、獣人のハーフだと教えられた。
人間と別の人種のハーフという同じ狭間の者として似たようなものだから、と自然に受け入れたのだが何故か気に入られてしまった。
カイウスは「こっちの世界でできた初めての友達」だなんて言うから、似ても似つかないのにジーニアスを思い出してしまった。
カイウスにはメルクリア陣営にいる時も姉さまの危機の際にも、何度も協力してくれたことに本当に感謝している。それを本人に直接伝えたことはないけれど。
「……別に、なんでもないよ」
「あのなぁ。絶対安静って言われてるお前が飛び出して行くくらい会いたい相手なんだろ?」
他人に興味なさそうなミトスが珍しい、なんて言われてしまうとばつが悪い。
「あいつ……ジーニアスってやつが気になるなら話しかければいいだろ」
「いや、ボクがいることは言わないでくれって口止めしてるから」
「はぁ?なんでそんなことすんだよ?」
「合わせる顔がないから……」
ボクは元の世界でジーニアスたちを殺そうとしたんだから。そう言うとカイウスは黙ってしまった。
ジーニアスは見た感じ元気そうだし、彼の性格ならすぐにアジトの皆とも打ち解けるだろう。腹立たしいけどロイドたちも一緒にいるからアジトにいれば安全だし安心だ。
そうだ、このままジーニアスに会わずに姉さまと共に救世軍側に行こう。そうすれば綺麗に収まる。
そう決めた時だった。
「……帝国軍がコロセウムに来ているって?」
「ああ、ナーザ将軍も来ているって」
ミリーナとコーキスから情報が伝えられる。帝国軍が来たら武闘会が中止になるかもしれないじゃないか。
そうしたら武闘会へ出場しているジーニアスたちが困る。不本意ながらもロイドやカイウス、エミルやマルタたちと共に協力して帝国軍を追い払う算段となった。
こちら側の世界に来てから一度もなってないユグドラシルの姿になり大雪を利用して邪魔をする。
そうして帝国軍を追い返したのに、ロイドの馬鹿のせいでとうとうジーニアスにボクの存在がバレてしまった。
「……ボクから話すよ」
「ミトス……!」
と言っても、ジーニアスは元々ボクの存在には勘付いていたみたいだけど。
ジーニアスは戸惑った様子で、プレセアははっきりと敵意を向けてくる。
こうやって対峙するのがほんの少し怖いと思うのは、ジーニアスに何を言われるかどう思われるのか分からないからだ。
ボクは救世軍に身を寄せて関わらないから安心して、と伝える。そのほうがお互いにとっていいと思った。
だけどロイドが反論し、まだ事情をよく分かっていないジーニアスとプレセアに経緯を説明してしまう。
余計なことをしなくていいのにと思っていると、まだ複雑な表情をするプレセアに、ジーニアスはボクが隠れて帝国軍や変な客を追い払っていたことを伝えた。
「きっとボクたちの知らないところでミトスが改心してくれたんだって……」
「──改心なんてしてない」
「……そうだよね、ミトスは最初から優しかったもの」
「…………」
ただ、つらい思いをしすぎただけで。
ジーニアスのその一言に、許されたと勘違いしてしまいそうになる。ボクは、そんなふうに思われるような奴じゃないのに。
はっきりと冷たい言い方をしても、ジーニアスは言葉を続ける。
「何もかも許さなくていいから、一緒にいることだけは許してあげて」
「……!」
ジーニアスがプレセアを説得する言葉を聞いたら、自然と謝罪の言葉が溢れていた。
許されたいわけでもない。謝って楽になりたいわけでもない。元の世界への行動は後悔はしていないし、ボクは何度でも同じ選択をする。
これはボクを庇ってくれるジーニアスへの誠意の気持ちだった。
「ミトスは、ボクたちを武闘会で最後まで戦えるように手を尽くしてくれて、混乱させないように隠れてくれてたんだよね」
「…………」
ミトスって優しいよね。そう言うジーニアスのほうが余程優しいと思う。
そんなの、ボクが勝手にやっただけのことだ。優しさでもないし、感謝されるようなことじゃない。ボクが元の世界でしたことに比べたらなんの償いにもならない。
それでも、ジーニアスの気持ちが嬉しいと思ってしまう。
「ボクたち、友達だよね? もう本当にそうだよね?」
「友達……でいいの?」
「もちろんだよ!」
ジーニアスが朗らかに笑い、手を差し出す。元の世界でもずっと向けてくれていた表情だった。
ジーニアスと、また友達になれた。彼を裏切って傷付けたボクが。
ジーニアスと再び手を繋ぎながらも、まだどこか夢でも見ているような気分だった。
****
コンコン、と控えめなノックの後に「ミトス、寝てる?」と小さな声が聞こえる。
これが他の人間だったら無視をするが、声の主は分かっていた。
「……起きてるよ」
「休んでるとこ、ごめんね」
返事をすると小さな銀髪の頭がソッと顔を出した。
──武闘会でのジーニアスたちの決勝戦を見終えたあと、ボクの身体は限界を迎えたようで意識が飛んでしまった。
目が覚めるとアジトの部屋に寝かされていて、
カイウスたちの肩を借りてアジトへ強制送還されたようだった。
身体を起こそうとするとジーニアスが「寝たままでいいよ!」と制止する。
正直なところ体内のマナが足りず起き上がるのも辛かったので、そのままの姿勢で要件を聞くことにした。
「ジーニアス、後夜祭に行くんじゃなかったの?」
「えっと……まだ時間あるから姉さんにアジトを案内してもらったんだ」
「そう……」
会話が途切れて部屋に沈黙が落ちる。
ジーニアスと二人きりになるとどう話していいのか分からず、そっけない言い方になってしまう。
元の世界でボクがクルシスの統制者だと正体を明かしてからこうやって二人きりになるのは初めてだ。
さっきは友達だと言って和解したけれど、ロイドの手前そう言ったんじゃないかとか、本当は嫌なんじゃないかとか、嫌な考えが浮かんできてしまう。
ジーニアスがボクのベッドの横へ立つと、あのさ、と控えめに声を掛ける。
「ボクのマナを……ミトスに分けられないかな?」
「え……?」
「あ、こっちの世界ではエンコードされてキラル粒子って言うんだっけ?」
合流したばかりなのに異世界への理解が早いジーニアスに驚くよりも、その前の台詞が衝撃的過ぎた。
マナを分けるだって。そう簡単に言うけれど、自分のマナを他人へ分けるのは生命力を分けるのと同じ意味を持つ。
命を削り取るような行為で、治癒術とも違う。
エルフの血によってマナが扱えたとしても誰でも簡単に出来ることじゃない。
天才魔術師としてマナの扱いに長けているとはいえ、天使体でもない幼いジーニアスには負担が大き過ぎる。
「やったことないからうまくできるか分からないけど……」
「ううん、ジーニアスはそんなことしなくていいよ」
「なんで?ミトスだってクラトスさんやマーテルさんにマナを分けたんでしょ」
「ボクは天使体だから、死にはしないよ」
「でも……すごくつらそうだよ」
現に今起き上がれないので反論できない。
でもしばらく休んで体内のマナが戻れば回復する。だからジーニアスの手を煩わすことは無いんだ。
「ボクも無理はしないよ。ミトスがちょっとでも楽になればいいなって」
「だけど……」
「いいからボクにやらせて」
「ちょっ、ジーニアス……!」
「こうかな……」
ジーニアスがボクの手を取って、自身の頬に当てる。その感触にどきりとしてしまった。
今の瀕死状態でもジーニアスの手を振り払うことくらいできるし、マナを拒絶しようと思えば拒否できた。
これがただのアジトのメンバーだったら断っていた。そもそもそんなことを言い出す奴もできる奴もいないけど。
ボクは、ジーニアスの純粋な好意を無碍に出来なかった。目を瞑ってジーニアスからのマナを受け入れる。
ぽわ、と暖かい光に包まれる感覚。霧が晴れていくみたいに、ガンガンと響く頭痛と鉛のように重かった全身の倦怠感が消えていく。
「……っ」
「ジーニアス!やり過ぎだよ!」
「大丈夫だよ、ちょっと貧血っぽくなっただけ……」
自分の身体が楽になると同時にジーニアスの身体がふらいて、慌てて起き上がって支える。
やっぱり断っておけばよかった。ジーニアスが顔色が悪いの見て、マナを受け入れたことを後悔した。
心配するボクを余所にジーニアスはへーきだよ、とまだ青白い顔で笑った。
「ミトス、少しは楽になった?」
「……うん。ジーニアスのおかげだよ」
「へへ、よかったぁ」
まだ全回復とは言えないけれど、起き上がって普通に過ごせる程には調子が戻った。
ジーニアスの気持ちをありがたいと思うよりも、申し訳ないと思ってしまう。
ジーニアスがボクにここまでしてくれる必要ないのに。
「姉さんから色々話を聞いたよ。ミトス、こっちに具現化されてから大変だったんだね」
「……まぁね」
「ボクもその時ミトスの力になりたかったな」
「ボクは……ジーニアスを巻き込まなくて良かったと思うよ」
むしろ、あんな姿を見られなくて良かった。敵対する陣営にいたらジーニアスをまた傷付けていたかもしれないと思うと恐ろしかった。
ボクの台詞をどう受け止めたのか、ジーニアスは不満そうに口を尖らせる。
「まぁ、ボクに出来ることなんか無かったかもしれないけど……」
ジーニアスは一旦言葉を区切って、遠くを見るように寂しそうな表情をする。
何かを思い出してるような顔だった。
「ボクだってミトスを助けたいし、傍に居たかったよ」
ぽつり、と小さく呟くような声だった。
──ああ、好きだな。
ジーニアスの声を聞いて、自然とその言葉が浮かんだ。
ずっと蓋をして見ないようにしていた感情だった。一度自覚してしまうと、堰を切ったように想いが溢れてくる。
ジーニアスが好きだ。元の世界からずっとそうだった。ジーニアスが欲しくて、自分のものにしたくて、ロイドたちが羨ましくて仕方なかった。
ボクには姉さましかなかった。姉さまを失ってからは、かつての仲間であるクラトスもユアンも信じられなくなって、自分の部下ですら信じられず、何もかも信じられなくなって。
最後にはジーニアスも信じられなくなって、裏切った。
そんなボクをこの世界で再び友達だと受け入れてくれた。
ジーニアスが好きだ。ジーニアスを思うと胸の奥が満たされて温かい気持ちが溢れてくる。
その気持ちに嘘偽りはない。
──でも、ボクは。
『ジーニアスはものすごく傷付いたんだぞ!』
ジーニアスを裏切って、傷付けた。その事実がボクを苦しめる。
この気持ちは、どうすれば良いんだろう。
「ジーニアス……そろそろ後夜祭に行ったら?」
「もうちょっとだけ、ここにいさせて」
ジーニアスはもうマナを分け与えてないのにずっとボクの手を握ったままで、ボクはその姿勢から動けない。
マナを分けるように、ジーニアスに触れているところから感情が伝わればいいのにと思った。