とくべつなひみつ 爪で柔肌を傷つけないよう、そっと道丹ちゃんの頬に触れてみる。警戒心がないのかなんなのか、俺の爪が近いのに彼女は気持ちよさそうに目を細めた。
「どうしたんですか、創一朗さん」
「いや…………なんもあらへんよ。今日はいつもよりおしゃれしとんねやなぁ、思ったくらいやで」
普段の道丹ちゃんは、私服すらも制服で、化粧っ気のない子だったと記憶している。でも今の彼女は花柄のワンピースで、ほんの少しの紅をさして、一体誰と出かけるのかという容貌だった。
「(同世代の子とかかなぁ。浮ついた話聞いたことあらへんけど……若い子の成長は早いし)」
よしよしと頭を撫でると、少し嬉しそうな顔をしたのに気づく。
「よかった。創一朗さん、女の子の化粧に気づかないような鈍感さんじゃないんですね」
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